セミナーの内容は神経学や分子生物学が主ですので、僕の専門である骨関節や画像解析には直接の関係は無いのですが、自分の知らない世界を垣間みれるのは面白いので、できるだけ参加しています。
先週開催されたセミナー はとても面白くて、日本人ポスドクがいかにしてアメリカでPI(principal investigator)になって、独立した自分のラボ作るかについて、実際に自分のラボをもっている日本人PIの先生方による、講演とパネルディスカッションがありました。
ものすごい競争の世界のようです。例えば、UCSFの1つのPIのポストに、実績のある優秀な研究者達から200通ぐらいの応募があるらしいです。論文や助成金などの実績(Nature、Cell、Science クラス)、特殊技能、将来性、プレゼン力、推薦状などなど、、求められるものは高度のようです。
僕のように日本でMDをしていて、アメリカで研究留学している人間は、本職は医師ですし、そちらの方が収入もいいわけですから、基本的に日本に帰ることを考えています。留学は、今後の日本での研究のための踏み台に過ぎませんし、または人脈作り、英語の勉強、人生の貴重な経験として考えています。
しかし、UCSFにいる日本人研究者の多くは理学部や農学部、工学部出身のPhDで、本物の研究者です。彼らと話すと、日本の研究業界は、特に若手〜中堅研究者のポスト不足や、研究費不足、雑務の多さなど、厳しい現状にあるようです。
それに比べると、アメリカの研究環境は恵まれており、可能ならばアメリカに残って自分のラボを持ちたいと考える人もいるようです。帰国後の、その落差による鬱状態を、山中教授は「PAD (Post America Depression:アメリカ後鬱病)」と称して、苦しんだと吐露していましたね。
しかしここ数年のNIHの予算削減は大変なものらしく、現在のアメリカのアカデミアの資金不足も深刻のようです。うちのラボのボスもお金には厳しいです。
ところで、今、UCSFのキャンパスは(キャンパス外も)、下の写真のような山中教授の顔が並んでいます。
本人が見たらびっくりするでしょうね。。
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