日整会基礎 ランチョン

日本整形外科学会 基礎学術集会でランチョンをさせていただきました。

日本整形外科学会(日整会:にっせいかい)学術集会は、
メインである学術「総会」と、
基礎研究にフォーカスした「基礎」学術集会と、
「骨・軟部腫瘍」学術集会の、3つで構成されています。

日整会基礎でランチョンさせてもらうのは初めてですが、内容的にはほとんど臨床の話をしてしまいました。

ランチョンセミナー9Link
骨粗鬆症および運動器疼痛
2021年10月15日(金) 12:10-13:10 第2会場
座長:宮腰 尚久  秋田大学
脊椎疾患由来の末梢性神経障害性疼痛に対する治療戦略
演者:黄金 勲矢  札幌医科大学
骨粗鬆症の治療戦略:デノスマブの役割,使い方と注意点
演者:千葉 恒  長崎大学
共催:第一三共株式会社

座長の宮腰尚久先生は、以前より骨粗鬆症の分野でお世話になっていますが、
今月10月より秋田大学の主任教授に就任されたそうです。おめでとうございます!

札幌医科大学の黄金勲矢先生は、留学先が同じで(UCSF)時期は違うのですが、同窓会などで仲良くさせてもらってます。
専門分野が違うのに同じランチョンでペアになれて嬉しかったです。縁がありますね。

今回もWeb配信となりました。配信風景をアップしてみます。こんな感じです。


IMG_1131



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— posted by 千葉恒 at 05:36 am   commentComment [0] 

ASBMR @San Diego & Web ー3

3)Challenge the Expert: Defining and Managing Osteoporosis Treatment Failure

骨粗鬆症治療のケーススタディーがありました。
内容を簡単にまとめ、コメントしてみます。

Case 1:
72F、アレンドロネート内服するもBMD減少傾向 → ゾレドロネートへスイッチ
Case 2:
77F、リセドロネート内服するも骨吸収マーカーが高いまま → ゾレドロネートへスイッチ

ASBMRの発表を聞いていると、ゾレドロネートが米国で主要な治療薬であることをよく感じます。
日本で米国ほど定着しなかったのは、医療システムや有害事象が関与していると思いますが、見直したいなと日々思っています。

Case 3:
54F、橈骨遠位端骨折後、テリパラチド治療3ヶ月後に対側の橈骨遠位端骨折 → テリパラチド継続
Case 4:
68M、セリアック病、デノスマブ治療6ヶ月後に転倒し多発骨折 → デノスマブ継続

セリアック病Link はグルテン不耐症のことですが、骨粗鬆症の原因にもなるみたいです。
この2例は、治療後早期に骨折が発症しても、「治療効果なし」と判定するには時期早々という判断で、私も同意です。

Case 5:
83F、RA、15年前より多発骨折に対してラロキシフェン→パミドロネート→テリパラチド→ゾレドロネート→休薬していたら椎体骨折 → アバロパラチド+デノスマブするも副作用 → ゾレドロネートするも骨盤骨折 → ロモソズマブ

休薬はやはり気をつけないといけないですね。
結果的に後手後手の経過なので、骨粗鬆症治療の原則はやはり先手必勝だと思います。

— posted by 千葉恒 at 06:31 am   commentComment [0] 

ASBMR @San Diego & Web ー2

2)Surrogate threshold effect (STE)

昨年触れた話題ですが、今年も引き続き発表がありました。下記は昨年のコピペLink です。

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骨粗鬆症の新薬を開発するときに、もちろん治験で有効性を証明するわけですが、何をもって有効とするか?「骨密度の上昇」または「骨折の抑制」のどちらかになるわけですが、歴史的に「骨折の抑制」をもって有効としています。しかし、骨折ってそんなに起きるわけじゃないので、かなりのサンプルサイズが必要です。

Surrogate threshold effectとは、どう訳せばいいのかわかりませんが、過去の骨粗鬆症の治験の莫大なデータを用いて、骨密度が何%増えれば骨折がまず抑制できるだろうと言う、骨折の代替となる骨密度の閾値を設定しようというコンセプトです。このプロジェクトには、骨代謝、骨粗鬆症業界の著名な人たちが共同演者となっています。

今回の発表では、大腿骨(全体)骨密度が24ヶ月で、1.4%上がれば椎体骨折、2.1%上がれば非椎体骨折、3.2%上がれば大腿骨近位部骨折の抑制が、有意に得られる、という結果でした。骨折をプライマリーエンドポイントにしなくても骨密度だけで疫学・統計学的には骨折抑制を証明できると言う意図です。大腿骨骨密度の3.2%アップはまぁまぁ大変だと思いますが、1.4%ならどうにかなりそうですね。

降圧薬は血圧が下がればいいわけですが、骨粗鬆症治療薬は骨密度が上がるだけではダメで、骨折抑制を証明しないといけないので、ハードルが高いと言われてきました。企業には大きな負担であり、これが新薬開発を妨げてきたとも言われています。そして現在、骨粗鬆症の新薬開発はほとんど枯渇してしまいました。これが、今回のプロジェクトの背景にあります。
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今年はこの研究の検証試験が発表されていました。
過去の10の研究で、STEを当てはめたところ、全ての研究(フッ化ナトリウムを除く)で結果が適合していた、という結果でした。

昨年の発表はLancet Diabetes Endocrinolで公表されています:
Treatment-related changes in bone mineral density as a surrogate biomarker for fracture risk reduction: meta-regression analyses of individual patient data from multiple randomised controlled trials.
Black DM, Bauer DC, Vittinghoff E, Lui LY, Grauer A, Marin F, Khosla S, de Papp A, Mitlak B, Cauley JA, McCulloch CE, Eastell R, Bouxsein ML; Foundation for the National Institutes of Health Bone Quality Project.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Aug;8(8):672-682. doi: 10.1016/S2213-8587(20)30159-5.

今年の発表はJBMRで公表されています(下図):
Validation of the Surrogate Threshold Effect for Change in Bone Mineral Density as a Surrogate Endpoint for Fracture Outcomes: The FNIH-ASBMR SABRE Project.
Eastell R, Vittinghoff E, Lui LY, McCulloch CE, Pavo I, Chines A, Khosla S, Cauley JA, Mitlak B, Bauer DC, Bouxsein M, Black DM.
J Bone Miner Res. 2021 Sep 7.


2021-10-08214953



— posted by 千葉恒 at 08:54 pm   commentComment [0] 

ASBMR @San Diego & Web ー1

ASBMR(北米骨代謝学会)がSan DiegoとWebのハイブリットで開催されています。

米国の研究者たちは現地で大集合しているのでしょうか。羨ましいですね。
来年は行けたらいいのですが。

ハイブリットのためか、昨年のWebのみの開催と比較して明らかにWebのプラットフォームが使いにくいです。
私のPCではログインにやたら苦労しましたし、検索もすごくイマイチです。
本日、なんとかポスターをチェックしたところです。

1)経口PTH製剤

経口のPTH製剤のPhase2の結果が発表されていました。
欧米の大企業でなく、イスラエルのEnteraBioという会社から発表されている点が面白いですね。

本日の時点ではポスターだけ見れましたので速報します。代謝マーカーと安全性に関するデータです。

Oral hPTH(1-34) 2.5mgの1日1回の内服で、P1NPは1ヶ月後で平均32%増加しています。2ヶ月後は12%、3ヶ月後は10%と増加が小さくなっています(N=10)。
非常に興味深いことに、CTXは1ヶ月後で平均ー13%の低下、2ヶ月後にー10%、3ヶ月後もー16%と低下しています。
つまりマーカー上は、形成促進、吸収抑制しており、既存のPTH連日注射製剤とは異なる変化を示しています。

気になる安全性に関しては、やはり頭痛、吐き気、めまいだそうです。それらの頻度の記載はありませんでした。SAEはなかったそうです。

容量設定は、0.5mg(N=25)、1.0mg(N=29)、1.5mg (N=28)に加え、高容量:2.5mg(N=19)を追加設定したそうですが、
2.5mgで低血圧が発生したため、1.5→2.0→2.5mg漸増群(N=17)もさらに設定し、9割以上が2.5mgに到達できたと記載されていました。

明後日、月曜のオーラルで投与6ヶ月後のBMDの結果を発表するそうです。下に追記する予定です。

追記です)

BMDの結果は、現実的なレジメである、1.5→2.0→2.5mgでは、6ヶ月間の治療で、
Lumbar spineで約2%、Total Hipで約2%、Femoral Neckで約3%の増加とのことでした。
大腿骨への効果が強く、かなり不思議な結果です。

本結果の注意点としては、上記のBMD変化率は、PTHのベースラインからの変化でなく、
PTHとプラセボのベースラインからの変化の差が記載されており、普通ではない表記方法です。

来年、2022年から、この新薬とテリパラチドのフェーズ3の比較試験を始めるそうです。
もし成功したら、面白い展開になりそうです。


2021-10-0382939



— posted by 千葉恒 at 08:29 am   commentComment [0] 

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