HR-pQCTでの骨びらんの評価は「MCP関節」がスタンダードになっていますが、病変がより早く生じる手関節および手根間関節での解析法は確立しておらず、今回の私の発表は、手関節の骨びらん体積の定量的評価法としては第一報だと思います。
ただ技術的に難しく、まずは橈骨遠位部だけの発表をしました。次回から、月状骨、舟状骨、有頭骨、、へと解析を進めていきたいです。
今回初めて、ポスター発表の2時間ずっと、自分のポスターの前に立ちっぱなしをしてみました。場所がよかったので、有名な先生にも何人か見ていただけました。
HR-pQCTのStudy group (SPECTRA)のセッションが組まれており(4講演)、チェックしてきました。
1)関節裂隙評価
現在3つの解析法があり(UCSF、Calgary、Lyon)、概ね同じようなアルゴリズムで、標準化が進められています。
解析パラメーターは主に、JSV(体積)、JSW(幅)、JSWmin(最小幅)、JSWmax(最大幅)です。
JSVは、JSWが減少すると関節面が骨棘などで広がってJSVが大きくなってしまうパラドックスがあるのがピットフォールです。
軟骨障害を最も表現しそうなのは、JSWminですが、肢位による再現性がやや不良であることが問題です。
2)骨びらんの同定
骨びらんの鑑別所見である血管孔についての研究を、フレッシュカダバーの血管造影前後のHR-pQCT画像を比較して、検討していました。
骨びらん同定の問題は、健常人アトラスを確立しなければ、解決しないと思っています。
3)骨びらんのHR-pQCTとMRIの比較
BML(Osteitis)とHR-pQCTを比較した過去の報告では(UCSF)、BMLは骨梁の増殖性変化を反映していました。しかしながら、BMLは時間的なフェーズによって様々な状態であるはずですので、この結果は一概には言えず、Nの多い追試を行う余地があると思います。
MRIの解像度が上がっているので、(骨梁と比べて)びらんほどの大きい構造物であれば、HR-pQCTでなくてもいいのでは、という質問がされていましたが(HK Genant)、やはりMRIだとスライス厚はがんばっても300〜500μmでその定量性にはかなり疑問があり、特に薬剤投与6ヶ月後のわずかな変化を捉えることは不可能だと思います。
4)骨びらんのHR-pQCTとUSの比較
USの骨びらん検出力は、感度も高く問題ないかと思います。PDによる血流評価が鑑別情報になるという強みもあります。
HR-pQCTと比較した問題点は、特異度が高くはなく、骨棘などの構造物がまぎらわしかったり、あとは体積や深さなどの定量性は期待しにくいと思います。
サンディエゴはおそらく3回目。空港とダウンタウンとコンベンションセンターがコンパクトにまとまってて良いのですが、ANA(スタアラ)での日本からのアクセスが悪いですね。
前回トラブル続きだった uber ですが、今回はうまくいきました。ホテル→会場といった、シンプルな使い方に限定しました。
今回も、長崎大学の膠原病内科の先生たちと一緒に行動させてもらいましたが、研究を楽しんでいる感があって、いい雰囲気だなと思いました。
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