学会@シアトル

シアトルで開かれていたASBMR(American Society for Bone and Mineral Research)に参加してきました。
シアトル空港で千葉先生、岡崎先生と、学会会場で富田先生、島内先生と合流しいっしょに行動しました。
 
シアトルは2回目になりますが、緑があって落ち着いた雰囲気の街並みが広がっています。
San Franciscoはエネルギッシュな雰囲気がありますが、それとは対照的かなという気がします。
 
学会ではポスターチェックや講演などを聞いてきました。
印象に残った内容をいくつか挙げたいと思います。
 
①抗スクレロスチン抗体はFEA(有限要素解析)で、椎体だけでなく、大腿骨近位でも強度を上昇させる
②DXAでBMDが2%上昇すれば大腿骨の骨折リスクは8%低下する(BMD6%upで骨折リスクは59%低下)
③大腿骨非定型骨折はアジア人に多い
 
抗スクレロスチン抗体は現在第2相試験中です。
腰椎ではフォルテオやテリボンなどのPTH製剤でも強度の上昇が見られたが、大腿骨では抗スクレロスチン抗体のみ強度増加がみられたということでした(PTH製剤では有意差なし)。
これまでの報告でもPTH製剤は腰椎と比較すると大腿骨での骨密度を上げる作用は少ないと言われています。
大腿骨の骨密度が特に低い患者さんには抗スクレロスチン抗体がfirst choiceとなる日が来るのかもしれません。
 
今まで骨粗鬆症治療を行っている患者さんには、DXAの結果を説明する際に折れ線グラフを指さしながら1SDアップすると骨折リスクは半分ぐらいに改善しますと説明していました。
自分で説明しながら「患者さんはあまりピンとこないだろうな」と思っていました。
今後はこの数字を引用しながらDXAの結果を説明して、本人の治療に対するモチベーションになればなと思います。
 
非定型骨折はビスフォスの長期内服などが関与しているとされる、特殊なタイプの大腿骨骨折です。
これまでも同様の報告がなされていました。
今回のデータでは非定型骨折の発生率はアジア人60%、白人27%、その他13%という結果でした。
予想以上にアジア人の割合が高いと思いました。
欧米人と比較し、アジア人はBMIが低い、身長が低い、大腿骨の弯曲が強い傾向などいろいろな要因があると思いますが、原因は未だに明らかになっていません。
今後さらなる研究・報告が待たれます。
 
来年は9月中旬にアトランタで開催される予定です。
ラボでの研究をポスター発表できるよう準備をしていきたいと思います。

 
2015-10-12151310
UCSFのメンターAndyと千葉グループ

— posted by 佐田潔 at 10:53 pm   commentComment [2]  pingTrackBack [0]

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