おつかれさまでした!

医局の事務職をされている前田さんと猪股さんが、3月いっぱいで退職されると聞きました。

僕とお二人は、共に平成13年に長崎大学整形外科に就職した同期です。
当時は弦本敏行先生(現在、長崎大学解剖学教室Link 教授)が医局長で、
新入局員は、赤瀬、井上、久芳、田口、千葉、光武、山口、和氣先生の8人でした。
11年前は、みんな11歳若かった。。お二人達と一緒にみんなでカラオケに行ったのを覚えています。

アメリカでは、事務職員の肩書きがちょっとだけカッコいいです。
Administrative Assistant だけでなく、Financial Analyst、Grant Analyst、Analyst-SupervisorLink
といった役職名をよく目にします。
Analystと聞いて、最初は研究者と勘違いしたぐらいですが、主な業務は教授秘書やラボの金銭管理です。

異動や昇格もあるようで、キャリアとして確立しています。僕らポスドクなんかより、遥かに格上の方もいます。
毎年優秀な職員には賞もあります。アメリカ的ですね。

この辺の改革は、日本の職場において、今後、求められると思います。
日本は女性の労働環境の整備が不十分で、女性の労働人口を増やせれば、その分、収入と消費につながり、
経済のプラスになると言われていますよね。

11年前の写真を許可なくアップしてみました。もう11年〜!?
お二人の新しい人生を応援してます。お元気で。Good Luck !!



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— posted by 千葉恒 at 04:31 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

CTの進化

今日は教室主催の 4th Annual Hasegawa Lecture という講演会がありました。

講演会の名前の由来になっているBruce HasegawaLink 氏ですが、SPECT/CTを考案されたUCSFの日系人の教授です。
最近、シンチをオーダーしたら、CT画像にカラフルなシンチが重ねられてますが、それを開発した人です。
2008年に57歳で脳卒中で亡くなられたので、もう少し早く留学していたらお会いできたかもしれませんでした。

今年の演者は Norbert J. Pelc という、スタンフォード大学の教授でした。
タイトルは「CT 2020: Future Prospects in CT」臨床用CTが将来(2020年)どう進化しているか、という講演でした。

例によって、理解できた部分のほとんどが、自分が元々知っていた知識であり(ありがち)、
マニアックな学術講演を英語で完全に理解し、新しい情報を得るのは難しいですね。

臨床用CTの進化の方向性は、僕の理解する限り
1) spatial resolution 解像度
2) time resolution スピード
3) noise ノイズ
4) radiation dose 被曝量
にあると思います。

このうち、スピードと解像度については、近年のハードの進歩で、臨床的にはかなり十分な所までいっています。
検出器の多列化が大いに貢献しています。

今後の当面の目標は、いかにノイズと被曝量を減らすか、です。
つまり、より少ない線量で、よりノイズの少ないきれいな画像を得る、ということです。
もちろん、長期的には、ハードの更なる進化もあると思います。

部位別の進化を挙げると、
X線管球:dual energy、dual X-ray tube
検出器:multi detector、photon counting detector(今後注目とのこと)
データ処理:motion correction algorithm、new reconstruction algorithm(名前忘れました)
などを、挙げていました。
すみません、マニアックな話題で。

CTはMRIと違い、主に企業で(大学ではなく)その進化を遂げてきたという歴史があります。
アカデミアがどう関わっていくかについて、その指南をしていました。

ちなみに、世界のCTの3強は、GE(アメリカ)、シーメンス(ドイツ)、TOSHIBA(日本)です。
僕が日本人というだけで、東芝のCTの質問をされることもあります。
東芝にはがんばってもらいたいです。


— posted by 千葉恒 at 02:27 pm   commentComment [3]  pingTrackBack [0]

送別会シーズン

送別会シーズンです。

机が隣だった AlexLink がオーストリアに帰国しました。
彼はフレンドリーで性格が良く、東京医科歯科大に数ヶ月間の留学経験もあり、
僕に一番優しく接してくれていた人物でした。寂しくなります。。

例によって、全員集まって送別会などすることはなく(今まで全員集まったのは、夏のBBQの1回のみです)
ランチタイムにラボのダイニングみたいなところに集まって、軽い送別会をすることも時々ありますが、
今回はそれもなく、好きな仲間同士が適当に集まって送別会をしました。

コミュニティールームを借りて、20人くらいの持ち寄りパーティーで、
また、ワインの力を借りて、いつもの5倍くらいフレンドリーになって
何とかみんなとしゃべることができました。

UCSFの日本人コミュニティーの送別会も2回ほどありました。
1つはコミュニティールームで、もう1つは、ゴールデンゲートパークでのBBQでした。
まだまだ知らない日本人もいて、今回、初めて整形外科医の留学生に会えて、嬉しかったです。
時々「ブログ見てます」とか言われるのも、嬉しいですね。

徳島大学脳外科のT先生が、今日、帰国されましたが、彼は僕がSFに引越する時からお世話になっており、
英会話も一緒にしており、聡明でポジティブな人で、一緒にいて刺激になりました。
今後のご活躍を祈念いたします。

ところで、日本人コミュニティーの会に参加すると、そこはもう子供天国で、
ちびっ子たちが走り回っていてカワイイです。
子供好きですが、どう接すればいいのかわからず、
あまりがんばると変態と思われても嫌なので難しいところです。

ちなみに、昨日、僕の論文がJBMRLink という雑誌にアクセプトされました。
この雑誌に自分の研究を載せるのは1つの目標だったので、すごく嬉しいです。
大学院時代に日本のSPring-8という研究施設で得られたデータをまとめた論文です。
今後も精進します。


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— posted by 千葉恒 at 11:15 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

SFGH見学 再び

先週の木曜日に、San Francisco General Hospital の 長尾医師Link の外来見学に再び行ってきました。

外来患者の一人が、ひどい側弯症で、アメリカ人医師が、
手術には、200,000ドル(約1600万円)くらいかかるんじゃ、と言ってました。

以前も触れましたが、アメリカの医療レベルは高いですが、保険システムは最悪で、
無保険率は、2009年で16.7%、6人に1人は保険なしです。これはたいへんな割合です。
例え保険に入っていても、種類によってカバーする程度も様々で、
大きな手術をすれば、結局、何百万円も払わなければならない保険もあります。

坐骨神経痛に苦しんでいる患者さんがいましたが、
前回の見学で、僕にとってはすっかりお馴染みとなったオキシコドンを10mg内服されていました。
アメリカにおける、患者さんのオピオイド漬けの理由の1つは、
保険の理由で手術を容易にできない、という事情もあるのかもしれません。

今回の見学で、最も印象深かったのが、ナースです。その医者っぷりに驚愕しました。
前回、アメリカの外来には、日本のように、医師の横について診療を介助するナースがいなかった
ということを書きましたが、今回、ナースが1人新しく配属されていました。

彼女は白衣など着ず、思いっきり私服なのですが、
レジデントと同じように患者さんを問診して、診察して、診断などを考えて、
指導医に自分の意見などを言ったりしていました。もう、ほとんど医者。

ちょっと調べてみましたが、アメリカの看護師の制度は日本と全然違い、大変おもしろいです。

- Medical Assistant:高卒後、数ヶ月のコースでなれる。血圧測定、採血などを行い、看護師をサポート。
- LPN(Licensed Practical Nurse:準看護師)
- RN(Registered Nurse:看護師)
- CNM(Certified Nurse-Midwife:助産師)
- CNS(Certified Nurse Specialist:専門看護師):看護のエキスパート(独立して診療行為ができるわけではない)

ここまでは日本と同じです。
しかし、日本のナースは、メディカルアシスタントの業務もしているため、
加えて、特に大学病院では何か記載の時間が多いため、疲弊気味ですね。
病棟も転々とするので専門化が難しく、看護は知っていても疾病を勉強する時間なし、みたいな状態に落ち入りがちです。

さらに
- CRNA(Certified Registered Nurse Anesthetist:看護麻酔師)
- NP(Nurse Practitioner:診療看護師)
- PA(Physicians Assistant:医師助手)

NPやPAの存在を知りませんでした。
州によっては医師から全く独立して診療行為を行うこともできるそうです。処方もできます。ほとんど医者です。
外来で見た彼女は、おそらくNPだったのだと思います。

あるブログによると、おおよその年収は、メディカルアシスタントが250万円、
看護師が550万円、NPになると700万円だそうです。

これはいよいよ、医師は相当の専門職人でなければいけないと思いました。
整形外科医の場合は、やはり手術のスペシャリストでなければ、存在価値がなくなりますね。
ちょっと身が引き締まる思いです。

— posted by 千葉恒 at 11:43 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

佐賀県海外使節団-2

彼らからの質問は、以下の如くでした。ここでもう一回、整理してみますね。

- どうやったら、留学できるのか(医師の場合)
医局によっては、海外のラボの有給ポジションを、2年ぐらいでその医局で回しているところもあります。これが確実性が高いです。ただし、自分がやりたい研究、行きたいラボではないかもしれません。
自分が行きたいラボにアクセプトされるには、現在最も確実な方法は、日本からの奨学金や給料があることです。大学によって違いますが、約300万円/年の収入を証明できれば採用され得ます。留学後に実力を示せば、現地でも給料を得られるかもしれません。

- 苦労していること
何と言っても英語、エーゴ。未だに会議で何を話しているのかわからず、言いたいこともうまく言えず、口の周りの筋肉が落ちていってるのか、最近、日本語を話すのも下手になってる気がします。

- 日米の研究の違い
アメリカでは、成果を出して個人の業績を上がる→業績とアイデアがあれば大きい助成金が狙える→助成金がもらえれば自分の給料や地位にも反映する→助成金で好きな実験をしたり部下を雇ったりできる→さらに成果を出す、というサイクルがあります。
日本の、成果をあげても自分の給料や地位が上がるわけではない、助成金の数や規模が小さく、それで自分の給料が上がったり部下を雇ったりできる訳ではない、というシステムとはだいぶモチベーションが違いますね。

生体材料に興味のある工学部の学生がいて、興味深い質問を受けました。

- 日本の医師が海外の製品を選ぶ理由は何か
するどい質問。僕も日本の医療製品が世界を席巻してほしいです。いろんな答えがあるとは思いますが、そのひとつは、欧米は医学以外の分野においてもそうですが、自分たちで「世界標準」を作るのが得意ですよね。骨折治療インプラントにおけるAOグループは一つの例で、欧米の医師とエンジニアが集まり、多くの基礎的研究に基づいた「世界標準」の治療法を体系化し、世界中で教育しています。同時に、その治療体系で必要とする、アイデア、バリエーション、使いやすさ、デザイン性に富んだ製品も開発しています。その治療法に従うと、自ずとその製品を使用することになります。

- 日本の生体材料製品が海外市場に乗り込んでいくには?
おそらくは、全く新しいアイデアに富んだ製品を作れるエンジニアと、それを世界中で売り込んで回れる営業者がいれば、切り込んでいけるんでしょうね。僕もそういった企業の手助けをできたらなと常々思っています。

- 実際にあったら便利だと思われる生体材料、医療機器等があれば教えてください
臨床の現場には「あったらいいな」がいくらでもあると思います。日本は異業種間のコラボが下手ですよね。どちらかがどちらかにグイグイいくしかないんじゃないでしょうか。「こういう機器が作れないか?」「どういった機器を作ってほしいか?」

などなど、いろいろいい質問を受けました。

MissionBay キャンパスの見学を終えた後は、SF General Hospitalに移動して、最近、すっかりお世話になってるSFGHの長尾医師にお願いして、病院見学をさせてもらいました。

まずは、SFGHの役割、特にSFの救急医療の中心として機能を説明していただき、その後、救急部の中を見学をさせてもらいました。
最後に、オペ室を、入り口から覗く程度でしたが、見させてもらいました。

救急車を全て受け入れる体制(10台同時に来ても対応可能とのこと)、救急医療チームの確立、救急部内の高度な処置室の設置や、救急患者専用のオペ室(1号室)の確保、などなど、日本の救急医療がいま目指しているいろいろなことが、ここにつまっていました。

計3時間程度でしたが、久しぶり日本の大学生と触れ合えて、正直楽しかったですね。
なかなかの個性派ぞろいでした。みんな向上心が高くて、僕も刺激を受けましたよ。


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— posted by 千葉恒 at 05:49 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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