デンバー留学立ち上げ -1

モントリオールで尾崎教授、岡崎先生、北島先生と別れたあと、デンバーに移動し、白石先生と合流、
University of Colorado, Denver(UC Denver)Link で、画像解析のラボを立ち上げた研究者とミーティングをしてきました。

長崎大学整形外科では、2011年から2017年まで、千葉、岡崎先生、佐田先生と6年間にわたって、University of California, San Francisco(UCSF)の画像解析のラボに留学をしてきましたが、途絶えてしまい、この1年、新しい留学先の開拓をやっていました。
このたび、話がまとまりまして、2019年の4月から、白石先生が UC Denver に留学することになりました。

今回のミーティングの目的は、私たちのラボ(RiBS:Research in Bone StructureLink )の研究内容と、先方の研究内容を照らし合わせて、来年から白石先生が行う研究テーマを考えることでした。
PIであるCarballido-gamio先生は、とてつもなくいい人で、希望の研究ができそうです。

UC Denverはダウンタウンの郊外に新しいキャンパス(Aurora campus)を建設し、医学系は病院と研究所含めてすべてそこにあります。
とっても雰囲気のいいキャンパスで、UCSFとは大違い、広々としています。


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— posted by 千葉恒 at 01:37 am   commentComment [0] 

ASBMR@モントリオール-4

モントリオールですがWikipediaなどによると
- カナダの東端に位置し、トロントにつぐ第二の都市
- フランス系カナダ人が大半で、フランス語圏
- ノートルダム聖堂などヨーロッパの街並み
- 姉妹都市は広島市
- 名門McGill大学あり

良い印象の街でした。
街並みがきれいでみんなフランス語を話すので、ヨーロッパに出張していると何度も勘違いしてしまいました。
フランス系カナダ人は、見た目からアメリカ人と違い肥満の人が少ない印象です。
あとは、美味しいレストランが多かったですね。これもアメリカとの違い。
ちょっとどうかと思う名物料理(プーティン)もありましたが、シーフードがグッドです。

難点は、緯度が高くて日が短く、午後からすでに暗くて寂しいことや、
9月末の時点で、すでになかなかの寒さで、冬はつらそうという点でしょうか。

北島先生の友人FさんがMcGill大学に留学しており、大学や研究所を見学させてもらいました。
素敵な研究室で、素敵なボスで、お茶を振る舞ってもらって20-30分ほどお話や見学をさせてもらいました。

僕的に勝手に総括すると、モントリオールは留学先としては、良いです。
1)モントリオールにいるカナダ人の英語はわかりやすい(おそらくフランス語圏だから)。
2)食事がおいしい。まともなシーフードがある。
3)物価が高くない(カナダドルは90円程度)
4)公共交通機関が充実

今回、42歳オンボロの私に、腰痛と足底部痛が発症してしまい、特に足底部痛に悩まされました。
歩けなくなってしまい、留学生のFさんと岡崎先生、北島先生にご迷惑かけました。
原因ははっきりしていて革靴の長歩きのせいで、このままではストレス骨折起きるかも、という痛さでした。
その後、29.9ドルのやわらかいスニーカーを買い、2日間ほどで治りました。旅の靴は大事。


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— posted by 千葉恒 at 04:25 am   commentComment [0] 

ASBMR@モントリオール-3

例年ASBMRの最終日の翌日は、HR-pQCTのUsers' Meetingが行われていおり、毎年参加しています。

近況としては、第二世代HR-pQCTの普及に関しては、
昨年は世界で28台、アジア・オセアニアで5台(うち3台が日本)でしたが、
今年は世界で40台、アジア・オセアニアで8台となりました。

HR-pQCTの論文は、まだそのほとんどが第一世代を使った研究ですが、トータルで650題となりました。
ちなみに私は一応その中の3つを出しています。

研究の動向としては、多数のコホートのデータを集結させた研究や(BoMIC study:Douglas Kiel, Mary Bouxsein)、
メタアナリシスの試みなどについて報告がありました。

また、やや特殊な応用分野として、小児の骨の評価法や(Mary Leonard)、
膝関節の撮影解析(Andres Kroker)についてもアップデートがありました。

小児は15歳くらいまで皮質骨多孔性が多く見られます。これは長管骨の遠位よりもやや近位部(骨幹端)で観察されます。
骨の成長に伴う多孔性であり、高齢者に発症する皮質骨多孔性とは別の意味をもっていると思われます。

膝に関しては、ACL断裂後に骨髄浮腫(BML)を生じた領域が他部位と比較して骨減少が強いと報告がなされていました。
骨への過度な負担が、骨吸収に働くか、骨形成に働くかは、まだまだ謎が多いです。


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— posted by 千葉恒 at 11:35 am   commentComment [0] 

ASBMR@モントリオール-2

つづきです。長文ですみません。

(デノスマブ)
乳癌に対してアロマターゼ阻害薬を使用している患者(薬剤性骨粗鬆症、CTIBL)に、デノスマブ(N=1613)とプラセボ(N=1576)を投与した大規模比較調査のその後を見た研究で、話題のデノスマブ中止後の骨折発生を見ています。
その結果、全骨折の発生数は163vs155と、意外なことに差がありませんでした。しかしながら、臨床的椎体骨折は39vs14(2.5倍)、多発椎体骨折が28vs8(3.5倍)と、やはりデノスマブ中止後の椎体骨折には注意が必要という結果が出ていました。逐次療法の重要性もさることながら、本研究ではデノスマブとアロマターゼ阻害剤の中止タイミングを揃えることで発生を低減できるという提案がされました。

(ゾレドロン酸)
65歳以上のオステオペニア(骨量減少、Tscore -1〜-2.5)患者に対する、ゾレドロン酸の18ヶ月1回投与の効果を見た研究の6年間の結果が発表されました。
ゾレドロン酸群(N=1000)はプラセボ群(N=1000)と比較して、全骨折(131vs227)、椎体骨折、非椎体骨折のいずれも有意に抑制されていました。さらには、心筋梗塞が癌などの骨以外のイベントも抑制されており、興味深い結果です。ゾレドロ健康外来でも始めようかな。

(SARM)
SERMでなくSARM、骨でなく筋肉です。選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM:VK5211)のPhase 2 Trial の結果が発表されて、何か賞ももらっていました。
大腿骨近位部骨折を発生した患者(N=108、男性25、女性83、平均77歳)を4群に分けて(0.5、1、2mg、プラセボ)3ヶ月の経過を見たところ、2mg投与群ではプラセボ群と比較して筋量(除脂肪体重:LBM)の増加したとのことです。骨量に関しては増加作用はなく、また、副作用はプラセボと差がなかったようです。サルコペニアに有効な治療薬になるかも、と期待されています。今後の展開が楽しみですね。



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— posted by 千葉恒 at 09:12 pm   commentComment [0] 

ASBMR@モントリオール-1

ASBMR@モントリオールに参加してきました。

長崎からの参加は、尾崎教授、岡崎先生、産婦人科の北島百合子先生、千葉の4名で、
発表は5題、いずれもHR-pQCTネタで、ポスター発表でした。

(千葉、関節リウマチ) Quantitative analysis of juxta-articular osteoporosis by HR-pQCT in patients with rheumatoid arthritis
(千葉、骨折治癒) In Vivo Analysis of Fracture Healing by HR-pQCT: The Effect of Osteosynthesis Plate on Image Quality
(岡崎、男性骨粗鬆症) Age related changes in bone microstructure, bone turnover markers, and serum pentosidine levels: HR-pQCT study in healthy Japanese men
(岡崎、椎体骨折) Microstructural analysis of human whole spine vertebrae by using HR-pQCT
(北島、女性アスリート) Menstrual abnormalities and cortical bone deterioration in young female athletes: an analysis by HR-pQCT
その中、北島百合子先生の演題が、Plenary Poster に選ばれました。おめでとうございます!

気になった発表ですが、

(T2T)
ロモソズマブの治験(ARCH)データを用いて、薬物治療によるBMD上昇と骨折抑制の関係を調査していました。結論としては、大腿骨全体T-scoreを、治療のターゲットにすべき、という内容でした。
日本では腰椎YAM、欧米では大腿骨頚部T-scoreが重視されている印象がありますが、大腿骨頚部はROIが小さく再現性が大腿骨全体より劣っており、定義も装置によって異なるため、このような結果が出たのではというCosman先生の見解でした。
日常診療では、治療による大腿骨BMDの上昇はわずかであり、早い時点での薬物介入と長い治療期間が重要と個人的には考えています。
今年はロモソズマブの承認に関して不確定な部分があったため、発表は控えめだったみたいです。来年は華々しくデビューとなることを期待しています。

(テリパラチド)
テリパラチド9ヶ月+デノスマブ1年を、6ヶ月重ねて投与(説明が難しいのですが、0ー3ヶ月はテリパラのみ、3-9ヶ月はテリパラ+デノスマブ、9-15ヶ月はデノスマブのみです)という新しい治療プロトコールの調査が発表されていました(DATA-HD)。通常量(20µg)と2倍量(40µg:HD)のテリパラチド(N=35、34、全例女性)の比較をしています。
驚きなのがその効果で、15ヶ月で腰椎BMDが、通常群で9.5%、HD群で17.5%増加しており、ロモソズマブ治験の12ヶ月で13.7%を超えていると強調していました。大腿骨頚部BMDの増加はそれぞれ4.3%と6.8%、大腿骨全体BMDは3.9%と6.1%です。副作用も通常と2倍量では差はないとのことでした。しかしこれには注文がついて、過去の容量決定の試験の際に、40µgは有害事象が高かったのでは?との指摘がされていました。

つづく



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— posted by 千葉恒 at 03:19 am   commentComment [0] 

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