ASBMR @トロント-1

ASBMR(北米骨代謝学会)、初日です。

毎年追っかけている新薬開発の状況ですが、

1)抗スクレロスチン/DKK1抗体製剤

近年、抗スクレロスチン抗体であるロモソズマブが強力な骨粗鬆症治療薬として日常診療で使用できるようになりましたが、
今回発表された開発中の薬剤は、スクレロスチンとDKK1(いずれもWntシグナルに作用)の両方に対する抗体製剤(Bispecific Monoclonal Antibody)で、抗スクレロスチン抗体よりも強い骨密度上昇作用が期待されています。
AngitiaLink という中国系の企業が開発中Link です。CEOは米国で長く研究者(骨形態計測学)をされていた方だそうです。

投与方法が独特で、1回だけ投与(皮下注)して3ヶ月後に評価する、または、1ヵ月ごとに合計3回投与して6ヶ月後に評価する、この2つのパターンで、様々な容量で、安全性、薬物動態、DXA、骨代謝マーカーなどを評価していました。

その結果、1回の投与で3ヶ月後には、腰椎で+6.4%の骨密度増加。3回(3ヶ月)の投与で6ヶ月後には、腰椎で+11.5%、大腿骨近位部(TH)で+5.3%の骨密度増加と、すばらしい結果が得られていました。
骨代謝マーカーは、3回投与では、PINPが最大約175%増加、CTXが約50%低下し、抗スクレロスチン抗体と同様に、骨形成を上昇させ、骨吸収を抑制していました。
重篤な有害事象は(SAE)0でした。

ただし今回の発表はまだPhase1(全群合わせてN=88、1群は5例程度、健常人)ですので、今後どうなるかわかりません。
今まで多くの薬剤が、Phase 2、3と症例数を増やしていくと、悩ましい有害事象が出てきて、開発が中止されてきました。
まだ時間がかかりそうですが、今後も新しい薬剤が増えることを祈っています。

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— posted by 千葉恒 at 11:40 am   commentComment [0] 

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