論文チェック

今後の研究生活で、どうにかしたいと思うことは、
1)英語発表と質疑応答 2)論文英文化 3)統計処理 に加えて、
やはり、4)論文整理法 です。

みなさんどうしてるんでしょうか。。

EndoNote や Papers など便利なソフトがありますが、
僕はなぜか未だに自力でチェックしフォルダで整理しています。
その中から、自分の論文の参考文献になりそうなものだけをエクセルで管理しています。
今後いい方法が見つかったら、ここで報告したいと思います。

で、普段の論文チェックですが、この数年は、週1ぐらいで、
自分に関連する雑誌を一通りチェックすることをしています。
とは言っても、実際は、なかなか毎週は続かず、数ヶ月間してない時期もあります。

雑誌の種類は:1)JBJS Am 2)Radiology 3)Osteoarthritis and Cartilage 4)JBMR 5)Bone です。
いずれもその分野では最高峰の雑誌です(整形臨床、画像臨床、OA基礎、骨代謝基礎)。
雑誌と年月の表を作り、読んだ月にはチェックをしていって管理しています。

読むと言っても、タイトルとアブストラクトと図表を斜め読みする程度です。
逆に言えば、自分が論文を書く時は、タイトルと、アブストラクト、
特にConclusionは魅力的に書く必要があることがわかります。

最近気になった論文を3つ紹介します。

[JBJS Am 3月] 

Femoral Nerve Palsy in Pavlik Harness Treatment for Developmental Dysplasia of the Hip

Conclusions: Femoral nerve palsy is an uncommon yet clinically important complication of Pavlik harness treatment for developmental dysplasia of the hip. This complication is strongly predictive of failure of treatment, and its impact is greatest when the developmental dysplasia of the hip is higher in severity. Early recognition and management of femoral nerve palsies may improve the success of treatment.

DDHのリーメンビューゲル治療で大腿神経麻痺の合併症に気をつけよう、という内容です。
こんな合併症があるなんて知りませんでした。

[JBJS Am 5月] 

Immobilization in External Rotation After Primary Shoulder Dislocation Did Not Reduce the Risk of Recurrence A Randomized Controlled Trial

Conclusions: Immobilization in external rotation does not reduce the rate of recurrence for patients with first-time traumatic anterior shoulder dislocation.

これは、日本人としては悔しい論文です。井樋先生の肩関節脱臼に対する外旋位固定を完全否定するものです。
今後どう反論するのか。このままでは終われないと思います。

[Radiology 6月] 

Can Necrotizing Infectious Fasciitis Be Differentiated from Nonnecrotizing Infectious Fasciitis with MR Imaging?

Conclusion: MR imaging is potentially helpful for differentiating NIF from non-NIF.

壊死性筋膜炎とそうでない筋膜炎のMRIによる鑑別についてです。
以下の5つが壊死性筋膜炎を疑わせるポイントです。

(a) thick ( >3 mm) abnormal signal intensity on fat-suppressed T2-weighted images,
(b) low signal intensity in the deep fascia on fat-suppressed T2-weighted images,
(c) a focal or diffuse nonenhancing portion in the area of abnormal signal intensity in the deep fascia,
(d) extensive involvement of the deep fascia,
(e) involvement of three or more compartments in one extremity

グレーゾーンなケースに重大な処置を行うかどうかの根拠になるかもしれません。
現実的にはMRIなど撮ってるヒマはないかもしれませんが、、MR室の協力度にも寄ります。


— posted by 千葉恒 at 11:38 am   commentComment [0]  pingTrackBack [1]

アップル本社

ついにアップルの本社に行ってきました。

僕は大学1年生の時からのMac User で、初代はLC630、現在7,8,9代目のMacBookなどを使用しています。
近年はiPhoneなどで調子乗ってるのでちょっと嫌いですが、やはり本社には行ってみたいと思いました。

サンフランシスコより南へ約1時間Link 程クルマで行った所にクパチーノLink という街があり、
アップル本社はそこにあります。

社屋の入り口には、アメリカ国旗とカリフォルニア旗とアップルの旗が掲げられていますが、
スティーブジョブスの訃報により、現在は半旗となっていました。
入り口近くには、多くの人が花束を手向けていました。

社内は一般公開されておらず、博物館みたいなものもありません。
一般人が入れる所はカンパニーストアLink だけです。

ここでしか手に入らないグッズがあるとのことで、期待して行きましたが、
正直言って、たいしたものは売っていませんでした。
でか過ぎるマグカップやTシャツ、生地の悪すぎるパーカーなどなど。。
悔しいので、ましだったタンブラーやペンなどを買ってきました。
(長崎の皆様で、買ってきてほしい物がありましたら、ご連絡を。。)

観光地としては「たまたま近くを通ったら寄ってみては?」という程度の推奨度です。

ところで、運転免許の取得にはだいぶ苦労したことを、以前報告しましたが、続きがあります。

合格をしてもう2ヶ月以上経ちましたが、まだ免許証が届いていないのです。
しかも僕だけで、一緒に合格した奥さんは届いています。
未だにペラペラの紙の一時的な免許証を持ち歩いて不便で、3ヶ月間の使用期限も近づいています。

先日、DMV(Department of Motor Vehicles)に行ってきたのですが、
「いつになるかはわからない」「仮免許証の期限を伸ばしてやる」とか、
パスポートなどのIDは持ってきていたのですが、SSNLink カードを携帯しておらず、それのメモも忘れていたので、
「SSNがないので、期限延長の手続きも取れない、明日以降に出直せ」とか言われて、
もう頭にきちゃいました。「怠惰でお粗末な組織だ」と罵倒してやろうかと思いましたが、やはり言えませんでした。

結局SSNを確認して、紙の免許証の期限を2ヶ月間延長してもらいました。
2ヶ月して届かなかったら、また仕事を休んで延長しに行かないといけないらしいです。

実はこういう話はよく聞き、免許証が届くのに1年かかったという話も聞いたことがあります。
聞いてはいましたが、実際そうなるとかなりムカつきます。
アメリカのこういうところが嫌い。


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— posted by 千葉恒 at 03:05 pm   commentComment [4]  pingTrackBack [1]

論文は何の為に

10月の学内ニュースの記事Link によると
どうも当教室が $ 6,3 million(5億円)の助成金を当てていたようです。

僕が定期的に参加している会議の中で、規模が大きいものがあり、
何の集まりだろう、、と分かっていなかったのですが、どうもこれだったみたいです。

会議には、私達のグループを中心に、UCSF整形外科、理学療法部、UC DavisLink リウマチ内科など、
計40人くらいが集っており、初期OA評価の新技術を主テーマに4つのプロジェクトを計画しています。

初期OAがターゲットですので、股関節はOAの前期状態と言われているFAIに注目し、
膝関節は同様にACL損傷に注目しています。僕は股関節OAプロジェクトに片足つっこんでいます。

ところで、5億円と聞けばすごい気がしますが、
5年で割れば1億円、20人で割れば500万円、20人分の人件費にしかならない額であり、
PI(Principal Investigator:こちらでは研究グループのリーダーをそう呼びます)も大変です。
もちろん、他にもたくさんの助成金を持っているわけですが。

昨日、教授のSharmila Majumdar と教授室で1対1の話をするハメになりました。
どうも僕がちゃんとやってるか気にしてくれてたようで、優しさみたいです。
研究の進捗状況をプレゼンし、教授からの質問に答え、アドバスをもらい、身の上話まで聞いてくれました。

途中、教授のテンションがあがり、僕が紙に書いて説明している途中で、
ペンを力づくで取りあげて自分が書き出す場面があり、インド人の積極性を感じました。

誰かが言ってましたが、国際学会で座長をしていて大変なことは、
内気な日本人をしゃべらせることと、中国人とインド人を黙らせることらしいです。

論文は何の為に書くのか、みたいな話になって、
僕は、医学の進歩のため(もちろん)、助成金(=サラリー)を得るため、みたいな答えを予想してましたが、
彼女はどちらかというと、個人のキャリアアップのため、を強調していました。

僕がここで論文を残そうが残すまいが、この教室全体の業績には、たいした影響もないわけで、
Koはここで自分のCV(経歴書)に載せる論文を増やして行け、と言うのです。
Koは日本ではassistant professorなのか?上に行くためにはあと何本いるのか?とか聞いてきます。
(ところで日本の助教はアメリカでは何になるんですかね?
 アメリカでは chair/professor/associate professor/assistant professorLink の順番です。)

医者はその診断や治療の能力が、日々結果として出てきますが、
たしかに、研究者は質の高い論文を書き続けてナンボなんですよね。
それでしか評価されないし、キャリアアップできないし、裕福にもなれないわけです。
当たり前のことですが、納得しちゃいました。

彼女はここで22年間研究者をしていますが、10年以上前から残っている人は2-3人ほどしかおらず、
残り30人くらいの人達は2〜3年間毎に、ここを踏み台にして辞めて行きます。僕もその1人でしょうか。

下の写真がうちの教授です。ちょっとこわい顔に見えますが、お茶目でかわいい人です。


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— posted by 千葉恒 at 01:13 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

質問1〜5

このブログは、長大整形ホームページ委員のメンバーに支えられて続けているのですが、

話題の提供のために、「千葉先生への100の質問」と題した質問集をいただいており、
今日はそれにいくつか答えてみようと思います。

質問1 渡米してからよく食べている晩御飯は何ですか?

嫁飯(ヨメメシ)ですね。
円高で日本より安い物品がアメリカにも増えましたが、外食は基本的に高い気がします。
日本なら安い定食屋があって、自分で作るより安かったりしますが、こちらでは自炊が明らかに節約です。
食事の内容的には、日本にいるときより、日本食を欲します。
緑茶とかあまり飲まないほうでしたが、毎日緑茶飲んでます。


質問2 日本(長崎)の頃の習慣と変わったことはありますか?

習慣というか、質問にちゃんと答えなくなったと最近言われてます。
自分の言いたいことだけ言って、いつまでたっても相手の聞きたい質問には答えてないらしいです。
やばいですね。こんな先輩は嫌だと思ってたような人になっていってるようで。
そういえば、質問1も、物価とか日本茶とか言って、結局夕食に何を食べてるかは答えてないですね。
うーん、すき焼きとか和風ハンバーグとかです。


質問3 一日の平均睡眠時間はどのくらいですか?

7〜8時間ぐらいです。
日本にいるときよりも長くなりました。
アメリカの生活は朝早く夕方早い、と聞いていましたので、
僕もそうなることを期待していましが、日本にいるときと変わらず、
夜中の1時頃までダラダラと起きていることが多いです。
日本では深夜番組を渡り歩いていましたが、ここではそれがインターネットに代わっただけです。


質問4 一日の就業時間はどのくらいですか?

定刻は8時5時ですが、僕は9時6時ぐらいで、時々撮影の関係で夜9時頃になることもあります。
他の研究者もだいたいそんな感じです。日本での生活に比べたら恵まれています。。


質問5 研究仲間とのコミュニケーションはどのように行っていますか?

行えてませんねー
朝と夕の挨拶。ときどき研究の議論(しどろもどろ)。
月曜は週末の話題を少々。MRI室などに行く途中に世間話を少々。
このコミュニケーション力のなさをどうにかしたい!(半分は元々の性格か)

— posted by 千葉恒 at 01:06 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

エアショー

今週末は、長崎より友人夫妻が来ており、僕たちと4人で観光をしてきました。

たまたま、Fleet WeekLink というイベントが開催されており、
これはアメリカ海軍のお祭りで、たくさんの戦艦が港にやって来たりするのですが、
僕たちは、一番の見せ場である Air ShowLink を見に行きました。

昼過ぎから3時間ほどのショーで、会場となるフィッシャーマンズワーフやマリーナ周辺には、
たくさんの見物客が集っていて、僕らも防波堤に座って、飛行機が来るのを待ちました。
海上には、ショーを真下で見たい観光客のために、たくさんのクルーザーや観光船で埋め尽くされていました。

序盤は小型機がクルクルまわったり、アクロバティックなことをします。
その後、ステルス戦闘機が登場したり、戦闘機のF15 イーグルがものすごい爆音で飛びまくったりします。
最後は、Blue Angels という、F18 ホーネット6機で編成される、最も人気のあるチームが登場しました。
僕らの頭の上を、整然と並列して飛び回ったり、逆さに飛んだり、交差し合ったり、、
圧巻はゴールデンゲートブリッジの下をくぐり抜けたりしていました。

実はさほど期待せずに見に行ったのですが、そういえば子供の頃に飛行機が大好きだったことを思い出し、
好きだったF15 イーグルの猛烈なスピードと迫力には大興奮しました。
しかし、相変わらず、海風と日光に弱い僕は、途中から少しお疲れ気味でした。

後ろの白人のオッサンが、終止大興奮で「見ろよ!ほら来るぜ!イェーイ!」みたいなことを連発しており、
何というか、アメリカ最高!みたいな人で、こういうオッサン達が戦争を支持しているんだろうなーと思ってしまいました。

翌日は、サウサリートLink という、ゴールデンゲートブリッジを渡った先にある小さな港町でゆっくりランチなどしました。
美しい街並みで人気のある観光スポットです。宝くじを当てたら、別荘でも構えたいですね。


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— posted by 千葉恒 at 12:17 pm   commentComment [2]  pingTrackBack [0]

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