DXAの精度(再現性)

アップをサボってました。死ぬほど多忙な日々でした。

私は「精度(再現性)」にはうるさい方です。かつて論文を書いたこともある関係で。
骨密度測定装置(DXA)の精度管理の話をしたいと思います。

例えばある人の骨密度を測ったとして、同じ日に3回測れば、例えば1.12 g/cm2と言う数値が、3回連続で出ないといけないわけです。
しかしそういう完璧な測定装置は世の中にはありません。何かを測定する装置は、必ず測定値のブレが生じます。
そのブレの程度が再現性であり、その装置がもつ「精度」です。

DXAの場合はISCD(International Society for Clinical Densitometry)という、国際的な機関がありまして、
そこが、Official Positionsを出しています。このURLLink によくまとまっています。

精度管理の部分を抜粋すると、、

2015 ISCD Official Positions – Adult

Precision Assessment

To perform a precision analysis:
Measure 15 patients 3 times, or 30 patients 2 times, repositioning the patient after each scan
Calculate the root mean square standard deviation (RMS-SD) for the group
Calculate LSC for the group at 95% confidence interval

15人の患者を3回、または30人の患者を2回、撮影する(連続で撮影しない)。
RMS%CVを計算する(%CVの2乗の15人の和を15で割ったものの平方根)。
LSC(最小有意変化:変化を有意とみなせる最小値)はCVに2.77をかける(95%CI)。

The minimum acceptable precision for an individual technologist is:
Lumbar Spine: 1.9% (LSC=5.3%)
Total Hip: 1.8% (LSC=5.0%)
Femoral Neck: 2.5% (LSC=6.9%)
Retraining is required if a technologist’s precision is worse than these values

許容できる再現性(RMS%CV)は、腰椎1.9%、大腿骨全体1.8%、大腿骨頚部2.5%。

自分の病院の骨密度測定装置が毎回ばらついて、どうも信用できない、、と言う方がおられれば、
15人に協力をしてもらって、異なる日に3回の撮影してみて下さい。
RMS%CVの計算の方法がわからなければ、私がそれを計算するためのExcelを提供しても良いです。

ちなみに当院の放射線技師はDXA撮影に習熟しており、下図のごとく極めて高い再現性を叩き出しています。


2020-02-25214512



— posted by 千葉恒 at 08:53 pm   commentComment [3] 

この記事に対するコメント・トラックバック [3件]

Up1. やまなか — 2020/02/29@07:23:11

骨密度は骨粗鬆症治療の大事な指標。患者さんはその値で一喜一憂する訳で、本当に放射線技師さんの撮影にかかってますもんね。
私の義母が先日の骨密度測定(二年間SERMを服用してます)で今まで90%程だった大腿骨YAMが急に65%まで下っており、非常にショックを受けて帰ってきました。
以前から私の病院の先生も「放射線技師の経験がどれくらいYAM値に影響するか研究してみたら?」って放射線技師に言ってましたので、先生のお話を是非参考にさせて頂きます!

2. ちば — 2020/02/29@11:04:54

重要なコメント、ありがとうございます。

SERMを使っていて「大腿骨YAMが90%から急に65%」はおかしいですね。
骨折で長期間入院した、とか、ステロイドを開始した、とかがない限りは、ありえないかも。

一般的に大腿骨頚部(femoral neck)は再現性が不良なので、その辺が関係あるかもです。
あとは、DXA機種の変更(A社からB社とか)はないでしょうか。あれば数値は確実に変わってしまいます。

3. やまなか — 2020/03/03@22:25:52

返信ありがとうございます。

義母は骨折もステロイド内服もしておらず、本当に突然の低下にショックをうけてました。
また、今回DXAを撮ったのは当院のベテラン技師です。(ただベテランですが、撮り慣れてるかと言われれば微妙です)

腰椎も圧迫骨折や下大動脈の石灰化などで数値が高く出るって言われてますし…
本当にちょっと精度について検証してみる必要があるかもしれないですね。

また整形外科医と話してみます!

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