札幌の帰りに、東京で開催されたDOCSF-JAPANというイベントに参加してきました。
DOCSF は Digital Orthopaedics Conference San Francisco の略で、デジタル技術の整形外科分野への応用を目的とした、UCSFが主催している多職種交流のプラットフォームです。
このイベントの日本版であるDOCSF-JAPAN を、UCLAの 串岡 純一 先生と、私の留学時代のマブダチ、UCSFの 森岡 和仁 先生が東京でオンサイトで開催すると聞き、参加しに行きました。
イベントでは、日本で行われている産学連携や医師起業の実例、また、厚労省や投資会社の方のお話を聞けて、とても興味深かったですね。
最後の森岡先生の総括では、現在の流れや今後のビジョンがよく理解できて、私自身の方向性もいろいろ考えさせられた、影響受けるイベントでした。
そう、そういえば、私が整形外科医を目指したきっかけは、医工学への興味でした。ただ大人になるにつれて、クラス3は、一般医にはハードルが高すぎることに気づき、治療機器より評価機器の方向へ流れました。現在もその立場にあります。
昨今スタートアップはブームではありますが、もちろん全てが生き残るわけではなく、技術ありき、起業ありき、but、現場ニーズなし、臨床的意義なし、の深い谷に落ち込むと、日の目を見るのはなかなか大変です。
私は自分の専門領域である骨粗鬆症や骨画像解析において、新規技術に対する、現場のニーズ、臨床的意義、技術の正確性などを、検証することができ、それは自分の今のキャリアでは当たり前と思っていましたが、今回の多分野での交流を通して、これは自分の大きな財産で、共有する意義は深いなと、感じることができました。何かアクションしたくなりましたね。
講演会で、冬の札幌に行ってきました。
演者は2人で、私が骨粗鬆症の話題、もう1人は浜松医療センターの小林 祥 先生で、脊椎手術と疼痛の話題で、2部構成の講演会でした。
今回の講演会を企画し、座長をしていただいた先生は、札幌医大 整形外科 脊椎グループチーフの黄金 勲矢 先生です。
実はこの3人には共通点がありまして、、それは「留学先がUCSF」ということです。
この講演会は、第一三共株式会社主催の、プラリアとタリージェの会ですが、黄金先生の発案で、裏テーマは「UCSFの会」でして、
同じ留学先で苦労してきた仲間たちが、今は日本でエクスパートとして活躍し、そのネットワークで、こういうで講演会を作れるなんて。しかも、骨粗鬆症&脊椎はかなり相性がいい組み合わせで、Goodな企画でした。
講演会の後は、打ち上げみたいな食事会があるのですが、留学時代の昔話で、かなり盛り上がりましたね。
共通の話題や知人も多く、カリフォルニアワインまで持ち込みで準備してくれて(しかもDuckhorn!)、黄金先生の超絶ホスピタリティに感動しました。終盤にはポケットから全員分のウコンドリンクまで出てきました。
この会には、同じくベイエリアのStanfordに留学していた、北海道大学 高島 弘幸 先生も参加していただいて、私と同じ骨軟部の画像解析の専門家で、私としてはさらに盛り上がりました。
しかもしかも、この講演会の開催日は、ちょうど札幌雪まつりの期間で、というか、黄金先生が、雪まつりに合わせてくれていて、講演会の翌朝には、雪まつりの会場を散策することができました。気持ちよかった!
こんな巨大な雪像、初めて見ましたが、九州人としてはかなりテンション上がりましたね。これ自衛隊が作っているんですね。知らなかった。
黄金先生、アメージングな企画、ありがとうございました!!
今後も何か講演会を作る機会があれば、UCSF&Stanford(ベイエリア整形外科会)で集まってみると、楽しい会にできそうです。
ベイエリア整形外科会のOBリストには、脊椎やスポーツなど、多数の演者が揃っていますので、企業の方には、何かの企画の際はお声がけいただきたいですね。
長らく止まっていた論文報告ですが、再開します。
私たちHR-pQCT研究グループからの、第23弾の論文が、昨年アクセプトされました。
Denosumab(デノスマブ、商品名 プラリア)は、破骨細胞による骨吸収を強力に抑制することで、骨密度を増加させる薬剤です。骨粗鬆症患者に対する調査は多くなされていますが、関節リウマチ患者に対してHR-pQCTを用いて骨微細構造を見た研究はありませんでした。
本研究はデノスマブが、関節リウマチの関節破壊の原因となる骨びらんを抑制できるかを検証したランダム化比較試験のサブ解析で、本解析(骨びらん)は第一内科の岩本先生が、そしてこの副解析(骨粗鬆症)は整形外科の私が担当しました。
結果は、やはりデノスマブは、関節リウマチ患者においても骨密度増加作用が明確で(一般論として関節リウマチ患者では活動性の低下やステロイド使用のため、効果が出にくいです)、骨微細構造では、特に皮質骨への効果が明確でした。
本研究はRCTであり、コントロール群:元々使用していたRA薬±骨粗鬆症薬を続行する群と、デノスマブ群:デノスマブを追加/切替する群を、比較していますが、
コントロール群は、そもそも骨粗鬆症でなかったり、すでに骨粗鬆症の治療をしている人で構成されているのですが、そういった、骨粗鬆症の治療対象とならないorすでに治療している関節リウマチ患者さんであっても、骨微細構造は徐々に劣化していっている、という結果も得られ、こちらの結果の方が重要ではないかと個人的には思っています。
本論文は、Journal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM、IF:3.3)にアクセプトされました。ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
おめでとうございます。もう1月も終わろうとしていますが。。
今年はなかなか大変になりそうな年です。
夏から医局長になる予定でして、医局の運営や人事などの雑務が、とっっても増えそうです。私の体調を心配して、しなくていいんじゃないかと止められているぐらいですが、経験として興味があるので、1年はやってみたいと思っています。
臨床では、人工関節手術を、今よりも多く受け持つことになりそうで、手術も病棟も外来も忙しくなります。私は、骨粗鬆症の専門外来もやってますし、先輩から引き継いだリウマチ外科もありますので、マルチタスク気味となっており、ワークシェアをもっと真剣に考えないといけません。
教育に関しては、私の場合、大学院生の指導を主な業務としていますが、現在11人おりまして、それぞれに割ける時間が短すぎて、これがまた問題となっています。
研究は、現在、30以上の高解像度CTによるリサーチプロジェクトを抱えていて、そのくせ新しい研究を今後10くらい準備しており、まさにワーカホリックの自作自演です。
自分を苦しめているのは自分自身なので、自分を変えないと、この状況は変わりません。
で、今年の目標は何にしましょうか。「ワークシェア」とか「仕事ふやすな!」とかですかね。
毎年の恒例で、2023年を振り返ります。
1月 HR-pQCT故障 2週間ほど動かず大変でした3月 ISCD@シカゴ(DXAの国際学会)に初めて行ってきました 孤独4月 大学院生が新たに1名参加(向井先生)4月 島原病院に月1で応援診療に行き始めました 島原は美しい5月 骨折事件 子どもと遊んでいて激しく足関節を捻挫しました8月 臨床研究サマーセミナーを開催しました 素晴らしい仲間に出会えました9月 コロナ感染(2回目) またメンタルやられました9月 日本骨粗鬆症学会で 森井賞を受賞しました10月 ASBMRで初のオーラル発表をしてきました とんでもない緊張!!10月 4年ぶりにサンフランシスコに行ってきました
今年はとにかく発表ばかりしていた印象で、スライドを数えてみると、、合計56回でした。週に1回は何らかの発表をしていることになりますね。研修医の時に、1つの発表がとっても大きい存在だったことを思うと、大人になったなと思います。
論文アクセプトは、今年はなんと1本でした(Dmab-OP)。うーん、ひどいな、、ボトルネックは私です。
現在、サブミット済やほぼ完成の論文は3つあり(PTH-QCT、LC、RA)、さらに今後、9本ほど完成が予定されていますが(RAC、Cad-Hum、TAA、LIX、AFI、Gx、NOR-Vit.D、PTHvsNOR、PTH2)、、私がボトルネックです。ふんづまっています。
今年はあと、足関節捻挫(外果裂離骨折)、五十肩(烏口下インピンジメント)、右小指ばね指、そして、慢性腰痛+急性腰痛発作、と、体を痛めまくって、老化を感じる年でした。
来年からは医局長になろうとしていますが、私の体は大丈夫なんでしょうか?
子ども達との時間は、今だけ、今しかない、かけがえのないもので、家族イベントは今年も、ハウステンボス、キッザニア、USJ、TDL、、と満喫しました。
来年は数ヶ月間のみサンフランシスコ育ちの長男(K-pon)が小6になりますが、できるだけ遊びには行きたいなと思っています。
本日、大晦日は、家でゆっくり過ごします。ではよいお年を。
昨年に引き続き、ねずみ国に行ってきました。
初日はしー。長女(小2)へのサプライズで、幼稚園時代に仲良しで、東京に引っ越したお友だちと偶然再会する、というお母さんたちの悪だくみが実行され、久々の再会でもじもじする両娘(小2)と、すぐに打ち解ける次女(4歳)のキャラ差が、見ていて微笑ましかったです。終始テンションの高い子どもたちを見ているのは、親にとって最高の喜びです。
カメと会話するやつに次女(4歳)が当たりまして、娘が「好きなキャラクターはなんですか?」と質問。カメ「キャラクターってなんだい?」 娘「ディディディー」カメ「ディディディー? 、、あぁ、ディズニー! そういえば、こないだ海でひろったおもちゃに、ディズニーって書いてあったな、、(バスライトをもってあらわる)」みたいな、どうやってどんな質問にも映像が対応できるのか、大人たちはひたすら感心するのでした。
そして夜は、昨年の恨みを晴らすべく、万全の体制でビリーブの陣取りを行いました。シート広げてPC開いて、JJOSの依頼原稿を書いてました。2時間なんてあっという間。前回はほとんで見れなかった海のショーを見ている子どもたちを見ることができて、しあわせな時間でした。
2日目は国。パレード陣取り係です。40周年のパレード、ハーモニー・イン・カラーは良かったですね。音楽が良くて、今でもよく聞き直しています。しーの文面に力を注ぎすぎて失速。これで終了です。
900回目の投稿です。ここまできたら、目指せ1000回です。
2011年からブロガーやってまして、インスタやTikTokの世の中でもはや時代遅れですが、趣味として12年間続いています。
ときどき海外出張でテンションが上がる私の記事を、これからも宜しくお願い致します。
見た目は若いと言われていますが、中身のジジイ化は確実に進んでおりまして、慢性腰痛、右小指ばね指、今年は、左足関節外果骨折もしましたし(骨片は丸くなりました)、
最近一番つらいのは、右肩関節周囲炎(五十肩)です。正確には烏口下インピンジメントが起きており、外旋や水平屈曲がとにかく痛い!夜間痛もひどく、夜中に何回も起きます。
あと、老眼もひどくなり、、言い出したら止まらんな、遠近両用コンタクトレンズの調整に苦労しまして、やっと最近、落ち着いたところです。
時々、昔の記事を読むのは、楽しいですね。もともと留学ブログだったのですが、その頃のキラキラ感は、一生モンで、死んだ時は、このブログは本にして、棺桶に入れてもらいたいです。
センチメンタルジャーニーのはずでしたが、滞在した2日間が、やったら暑くて、、サンフランシスコらしくない、南カリフォルニアの感じ、バス&徒歩でしたので、ひどく消耗し、感傷には吹けれませんでした。
思い出の丘、Bernal heights は、ひたすら暑くて、あと、コヨーテに会ってちょっとビビりました。おっかけれらて噛まれたらどうしようって、、勝ち目なし。
オレンシアストリートのDandelionは、私のお気に入りのチョコ屋ですが、日本に出店しすぎて、ここで買う価値が下がってしまうという、あるあるが起きています。日本には、もう3店舗もあるんかい!
さて、今回のSF滞在の一番の目的は、ミーティングx2です。
一つは、UCSF研究者で親友のAndrew Burghardt 先生とのHR-pQCT研究に関するミーティングです。UCSFは最近HR-pQCTを新型に交換中のようで、現在第1世代と第2世代HR-pQCTの2台持ちになっています。
ミーティングでは、主に私の研究ラインナップを紹介して、コメントをもらいましたが、彼はやはり技術的なものと、関節リウマチに興味があるようで、岡崎先生の撮影方法の研究と、白石先生、渡邉先生、飯田先生のErosionの研究には反応してもらいました。それにしても私の英語力は残念で、もいっかい留学することを決意しました。さらっとカミングアウトしますが。
もう一つは、UCSF Orthopaedic Trauma Institute(OTI)の長尾先生とのミーティングで、新しいOTI Building(Pride Hall)の施設見学と、UCSF-長崎大学の人材交流や留学に関してお話しができました。
噂には聞いていましたが、新しく引っ越したOTIは驚きの狭さで、スタッフの部屋は、日本の医局より狭かったです。何か色々な事情でこうなったようですが、みなさん嘆いていました。とはいえ、スタイリッシュな内装で、カダバートレーニングセンターは、以前よりも規模が大きくなっていました。コロナ明け、引っ越ししたてで、日本からの訪問第1号だったようです。
夜は長尾家で夕食をごちそういただきました。出張最終日に素敵なお庭での日本食は最高でした。長尾先生の奥様とは、日本人の働きかたについて、激論をかわしてきました。日本の医者の、自分や家族を犠牲にした働きかたと、米国の医者の、個人や家庭を大事にする働きかたには大きな違いがあり、その差はシステムの差であり、マンパワーの差であり、財源の差ですので、なんともしがたいですが、久々このような、留学時代を思い出せるような視点をもてて、とても楽しい会話でした。
海外出張報告の残りです。もう1ヶ月前のことを今さらアップして申し訳ないですが日本は多忙で、、
バンクーバーでの学会の後に、サンフランシスコに2日間ほど滞在してきました。
北米出張の際は、サンフランシスコに立ち寄ることにしているのですが、コロナもあって、今回は2019年以来の4年ぶりの訪問となりました。
いつも宿泊していた小さいホテルは、物価高で、一泊3万円を超え出したので、今回は安めのホテル探しに苦労しました。安くても2万円ほどし、治安もさほど良く無い場所でしたが、慣れた街ですので、問題なく過ごせました。
ダウンタウン周辺は、閉店が目立ち、尿臭がアップして、あまりいい感じはしませんでした。
思い出の地、ジャパンタウンに行ってきましたが、下の写真が、私たちが最初の1ヶ月間住んでいたアパートで、ジャパンタウンの南のフィルモアにあり、まぁここも当時からあんまり治安は良くない場所でした。
ジャパンタウンには、日系の銀行であるUnionBankがあったのですが、2022年に三菱UFJが撤退したため、現在は、US Bank になりました。私の移行手続きがうまくいかず、カードがなかなか日本に届かなかったので、ジャパンタウン支店で直接聞いてきました。スタッフはUnionBank時代の日本人のままで、日本語なので話は早く、カード問題は解決しました。
さぁ、噂の外食事情を確認しようと思い、以前からよく通っていたタイ料理屋に行ってみました。パッタイというタイ風焼きそばが好きで、よくたのんでいたですが、お値段いくらでしょう??
お会計、21.7ドル! チップ込むと25ドルなので、日本円で3600円!!おーいい!!!パッタイで3600円は無理す。今、米国留学してる人たちは大変だね。。
つづく
海外出張報告、まだまだ続くのですが、帰国後の多忙さでアップが止まっていました。
ASBMR最終日の翌日は、例年、HR-pQCTのUsers Meeting が開催されています。今回のトピックスは、、
1)年次報告:HR-pQCTの普及現在、世界で96台だそうです。第一世代と第二世代の交代が進んでおり、第一世代HR-pQCTが32台まで減り、第二世代HR-pQCTが64台まで増えています。ぼちぼち第二世代の新規性はうたえなくなってきました。
2)年次報告:HR-pQCTの論文数昨年は103編だったそうです。その半分が n=10〜99例、1/4が n>100の規模で、それ以上のLarge cohortの論文は3つでした。長崎のCohort studyであるJ-CaraT study は、まだ認知が低いですので、がんばらないといけません。
3)小児撮影小児疾患へのHR-pQCTの応用は以前からのトピックスでして、これは、前述のRBDとも関連していることに最近気づきました。長崎大学ではまだ始めていませんので、今後は小児科と組んで何か始めれたらいいなと思っています。小児撮影は、標準撮影法がまだ確立していませんが、いよいよ3つほどの候補に絞られているようでした。
4)連続撮影、Motion artifactHR-pQCTの最大の弱点は、Scan speedが遅く、広範囲撮影ができないこと、Motion artifactが多いことです。Motion artifactは判定が困難なこともあり、AIを用いた判定が提案されていました。また、連続撮影を行うと、撮影スタックごとにすこしだけZ軸のずれが出ることがありますが、これを補正する手法について2つ発表がありました。Scanco Medicalもスタックシフト補正に、ユーザーが関心が高いことをやっと認識したようで、標準機能にすることを検討しはじめるとのことでした。
5)画質向上AIを使った画質向上について発表があり、かなり綺麗でした。教師ペアを画像でなくサイノグラムで行えないかというアイデアもでて、盛り上がりました。個人的には、微細構造の定量解析において、特に差分画像などを取った時に、AIが作った画像がどこまで真の形態なのか疑ってしまうのですが、この点は今後 Validationが行われると思います。