これは私が2020年から大注目しているプロジェクトです。
(SABRE Project:Study to Advance BMD as a Regulatory Endpoint、SABRE はカタカナではセーバーと発音されています。)
プロジェクトのメインメンバーである、Dennis Black 教授は、長崎に来たり
たしか2020年に学会場で立ち話で解説してくれて、最初はちんぷんかんぷんでしたが、徐々に、これはビックプロジェクトだと思い、そこからフォローしています。
これも留学のおかげですね。。
このブログでは、2020年
2020年の解説がわかりやすいので、転記します。
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Surrogate threshold effect (STE)
骨粗鬆症の新薬を開発するときに、もちろん治験で有効性を証明するわけですが、何をもって有効とするか?「骨密度の増加」または「骨折の抑制」のどちらかになるわけですが、歴史的に「骨折の抑制」をもって有効としています。でも、骨折ってそんなに起きるわけじゃないので、かなりのサンプルサイズが必要です。
Surrogate threshold effectとは、どう訳せばいいのかわかりませんが、過去の骨粗鬆症の治験の莫大なデータを用いて、骨密度が何%増えれば骨折がまず抑制できるだろうと言う、骨折抑制の代替となる骨密度の閾値を設定しようというコンセプトです。このプロジェクトには、骨代謝、骨粗鬆症業界の著名な人たちが共同演者となっています。
今回の発表では、大腿骨(全体)骨密度が24ヶ月で、1.2%上がれば椎体骨折、2.1%上がれば非椎体骨折、3.2%上がれば大腿骨近位部骨折の抑制が、有意に得られる、という結果でした。骨折をプライマリーエンドポイントにしなくても骨密度だけで疫学・統計学的には骨折抑制を証明できると言う意図です。大腿骨骨密度の3.2%アップはまぁまぁ大変だと思いますが、1.2%ならどうにかなりそうですね。
降圧薬は血圧が下がればいいわけですが、骨粗鬆症治療薬は骨密度が上がるだけではダメで、骨折抑制を証明しないといけないので、ハードルが高いと言われてきました。企業には大きな負担であり、これが新薬開発を妨げてきたとも言われています。そして現在、骨粗鬆症の新薬開発はほとんど枯渇してしまいました。これが、今回のプロジェクトの背景にあります。
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昨年2024年のASBMRは、メモだけして、アップし忘れていますね(いつかアップしようかな)。
簡単に言うと、FDA承認の最終ステップまできた。2025年の1月に決断がくだされる。という内容でした。
その際は、FDAからの演者もいて、ポジティブな講演内容でした。いよいよ感があったのですが、、
2025年の前半に、何度かググったのですが、承認のニュースは全然でてこない。トランプがらみかな??と思っていてら、
7月にLinkedinで、メインメンバーの Mary Bouxsein 教授が、ある会社が申請していたphase3のSTEでのプロトコールをFDAが認める通知を出した、とポストしていて、
わくわくしながら、9月のASBMRに突入しました。
で、今年の報告では、Dennisがアップデートを解説し、Maryが承認の最新情報を伝えてくれましたが、
ちょっとややこしい状況みたいで、FDAがSTEを公式に認める前に、STEプロトコールの申請を承認したようです。
「the cart before the horse 」(順番が逆だ!)と言ってましたが、まぁ、ポジティブな方向性として捉えています。
そして、FDAの公式な承認は、2025年12月というのが最新情報のようです。
さぁこれは大変です。
プライマリーエンドポイントを、骨折から大腿骨の骨密度(Total hip BMD)にしてよいならば、
骨粗鬆症治療薬の治験が500例でできるようになるのです。
企業としては、予算がとんでもなく節約でき、リスク(症例数が多すぎることで出現する)も回避できます。
高血圧治療薬が、血管イベントの抑制を証明しなくても、血圧が下がれば承認されるのと同じ状態になります。
これを契機に、骨研究が活発になることを期待します。
私が2年前から応援している海外の製薬企業があり、連絡を取り合っていますが、是非とも日本に導入したいと思っています。
あとは、カテプシンK阻害薬のふっかつ、、とか? 誰かしてくれないかなぁ//



















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