私たちが使用している第二世代HR-pQCTは、がんばれば「膝」の撮影をすることができます(下の写真)。
「15KOA」というコードで管理されているこの研究は、変形性膝関節症(osteoarthritis of the knee:KOA)患者さんの膝の軟骨下骨を、HR-pQCTを用いて詳細に解析しています。
本論文では、計20名の健常人〜OA患者の膝をHR-pQCTで撮影し、OAの進行と、軟骨下骨の変化を横断的に調査しています。
その結果、内側関節で、軟骨摩耗の進行やアライメントの内反化と、軟骨下骨の骨梁の肥厚に相関を認め、内側関節の中でも特に、前方や内側で強い相関を認めました。
OA膝の病的変化は、「軟骨摩耗」「関節炎」「軟骨下骨変化」の3つで構成されますが、前二者を精査できるモダリティはMRIですが、軟骨下骨を最も詳細に解析できる現存するモダリティは、HR-pQCTと考えられます。
本研究の結論として、病態の一部を捉えたこともありますが、それよりも、解析手法を確立したことの方が、私としては重要と考えています。本研究で得たノウハウは、今後、多くの膝の研究に応用できます。
まぁ、実際のところは、HR-pQCTで膝をきれいに撮影することは、容易ではありません。よく、体位やガントリー直径の指摘を受けますが、それよりも何よりも問題は、モーションアーティファクトと画質です。もし第三世代HR-pQCTが開発されれば、この問題は大きく改善すると思います。5〜10年後かな。
本研究は、Bone(Impact Factor: 4.360)に掲載されました。
In vivo analysis of subchondral trabecular bone in patients with osteoarthritis of the knee using second-generation high-resolution peripheral quantitative computed tomography (HR-pQCT)
ちなみに、このブログを見返すと、アクセプト報告など、リア充構成になっていますが、実際は違います。
いま手元にある3つの論文のうち2つはリジェクトをくらっており、基本的には論文は「負け続け」です。
さらに「既に完成すべき論文」が4つ、完成していません。私の仕事術が迷走しまくっており、多重債務者となっています。
この冬休みで挽回できるかな、、
あ、メリークリスマス。
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