佐賀県海外使節団-2

彼らからの質問は、以下の如くでした。ここでもう一回、整理してみますね。

- どうやったら、留学できるのか(医師の場合)
医局によっては、海外のラボの有給ポジションを、2年ぐらいでその医局で回しているところもあります。これが確実性が高いです。ただし、自分がやりたい研究、行きたいラボではないかもしれません。
自分が行きたいラボにアクセプトされるには、現在最も確実な方法は、日本からの奨学金や給料があることです。大学によって違いますが、約300万円/年の収入を証明できれば採用され得ます。留学後に実力を示せば、現地でも給料を得られるかもしれません。

- 苦労していること
何と言っても英語、エーゴ。未だに会議で何を話しているのかわからず、言いたいこともうまく言えず、口の周りの筋肉が落ちていってるのか、最近、日本語を話すのも下手になってる気がします。

- 日米の研究の違い
アメリカでは、成果を出して個人の業績を上がる→業績とアイデアがあれば大きい助成金が狙える→助成金がもらえれば自分の給料や地位にも反映する→助成金で好きな実験をしたり部下を雇ったりできる→さらに成果を出す、というサイクルがあります。
日本の、成果をあげても自分の給料や地位が上がるわけではない、助成金の数や規模が小さく、それで自分の給料が上がったり部下を雇ったりできる訳ではない、というシステムとはだいぶモチベーションが違いますね。

生体材料に興味のある工学部の学生がいて、興味深い質問を受けました。

- 日本の医師が海外の製品を選ぶ理由は何か
するどい質問。僕も日本の医療製品が世界を席巻してほしいです。いろんな答えがあるとは思いますが、そのひとつは、欧米は医学以外の分野においてもそうですが、自分たちで「世界標準」を作るのが得意ですよね。骨折治療インプラントにおけるAOグループは一つの例で、欧米の医師とエンジニアが集まり、多くの基礎的研究に基づいた「世界標準」の治療法を体系化し、世界中で教育しています。同時に、その治療体系で必要とする、アイデア、バリエーション、使いやすさ、デザイン性に富んだ製品も開発しています。その治療法に従うと、自ずとその製品を使用することになります。

- 日本の生体材料製品が海外市場に乗り込んでいくには?
おそらくは、全く新しいアイデアに富んだ製品を作れるエンジニアと、それを世界中で売り込んで回れる営業者がいれば、切り込んでいけるんでしょうね。僕もそういった企業の手助けをできたらなと常々思っています。

- 実際にあったら便利だと思われる生体材料、医療機器等があれば教えてください
臨床の現場には「あったらいいな」がいくらでもあると思います。日本は異業種間のコラボが下手ですよね。どちらかがどちらかにグイグイいくしかないんじゃないでしょうか。「こういう機器が作れないか?」「どういった機器を作ってほしいか?」

などなど、いろいろいい質問を受けました。

MissionBay キャンパスの見学を終えた後は、SF General Hospitalに移動して、最近、すっかりお世話になってるSFGHの長尾医師にお願いして、病院見学をさせてもらいました。

まずは、SFGHの役割、特にSFの救急医療の中心として機能を説明していただき、その後、救急部の中を見学をさせてもらいました。
最後に、オペ室を、入り口から覗く程度でしたが、見させてもらいました。

救急車を全て受け入れる体制(10台同時に来ても対応可能とのこと)、救急医療チームの確立、救急部内の高度な処置室の設置や、救急患者専用のオペ室(1号室)の確保、などなど、日本の救急医療がいま目指しているいろいろなことが、ここにつまっていました。

計3時間程度でしたが、久しぶり日本の大学生と触れ合えて、正直楽しかったですね。
なかなかの個性派ぞろいでした。みんな向上心が高くて、僕も刺激を受けましたよ。


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— posted by 千葉恒 at 05:49 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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