日本人整形外科医の会-4

昨日は、第4回目のUCSF日本人整形外科医の会Link を開きました。
今回は新年会を兼ねて、インナーサンセットの Hong Kong Loungeという中華料理で食事をしました。
暖房が弱くて寒かったのはツラかったですが、味は良かったですねー。僕好みでした。

メンバーは現在4人、
- San Francisco General Hospital 長尾先生Link
- UCSF Neurosurgery 森岡先生Link (東大整形)
- UCSF Orthopedic Surgery, Spine Group 井上先生Link (兵庫大整形)
- UCSF Radiology and Biomedical Imaging 千葉(長崎大整形)です。

今回、Kaiser(カイザー)Medical Center で、整形外科技師(Orthopaedic Technologist)として勤務されている、樋口先生にも参加していただきました。
もうこちらで10年近くこの仕事をしているそうで、骨折の徒手整復やギブス固定などを専門にされています。
今回初めて知ったのですが、アメリカの整形外科医は、コーレス骨折などを徒手整復したりギブス巻きしたりしないそうですね。すべて Orthopaedic Technologist に依頼するそうです。
アメリカの整形外科医は手術治療に特化していて、整形外科患者の薬物治療などは、家庭医、リウマチ医、リハビリ医がしている、ということは知っていましたが、ここまでとは。
どこまで仕事分化社会なんだろう。。
ここまで分化して、人件費がまかなえるのか、人材が少ないへき地医療が成立するのか疑問です。

欧米諸国には Podiatrist(足病医、足治療医)という、足の治療を専門とした医療従事者もいることは、以前から聞いていましが、僕はまだ接したことがありません。
MDとは異なる資格をもっており、外反母趾手術や足趾壊死の切断術などは、彼らがするそうです。
その起こりは、西洋の靴文化に根付くもので、歴史が長いようです。

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— posted by 千葉恒 at 12:22 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

ランキング

知人におもしろい情報をもらいました。
2012年の世界の医学部のランキングLink が出たそうです。

Academic Ranking of World Universities in Clinical Medicine and Pharmacy - 2012

1 Harvard University
2 University of California, San Francisco
3 University of Washington
4 The Johns Hopkins University
5 Columbia University
6 The University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas
7 University of California, Los Angeles
8 University of Cambridge
9 Stanford University
10 University of Pittsburgh

UCSF 2位です!がんばってます。ワシントン大ってそんな優秀だったのか。
こちらに来てから、だいぶアメリカの大学事情がわかるようになりました。
10位内でアメリカ以外は、8位のケンブリッジ大だけです。
50位まで欧米が独占。京都が唯一48位に入ってます。東大は51位(51-75位)。がんばれ日本!

もちろん、この手のランキングは、調査機関や調査方法、学部学科の絞り込みなどで、だいぶ変わるようです。
上記調査(ARWULink )以外では、QSLinkTHE-TRLink などが有名らしいです。


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— posted by 千葉恒 at 10:08 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

ワトソンとクリック

DNAの二重らせん構造Link を解明し、1962年にノーベル賞を受賞したジェームズ・ワトソンが、今週UCSFに講演に来られました。会場にはたくさんの人が集まっていて、僕としては珍しく2時間も立ち見をしてしまいました。

講演と思いきや、そのほとんどがワトソンとクリックを題材にした過去の映画「Life StoryLink 」の鑑賞会で、ワトソンはすでに84歳、最初と最後にちょろっとお話をしてくれただけでした。

ジェームズ・ワトソンLink はアメリカ出身、15歳でシカゴ大学に入学、22歳で博士号を取得。DNAに着目しイギリスの研究所で、フランシス・クリックLink と出会い共同研究を開始。ライバルとの熾烈な競争の末、1953年、DNA二重らせん構造のモデルを雑誌ネイチャーに発表し、1962年に34歳でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

その映画では、ワトソン、クリックと、ライバル達とのえげつない競争が描かれていて興味深かったです。まず驚いたのは、情報戦。インターネットなどない世の中なので、情報交換が閉鎖的で、何とかして他の研究者のデータを教えてもらったり、ひどい時は盗み見したり、、

ライバルの、ロザリンド・フランクリンLink と、モーリス・ウィルキンスLink が重要な登場人物で、フランクリンはユダヤ系イギリス人の女性研究者で、彼女のX線回折が、最も核心的なデータだったんですが、当時の男尊女卑なイギリス科学界において、彼女は上司のウィルキンスと衝突を繰り返しており、そのデータが生かされることがなく、しかもウィルキンスが彼女のデータを密かにワトソンに見せたことにより、ワトソンらがDNA構造の解明を果たすこととなります。彼女はあまり日の目を見ることはなく、ノーベル賞の4年前に37歳の若さで卵巣癌でこの世を去っています。

今も昔も、研究は情報戦。自分の頭の中だけで解明できる真理など何もなく、多くの発見や発明は、既知のデータの組み合わせから生み出されるものですね。

もう一つおもしろかったのは、受賞理由となった彼らのネイチャーの論文は、実証データなしのDNA構造モデルの提案だけだったということ。てっきり、現在のネイチャー論文のように、いろんな実験をしてそのデータの裏付けのもと仮説を導いたのだと思っていましたが、ワトソンとクリックは、他の研究者から何とか教えてもらった情報や、盗み見したデータを元に、モデルを提案しただけで、自分たちで実証していないんですね。受賞理由となったその論文Link は、1ページ余り(900語程度)の短いものでした。

しかし、情報を結合して何を導くかが科学者の力量であることは間違いではありません。アナログに紙や棒なんかで塩基の模型を作って、それらを組み合わせたりして、DNAの三次元的構造を考えぬく描写は、何でもデジタルなデバイス上で考える現代と比べて、なんか逆にカッコ良かったです。


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— posted by 千葉恒 at 06:29 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

楽しいばかりじゃ

最近、パソコン画面の見過ぎせいか、VDT症候群Link 気味です。
ちょっと不眠で朝も起きれず、食欲も低め、授業に行きたくない大学生状態です。

職場では仕事のためにずっとパソコン画面を見てますが、
最近は家に帰ってからも話す相手もいないので、パソコン画面を見てます。
こんな人って、現代社会に多いはず。。

追い打ちをかけるように、昨晩、投稿していた雑誌からリジェクトが来て、ガックリきてます。
リビュアーのずれたコメントにため息でます。ちゃんと読めよなー
リジェクトの経験は10回近くありますが、何度されても応えるものです。

今回の論文は規模も小さく若干インパクトに欠ける内容なので仕方ない面もありますが、
ある程度の新規性があるので、あとはリビュアーとの相性ですね。
めげずに次の雑誌に投稿してみます。

まぁ、留学も楽しいことばかりじゃない、ということです。

— posted by 千葉恒 at 11:17 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

役職に対価

アメリカらしい興味深いメールがあったので紹介します。

UCSFでは、医学科の学生過程で、優れた研究をした医学生に "MD with Distinction(MDwD)Link " という称号みたいなものを与えるというプログラムがあり、
下記のメールは、 臨床研究および橋渡し研究分野(Clinical and Translational Research:CTRLink )における MDwDプログラム運営のチーフを、UCSFの職員から募集しているのですが、

仕事内容は、プログラムの運営と論文の審査だそうで、年間3000-4000ドル(約30万円)の謝礼を出すと書いています。
15-20人の学生がこのプログラムに参加し、彼らの論文を審査するのだそうです。

もちろんこれは本職でなく、大学の助教をしている人が、掛け持ちの片手間でやる仕事です。
おそらくは、けっこう面倒な仕事ではあると思います。
でも、会議に出て論文の審査をして、何ももらえないより、30万円もらえた方がいいに決まってますよね。
日本でこういうものを学内で運営するとなれば、謝礼金は発生しないと思います。

アメリカの大学の仕組みって、隅から隅までお金です。
面倒な役職には、それなりの対価が与えられているのは、合理的ではあると思います。

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Leadership Position Announcement: Chair of the MD with Distinction Program for the CTR Pathway

The Clinical and Translational Research (CTR) Pathway of UCSF’s Pathways to Discovery Program is pleased to announce the availability of a leadership position: Chair of the MD with Distinction (MDwD) Program for the CTR Pathway.
 
The Chair will establish and maintain the processes of the MDwD Program and will oversee approval of all manuscripts produced as part of the Program. Annual compensation will depend on the number of students enrolled in the Program but is anticipated to be about $3,000 to $4,000 per year. Some administrative support will be available through the Pathways to Discovery Program. Additional details of the position are attached.
 
Faculty members from all Schools are eligible to apply. Expertise in clinical and translational research is essential. To apply, send a recent curriculum vitae and a short paragraph explaining your interest in this position 

— posted by 千葉恒 at 01:26 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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