人工関節をした後に痛みが残った場合、どう精査すればいいのか、というのは残された課題の1つです。
単純X線で原因がわからない際は、CTやMRなどで精査したいが、特にMRIではメタルのアーティファクトが問題になります。
"Metal Artefact Reduction" は、MR業界で近年のトピックの1つです。
主なものに、MAVRIC とSEMACというテクニックが提案されており、僕の同僚の一人もこれの研究をしています。
ただし、最も気になるメタルと骨の境界部を完全に描出する、というのは厳しいと思います。
あくまでリダクションです。それだけでも十分に意味はあります。
まだ完全には実用化されていませんが、将来、日常臨床でも使用される可能性があると思います。
今月のRadiologyという雑誌(放射線科の世界のJBJS的な存在)に、Metal-on-Metal THA術後に残存した痛みに関与するMRI所見についての報告 があり、有意に関与する因子は、Bone Marrow Edema と Abductor Tendon Tears の2つで、Pseudotumor は関与しなかったと書いていました。
この研究では、特別なシークエンスは使用していませんが、今後はこういった検査がより高精度にできる可能性がある、ということです。
(写真はMAVRIC、Am J Roentgenol. 2011 Sep;197(3):W405-11. MRI after arthroplasty: comparison of MAVRIC and conventional fast spin-echo techniques. Hayter CL, Koff MF, Shah P, Koch KM, Miller TT, Potter HG.より転載)
Comments