論文は何の為に

10月の学内ニュースの記事Link によると
どうも当教室が $ 6,3 million(5億円)の助成金を当てていたようです。

僕が定期的に参加している会議の中で、規模が大きいものがあり、
何の集まりだろう、、と分かっていなかったのですが、どうもこれだったみたいです。

会議には、私達のグループを中心に、UCSF整形外科、理学療法部、UC DavisLink リウマチ内科など、
計40人くらいが集っており、初期OA評価の新技術を主テーマに4つのプロジェクトを計画しています。

初期OAがターゲットですので、股関節はOAの前期状態と言われているFAIに注目し、
膝関節は同様にACL損傷に注目しています。僕は股関節OAプロジェクトに片足つっこんでいます。

ところで、5億円と聞けばすごい気がしますが、
5年で割れば1億円、20人で割れば500万円、20人分の人件費にしかならない額であり、
PI(Principal Investigator:こちらでは研究グループのリーダーをそう呼びます)も大変です。
もちろん、他にもたくさんの助成金を持っているわけですが。

昨日、教授のSharmila Majumdar と教授室で1対1の話をするハメになりました。
どうも僕がちゃんとやってるか気にしてくれてたようで、優しさみたいです。
研究の進捗状況をプレゼンし、教授からの質問に答え、アドバスをもらい、身の上話まで聞いてくれました。

途中、教授のテンションがあがり、僕が紙に書いて説明している途中で、
ペンを力づくで取りあげて自分が書き出す場面があり、インド人の積極性を感じました。

誰かが言ってましたが、国際学会で座長をしていて大変なことは、
内気な日本人をしゃべらせることと、中国人とインド人を黙らせることらしいです。

論文は何の為に書くのか、みたいな話になって、
僕は、医学の進歩のため(もちろん)、助成金(=サラリー)を得るため、みたいな答えを予想してましたが、
彼女はどちらかというと、個人のキャリアアップのため、を強調していました。

僕がここで論文を残そうが残すまいが、この教室全体の業績には、たいした影響もないわけで、
Koはここで自分のCV(経歴書)に載せる論文を増やして行け、と言うのです。
Koは日本ではassistant professorなのか?上に行くためにはあと何本いるのか?とか聞いてきます。
(ところで日本の助教はアメリカでは何になるんですかね?
 アメリカでは chair/professor/associate professor/assistant professorLink の順番です。)

医者はその診断や治療の能力が、日々結果として出てきますが、
たしかに、研究者は質の高い論文を書き続けてナンボなんですよね。
それでしか評価されないし、キャリアアップできないし、裕福にもなれないわけです。
当たり前のことですが、納得しちゃいました。

彼女はここで22年間研究者をしていますが、10年以上前から残っている人は2-3人ほどしかおらず、
残り30人くらいの人達は2〜3年間毎に、ここを踏み台にして辞めて行きます。僕もその1人でしょうか。

下の写真がうちの教授です。ちょっとこわい顔に見えますが、お茶目でかわいい人です。


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— posted by 千葉恒 at 01:13 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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