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骨粗鬆症検診

最近、骨粗鬆症検診に興味を持っていまして、検診車を見学しに行ってみました。

下の写真のような骨粗鬆症の検診車が長崎には1台あり、各地の検診会場に出動しているそうです。
検査技師さんが、運転も撮影もしているとのことでした。頭が下がります。

さて、骨粗鬆症検診は、40,45,50,55,60,65,70歳 女性を対象にしていますが、実は全ての市町でそれを実施しているわけではありません。
長崎県の人口は130万人弱なのですが、その1/3を占める長崎市がそもそも骨粗鬆症検診をやっていません。

そういえば、私の妻は40歳になりましたが(こんなことサラッと書いていいものやら)、
骨粗鬆症検診受けたかな?と先日思いましたが、そういえば長崎市やってないじゃーん、と思いました。

そしてもちろんのことながら、骨粗鬆症検診をやっている市町でも、会場に行く受診者は少ないです。

その結果、骨粗鬆症検診を受けるべき女性人口において、実際に受けた人の割合を見ると、
全国平均が5%程度、長崎県は4%程度なんです。少な!

骨粗鬆症検診は、今後、体制の見直しがあるようですので、私も何か貢献できればと考えています。メリークリスマス。

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— posted by 千葉恒 at 10:31 am   commentComment [2] 

モストダウンロード

今日は当直です。日曜の夕方に、医局で一人ぼっちで過ごしています。

ちなみに先月は、人生で初めて、「間違って当直」していました。ついにやらかしたな。
「今日は呼ばれないな、良い日だ」と思いながら、夕方に医局でごはんを食べてたら、
同僚のT先生もごはん食べにやってきて「どうしたの?」「当直です。先生は?」「当直だよ、、あれ?」
もうすぐ当直室に行こうと思っていたので、ここで気づいただけマシでした。彼のベッドで寝るところでした。
家に帰ったら、ちょっと反抗期の愛する娘(6歳)から、冷ややかな目つきで睨まれました。

2022年4月に「Bone」にアクセプトされた私たちのテリパラチドの論文Link ですが、ダウンロード数が多く、
11月の現在時点でも、「The most downloaded articles in the last 90 daysLink 」のベスト8を保っています。

Randomized controlled trial of daily teriparatide, weekly high-dose teriparatide, or bisphosphonate in patients with postmenopausal osteoporosis: The TERABIT studyLink

ただこれはちょっと裏がありまして、
今回は、「テリパラチド」の「RCT(randomized controlled trial)」で「フリーダウンロード」にしている、という点で、
ちょっとダウンロードのボタンを押したくなる条件を整えています。

論文の価値は、一般的には、「引用の数」で評価されています。
で、本件は単に雑誌ウェブサイトから「ダウンロードの数」ですので、本当の論文の価値とは言えないんです。 
とは言え、素直に嬉しいですね!

日本から発信される骨粗鬆症の「臨床」論文には、いくつか不利な点があります。

1つは「日本独特の製剤」です。日本で承認されているビスホスホネート製剤は、容量が海外の半量です。
また、週1回テリパラチドは日本だけの製剤ですし、さらには、活性型ビタミンD製剤も日本だけの製剤です。

そうなんです、
欧米人のエディターやレビュアーは、当然「自分たちが使用できる薬剤」の「白人」のデータに興味があるわけで、
「日本だけの薬剤」の「日本人」のデータには、さほど興味がないのです。
今回のテリパラチドの論文も、興味は薄いのです。レビュアーとのやりとりで、それは感じられました。

Made in Japan の薬剤がある、ということは科学力の証明であり、誇らしいことですが、こういう側面では不利です。

ビスホスホネートに関しては、腸管吸収率が日本人で高いらしく、半量でも白人と同等の効果と考えられており、それを説明しました。
また、週1回テリパラチドは「weekly high-dose teriparatide」と表現して、
high-dose teriparatideに興味のある人たちがいるのを知っていましたので、そちらに寄せました。
Study名も「TERABIT study」として、それっぽさを出しました。

日本の「臨床」論文の、もう1つの弱点は、「規模」です。
今回の論文はN=131(各群N=40程度)で、有意差がつきにくく苦労しました。
日本の医療は、「病院の集約化」ができてないため、診療の効率性だけでなく、臨床研究の規模にも影響を与えています。

論文大国となった中国ですが、その強みの一つは、圧倒的N数です。あと統計も強いように思います。
日本では多施設共同研究で解決していくことが一つの打開策かなと思われますが、私は苦手としています。
書類が煩雑で、評価項目に制限があり、データの管理や質の担保も容易でないからです。
ただ今後はチャレンジしていきたいと思っています。

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— posted by 千葉恒 at 11:21 am   commentComment [0] 

Ct.Th mapping

私たちHR-pQCT研究グループLink からの、第21弾の論文がアクセプトされました。

Cortical thickness mapping at segmented regions in the distal radius using HR-pQCTLink

Ct.ThはCortical thickness、つまり皮質骨の厚みのことです。
ちなみに、皮質骨厚は「ひしつこつあつ」と読みます。
「ひしつこつこう」ですと「厚」か「孔」か「溝」かわかりませんので、音訓読みになったんだと思います。

皮質骨厚はHR-pQCTで計測できるのですが、結果シートでは、例えば1.1mmみたいに表記されます。
これは、皮質骨全周における厚みの「平均値」であり、実際は、薄いところは0.4mmとか、厚いところは1.5mmとかなんです。

部位による厚みの詳細を表すには、厚みをカラーのグラデーションで3D画像で示すことが、技術的には可能で、
そういった論文は存在し、私たちもすでに、その手法を開発しています。
しかしこのカラースケール表示は、画像のみでの表現であり、逆に、数値での表現が難しいのです。
3D画像を見て、この部位は薄いよね、って言えるけど、その患者の代表値でないため他人とは比べられない。

そこで私たちは、厚みをあえて「普通」「ちょっと薄い」「けっこう薄い」の3分割にして、
具体的には、橈骨遠位部で、皮質骨厚が1.0mm以上をグリーン、0.5-1.0mmをイエロー、0.5mm未満をレッドにして、
レッドの面積が、全体の面積の中のどれだけを占めるのか(レッドゾーンが20%とか50%とか)、数値で表現するのはどうかと考えました。

加えて、橈骨の皮質骨を背側、掌側、橈側、尺側の4分割して、それぞれでレッドゾーンの%を算出してみました。

今回は横断的な研究で、30-50歳、50-70歳、70-90歳(N=60、各群N=20)で調査したところ、
背側と掌側でのレッドゾーンが、50歳以降に2.5〜3倍ほど拡大していることが示され、通常解析のCt.Thの変化より大きいことが示されました。

この手法は、今後多いに応用しようと思っており、第一弾の論文として、良いスタートできたと思っています。

太田真悟先生による本論文は、Journal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM、IF:2.976)にアクセプトされました。
おめでとうございます!


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— posted by 千葉恒 at 10:42 am   commentComment [0] 

QUS vs HR-pQCT

少し報告が遅くなりましたが、
私たちHR-pQCT研究グループLink からの、第19弾の論文がアクセプトされました。

Relationships between QUS and HR-pQCT, DXA, and bone turnover markersLink

QUSは超音波を使った骨粗鬆症の評価機器であり、通常、踵の骨で計測されます。
小型でX線を使わず、簡便に短時間で測定できることから、
クリニックやスクリーニングなどで広く普及しています。

本研究では、この踵骨QUSが、腰椎・大腿骨のDXAや、血液検査の骨吸収・形成マーカー、
橈骨・脛骨のHR-pQCTの骨微細構造と、どのような相関関係をもつかを調査しています。

その結果、QUSは「DXAの大腿骨骨密度」および「HR-pQCTの橈骨・脛骨の海綿骨微細構造」と
良い相関を有していました。

まず、踵骨QUSが、同じ下肢の骨である大腿骨DXAと相関を有しているのは、理解できる結果で、
もともとQUSは、大腿骨近位部骨折の予測能をもつと言われていましたので、合致します。

また、踵骨は海綿骨が多い骨であり、違う部位である橈骨・脛骨であっても、
同じ海綿骨の微細構造と相関を有することは、これまた理解できる結果です。

実は、まだ論文化していませんが、皮質骨と海綿骨を評価する意味合いは、
「骨強度」においては「皮質骨」の役割が高いですが、
「骨折するかどうかのリスク評価」においては、「海綿骨」の評価が有用そうだ、というデータを持っています。

よって、QUSで海綿骨の劣化を評価することで、骨折リスクの評価ができていることは、ガッテンです。

新見龍士先生による本論文は、Journal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM、IF:2.976)にアクセプトされました。
おめでとうございます!


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— posted by 千葉恒 at 08:24 pm   commentComment [0] 

HR-pQCT 7周年 & 46歳

毎年8月にアップする恒例の記事を忘れてました。
もう2ヶ月たってるぞ。

HR-pQCTLink長崎に来てLink 、7月26日で丸7年になりました。

この間、立ち上げた研究は「50」(やりすぎ?まだまだネタあり)
研究をした大学院生Link は「19」
獲得した外部資金は「32」
アクセプトされた英文論文Link は「19」、和文論文は「15」

がんばってますが、
近年は、明らかに助成金の獲得ペースが減っています。どうにかせねば、、
一方、データが蓄積し、作れる論文はいくつもあるんですが、書く時間がありません。

7-10年の戦略は下記です。
1)日本人の骨微細構造の基準値(YAM)を作る
2)骨粗鬆症治療薬の大型研究を開始する
3)関節リウマチの解析をさらに進める
4)骨折治癒・骨移植の世界に本格参入

7年経ってこれか。予定より進んでません。時は過ぎるのは早いな。
最近は、私が生きてる間に、したい研究の全てができるのか、不安になるほどです。

で、8月8日で、46歳です。
去年までは四捨五入して50歳かな?いや、そうじゃない、ような気分もあったのですが、
46歳は45歳より急に重くなりました。

今年も去年に引き続きLink 、リサーチグループでは、
リアル千葉ケーキでお祝いしてもらいました。去年より大型化しています。
私の立ち姿、猫背な感じまで、細かな表現ができています。

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— posted by 千葉恒 at 06:45 am   commentComment [2] 

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