週末に三菱重工硬式野球部の投手の方に来院していただき、HR-pQCTで肘関節の撮影を行いました。
今回は両側の肘を撮影し投球側と非投球側を比較する研究を予定しています。
スライス厚60μm(=0.06mm)、撮影部位は3cm、撮影時間は片方の肘で8分程度です。
現在、最先端の臨床用CTがスライス厚0.25mmですので、HR-pQCTの空間分解能の高さがわかると思います。
去年夏に僕が被験者になって肘を撮影してもらった時は、わずかな体動で生じる画像のブレ(motion artifact)がひどく、帰国前は今回の撮影がうまくいくか心配でした。
しかし、すでに千葉先生、岡崎先生が対策を講じておられました。
①上腕部までを固定する装具の作成
②iPadの使用
③前腕をやや回外にする(手のひらが少しだけ上をむく肢位)
①はかなえ義肢さんに依頼され、前腕部のみを固定する通常の装具に取り付ける形で、肘から上腕部も固定できるようになっていました。
実際に自分の腕につけてみると、かなり力を入れても肘関節周囲を動かすのは難しかったです。
②はUCSFを含む他施設でも行われています。
8分間じっとしておくのは大変ですので、意識をYou Tubeの動画に向けてもらい、motion artifactを少なくする狙いです。
選手の方がリクエストされる動画(高校野球のダイジェスト、プロ野球の好プレー集、音楽など)を撮影中に見ていただきました。
③の肢位の方が、これまでの試験撮影などではmotion artifactが少なかったということでした。
選手の方々は練習後で疲れていらっしゃるはずなのに、本当に撮影に協力的で、ある選手の方は2回の撮影で終わらせようと、『無駄なランナーは出しません』と言って集中されていました(片肘ずつ撮影し、いい画像であれば2回の撮影で済みますが、motion artifactが強ければ再度撮影させてもらっていました)。
お陰様でいい画像が撮れました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
今回の撮影では予想していた通り、投球側の肘関節には骨梁肥厚などの変化がありそうです。
解析開始までにはもうしばらく時間が必要で、今はそれぞれの投手の左右の肘をじっくり観察し比較している段階です。
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