UCSFグランドラウンドが7月〜8月の夏休み期間を終えて,再開されました.毎週水曜日早朝6:30からレジデントによる症例検討会,7:30から講演会があります.僕が住んでいるMission bayからシャトルバスで30分くらいのところにあるParnassusキャンパスで行われています.
今週は「Obesity and Total Joint Arthroplasty: Is There a Threshold for Safe Surgery ?」肥満症の患者さんに対する人工関節の術後合併症についての講演でした.
アメリカでは肥満症が以前から問題になっていることは周知の事実だと思います.2010年の報告 では,アメリカでは成人の35.7%,未成年者の17%が肥満 (BMI≧30)とのこと.確かに街を歩けば大きな人はごろごろいます.大人の3分の1以上が肥満症なんですね.アメリカでは「Bariatric Surgery 」という肥満に対する胃の手術も広く行われているようです.
BMIが30以上がclass 1,35以上がclass 2,40以上がclass 3の肥満と分類されます(ちなみに50以上をsuper obeseというみたいです).BMIが高い人ほど,手術時間も長くなり,治療費も多くかかる.感染率も増加するというのは容易に予想できますね.しかし,正常体重の人に比べて合併症発生率が有意に高かったのはclass 3(BMI 40以上)のグループで,class 1とclass 2のグループとは有意差はなかったとのことで,ちょっと意外でした.あと,BMI40以上の高度肥満はTHAの脱臼リスクを高めるという論文 「Morbid obesity may increase dislocation in total hip patients: a biomechanical analysis.」の図が非常にインパクトありました.
千葉先生の時と同様,朝早く始まり,基本的には昼頃に終わる日程を組みました.
平日は,朝7時からSFGH (San Francisco General Hospital)でカンファランス見学,水曜日は朝6時30分からParnassusのUCSF Medical Centerにて症例検討会+講演会の見学に行きました.
早朝カンファの後は,ラボ見学を行いました.
Mission bay campusでは僕が所属するMQIRラボで,今携わっている研究についての紹介(特にMRIによる軟骨の質的評価について)をしました.また認知症の研究をされているS先生のNeuroscience Centerのラボ見学をしました.
SFGHでは,長尾先生にOrthopedic Trauma Instituteのラボやcadaverを使用できるtraining room、SFGHの救急部の見学、脊髄損傷の研究をされている森岡先生のラボ見学をしました.
また,僕の大学の友人である磯部先生が留学中のStanford大学にも足を伸ばし,幹細胞の基礎研究のラボを見学しました.
今回は月曜日がLabor dayという休日だったので,観光のほか,妻のアメリカ人の友人宅でのBBQも参加することもできました.僕がSFに来て,早2ヵ月が経過しましたが,まだまだ不慣れなことも多いし,毎日の生活に追われてまとまった観光をしたことがなかったので,SFを案内するのも少し不安でしたが,S先生おすすめの観光コース(Lombard Street → Coit Tower → Golden Gate Bridge → Sausalitoで昼食 →Fort point → 途中省略 →Twin peaks)を教えてもらって助かりました.
快く,病院やラボの見学を引き受けてくださった先生方に本当に感謝しています.僕自身もすごく勉強になり,刺激を受けました.ありがとうございました.今年はあと3人来ますのでよろしくお願いいたします.
整形外科入局1年目から海外の病院やラボ見学をできるのはすごくいいことですね.
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