医師が海外留学する意義-1

私の留学時代のマブダチである森岡和仁先生(UCSF、Orthopedic Trauma Institute、Neurological Surgery、東京大学 整形外科)が、7年間におよぶ留学経験を通して、「留学の意義」について集大成的な和論文を執筆されました。

タイトルは、「グローバル時代に医師が海外留学する意義」で、ここLink からフリーダウンロードできます。中身濃いです。ご一読ください。

医師の留学の現状がとても詳細に整理されていて、そして後半は、留学にかける熱い気持ちが、私の中にもよみがえってきて、、もう1回留学したいくらい。

本文から一部、紹介させてもらいたいと思います(が、よろしかったでしょうか?森岡先生。)

「日本人医師は海外でもモラルが高く社会的信用があり,比較的留学しやすい立場にあった.しかしながら,米国では環境の変遷に伴って付加価値よりも成果に直結する専門性の高い人材を求めるようになり,留学環境が明らかに変化してきていることは日本人医師にとっても例外ではなく,研究留学自体が一筋縄ではいかない状況にある」

→ 全くその通りでして、米国の研究費は以前よりかなり削減されていますので、即戦力でない、つまり英語も喋れない、英文論文もなかなか書けない、日本人医師は、採用が困難になっています。正直、長崎大学整形外科のUCSF留学が3人x2年=6年間で終わったのも、この部分が大きかったです。

「医療や生命科学に関する最先端の情報は海外から発信されることが多いため,可能であれば一度は間近で経験してみたいと思う人は少なくないはずである.短期滞在したことがある人であれば,経験前よりも好奇心を掻き立てられ,長期的に挑戦したいと感じたのではないだろうか.米国の医療保険制度ならではの合理的なシステムは魅力的に映り,グローバルな業績を上げている研究室のミーティングは独特な雰囲気を感じるはずである.」

→ 全くその通りでして、私が所属していた30人程のビッグラボのミーティングは、今でも心に残っていて、録音した音源をたまに聞くと、今でも心が揺さぶられます。また、米国の医療の合理的なシステムは魅力的で、憧れたものです。
しかし、いずれも日本で再現することは不可能に近いことを帰国後に知ります。医師にとって、研究は兼業、片手間ですので、あのミーティングは再現できませんし、米国医療の専門化や高収入は、あの異様な保険制度によってのみ成り立ちますので。。

長くなりそうなので、つづく


2019-06-13210018




— posted by 千葉恒 at 08:47 pm   commentComment [2] 

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