顎骨壊死

骨粗鬆症の代表的な治療薬であるビスホスホネートの、稀な副作用として、顎骨壊死というものが添付文書に記載されています。

これを過度に心配して、骨粗鬆症の治療を望まない人がいます。「顎骨壊死」って名前が怖いですよね。
また、歯科治療の抜歯をきっかけに発症することがあり、抜歯を予定された際に、骨粗鬆症の薬が止められたりしています。

つい先日、医科と歯科の5学会(日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会、日本口腔外科学会 )からポジションペーパーLink が発表されましたが、それには、この間違った状況を是正するような内容が盛り込まれています。

僕的には要点は2つで、患者さんからの質問にどう答えるかです。

1)骨粗鬆症の薬を飲むと顎骨壊死になるの?

骨粗鬆症の薬が顎骨壊死を引き起こすかどうかは、まだわかっていないです。
骨粗鬆症の薬を飲んでない人たちにも発症し、その発症率はほとんど変わらない、とも言われています。
何しろ発生率が低いので(1人/1〜10万人)、そして、それと比べると骨折の発生率の方が高いので、リスクとベネフィットを考えると、骨密度が低い人は薬を飲んでいた方が安全です。

2)抜歯をするので骨粗鬆症の薬を中止した方がいいですか?

休薬することで、顎骨壊死の発症リスクを下げるエビデンスはないです。
むしろ、休薬して2〜3ヶ月まってから抜歯をすることの方が危険ですよね。
抜歯の原因となっている歯科疾患が、その間悪化するわけですから。

そもそも、顎骨壊死の診断基準が不可解で、
1)口腔内に顎骨が8週以上露出する状態で、2)癌や放射線治療による骨病変が除外され、3)ビスホスホネートまたはデノスマブを内服していれば、
診断されるそうです。

これ、おかしくないですか?
因果関係は不明なまま、ビスホスまたはデノスマブを内服していればそれが原因ってことですが、他の理由で発症しているかもしれないし、、
ビスホスは多くの人が飲んでいる薬で、だったら、胃薬とか降圧薬とかが原因かもしれない、なんて言いがかりも言えそうなくらい。

— posted by 千葉恒 at 10:29 am   commentComment [0] 

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