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ひさびさSF訪問-2

センチメンタルジャーニーのはずでしたが、
滞在した2日間が、やったら暑くて、、サンフランシスコらしくない、南カリフォルニアの感じ、
バス&徒歩でしたので、ひどく消耗し、感傷には吹けれませんでした。

思い出の丘、Bernal heights は、ひたすら暑くて、あと、コヨーテに会ってちょっとビビりました。
おっかけれらて噛まれたらどうしようって、、勝ち目なし。

オレンシアストリートのDandelionは、私のお気に入りのチョコ屋ですが、
日本に出店しすぎて、ここで買う価値が下がってしまうという、あるあるが起きています。
日本には、もう3店舗Link もあるんかい!

さて、今回のSF滞在の一番の目的は、ミーティングx2です。

一つは、UCSF研究者で親友のAndrew Burghardt 先生とのHR-pQCT研究に関するミーティングです。
UCSFは最近HR-pQCTを新型に交換中のようで、現在第1世代と第2世代HR-pQCTの2台持ちになっています。

ミーティングでは、主に私の研究ラインナップを紹介して、コメントをもらいましたが、
彼はやはり技術的なものと、関節リウマチに興味があるようで、
岡崎先生の撮影方法の研究と、白石先生、渡邉先生、飯田先生のErosionの研究には反応してもらいました。
それにしても私の英語力は残念で、もいっかい留学することを決意しました。さらっとカミングアウトしますが。

もう一つは、UCSF Orthopaedic Trauma Institute(OTI)の長尾先生とのミーティングで、
新しいOTI Building(Pride Hall)の施設見学と、UCSF-長崎大学の人材交流や留学に関してお話しができました。

噂には聞いていましたが、新しく引っ越したOTIは驚きの狭さで、スタッフの部屋は、日本の医局より狭かったです。
何か色々な事情でこうなったようですが、みなさん嘆いていました。
とはいえ、スタイリッシュな内装で、カダバートレーニングセンターは、以前よりも規模が大きくなっていました。
コロナ明け、引っ越ししたてで、日本からの訪問第1号だったようです。

夜は長尾家Link で夕食をごちそういただきました。出張最終日に素敵なお庭での日本食は最高でした。
長尾先生の奥様とは、日本人の働きかたについて、激論をかわしてきました。
日本の医者の、自分や家族を犠牲にした働きかたと、米国の医者の、個人や家庭を大事にする働きかたには大きな違いがあり、
その差はシステムの差であり、マンパワーの差であり、財源の差ですので、なんともしがたいですが、
久々このような、留学時代を思い出せるような視点をもてて、とても楽しい会話でした。

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— posted by 千葉恒 at 05:05 am   commentComment [0] 

HR-pQCT User Meeting

海外出張報告、まだまだ続くのですが、帰国後の多忙さでアップが止まっていました。

ASBMR最終日の翌日は、例年、HR-pQCTのUsers Meeting が開催されています。
今回のトピックスは、、

1)年次報告:HR-pQCTの普及
現在、世界で96台だそうです。第一世代と第二世代の交代が進んでおり、
第一世代HR-pQCTが32台まで減り、第二世代HR-pQCTが64台まで増えています。
ぼちぼち第二世代の新規性はうたえなくなってきました。

2)年次報告:HR-pQCTの論文数
昨年は103編だったそうです。
その半分が n=10〜99例、1/4が n>100の規模で、それ以上のLarge cohortの論文は3つでした。
長崎のCohort studyであるJ-CaraT study は、まだ認知が低いですので、がんばらないといけません。

3)小児撮影
小児疾患へのHR-pQCTの応用は以前からのトピックスでして、
これは、前述のRBDとも関連していることに最近気づきました。
長崎大学ではまだ始めていませんので、今後は小児科と組んで何か始めれたらいいなと思っています。
小児撮影は、標準撮影法がまだ確立していませんが、いよいよ3つほどの候補に絞られているようでした。

4)連続撮影、Motion artifact
HR-pQCTの最大の弱点は、Scan speedが遅く、広範囲撮影ができないこと、Motion artifactが多いことです。
Motion artifactは判定が困難なこともあり、AIを用いた判定が提案されていました。
また、連続撮影を行うと、撮影スタックごとにすこしだけZ軸のずれが出ることがありますが、
これを補正する手法について2つ発表がありました。
Scanco Medicalもスタックシフト補正に、ユーザーが関心が高いことをやっと認識したようで、
標準機能にすることを検討しはじめるとのことでした。

5)画質向上
AIを使った画質向上について発表があり、かなり綺麗でした。
教師ペアを画像でなくサイノグラムで行えないかというアイデアもでて、盛り上がりました。
個人的には、微細構造の定量解析において、特に差分画像などを取った時に、
AIが作った画像がどこまで真の形態なのか疑ってしまうのですが、この点は今後 Validationが行われると思います。


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— posted by 千葉恒 at 06:58 am   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -9

4)画像解析
画像解析は私の最も専門とする分野です。

今回、UC BerkeleyのTony Keaveny先生より、以前から提案されていた大腿骨近位部のCT画像を用いた有限要素解析である
BCT(Biomechanical Computed Tomography)を、さらにアップグレードさせた手法の提案がありました(BCT+)。
そこには、骨(骨密度、ジオメトリー)に加え、筋量、皮下脂肪(転倒時のクッションとしての)の要素が取り入れられています。

また、ETH Zurich の大御所、Ralph Müller先生からは、In Silico Prediction というタイトルで、
これもシミュレーションですが、骨組織だけでなく、細胞活動も含めたシミュレーションが新たに提案されていました。
各種薬剤のIn Silico Predictionが、治験データを再現できている、との検証もされており、圧巻でした。

私はテクノロジーに夢を感じる人間で、本当は医師でなくて、こういう仕事をする人になりたかったのではないか、と、
海外の学会に行くたびに、そんな衝動に襲われます。

ちなみに、今回は社交も頑張ってみようと思い、Social Event に参加してみました。
よくわかってなかったので、立食パーティーぐらいに思っていましたが、、ダンスパーティー、というか、もうクラブみたいな状態で、
オーラル発表翌日のヤケクソ感もあったのか、輪の中に飛び込んでみました。。これって実は、会話がないので楽だな。

今回の旅では、池永先生がとても良い役割をしてくれて、もじもじしている私の背中を押して(実際に押して)、
みんなと踊って海外のお友達がまた増えました。後輩に教わることも多しです。ありがたや。


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— posted by 千葉恒 at 10:01 pm   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -8

3)AI
AIはどの分野でもホットトピックです。

骨粗鬆症の分野では、AIは主として、椎体骨折の自動検出や骨密度の自動測定、
胸部や腹部のレントゲンやCTなどからの骨密度や骨粗鬆症の予測、そして、骨折リスクそのものの予測に、応用されています。

今回のAIのシンポジウムでは、AIを骨粗鬆症評価の未来だと語るパネリストとフロアの重鎮たち間で大激論が交わされました。
私のわかる範囲で、その論点は「AIが臨床診療において骨折リスクを予測する最適なツールとなりうるか」でした。

現在評価されている骨密度や骨折既往は、将来の骨折発生のサロゲートマーカーに過ぎず、
全臨床データを突っ込んでAIが叩き出す骨折リスク予測が、骨粗鬆症評価の未来像だ、とするパネリストに対して、

Tony Keaveny先生から、AIが叩き出した骨折リスクを目の前の患者に説明するとして、
患者の何が原因で、何を改善すれば骨折リスクを減らせるのか、
AIの予測アルゴリズムはブラックボックスだから、患者に説明できんだろ、と、とっても正論。

するとパネリストから、FRAXもブラックボックスだろ、みたいな応酬。
するとそこに、John Kanis先生も参戦して、なかなかの議論になっていました。。聞いていてとても面白かったです。

— posted by 千葉恒 at 08:03 pm   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -7

また研究の話に戻りますが、
私の専門分野(画像解析、薬物治療)で気になったのは、、

1)経口テリパラチド製剤

以前もリポートLink しましたが、テリパラチドの内服薬がイスラエルの製薬会社で開発中です。
Phase 3のを検討しているようですが、どうもまだ始まっていないようです。

今回は、PK(Pharmacokinetic)に関するポスター発表をしていました。
内服後20分でCmax500pg/mlに到達するというプロファイルでした。

経口のアナボリック製剤は、残されたテーマですので、今後の展開が楽しみです。

2)カプセル注射(Robotic pill)

とてもユニークな製剤の報告がありました。
カプセル製剤なのですが、内服すると腸内でカプセルが溶けて、内部のバルーンが膨らんで、
そこから針が出てきて、腸壁内にテリパラチドを注射します。
しかも、その針は、そのまま腸内で溶けるんです。

痛みなくテリパラチドを投与することができ、
毎日の自己注射から解放される、面白い発想だと思います。
ただ、現状では、1.0x2.6cmという、毎日飲むにはツラいサイズかなと思います。

サンノゼの会社が開発しており、その仕組みはすでに論文公開Link されているようです(下図)。



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— posted by 千葉恒 at 07:13 pm   commentComment [0] 

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