講演会@福岡

福岡で開催された乳癌の研究会で、骨粗鬆症の講演をさせていただきました。

乳癌の治療薬の中に、アロマターゼ阻害薬(AI)という薬があるのですが、この薬を使用している人は、薬剤性の骨粗鬆症になるリスクをもっています。今回の講演では、骨粗鬆症の一般的な知識に加えて、AI関連の骨粗鬆症のお話もさせていただきました。

乳癌はもちろん専門外なので、以下の僕の知りうる知識に間違いがありましたら、誰か訂正してください。

乳癌の多くはエストロゲンによって増大する性質をもっており、エストロゲンを低下させる薬物療法が有用な治療法の1つになっています。女性は閉経するとエストロゲンが低下するので、閉経後の乳癌患者さんは大丈夫、と思いきや、閉経後もエストロゲンがなくなっているわけではありません。女性でも男性ホルモンの分泌がありますが、閉経後はその男性ホルモンをエストロゲンに変換しており、その変換酵素がアロマターゼです。よって閉経後の乳癌患者さんに対して、アロマターゼ阻害薬を使ってエストロゲンを枯渇させるという治療があり、かなり主流な治療とのことです。

一方、エストロゲンの低下は、破骨細胞の活性化を促すので、骨粗鬆症を惹起します。ただでさえ閉経でエストロゲンが低下し、閉経後骨粗鬆症になっている状態に加えて、アロマターゼ阻害薬でエストロゲンをさらに低下させると、薬剤性骨粗鬆症にもなり、ダブルパンチとなります。

治療ですが、閉経+AIによる高度の骨吸収を抑制する必要があり、強い骨吸収抑制作用をもつデノスマブやビスホスホネートが主流となっています。

長崎大学の乳腺外科の先生方は、AIによる骨粗鬆症にとても興味をもっていただいており、整形外科としては、本当に助かります。今後、一緒に研究をしたいですね、と話をしているところです。


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— posted by 千葉恒 at 04:16 pm   commentComment [0] 

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