SFGH見学 再び

先週の木曜日に、San Francisco General Hospital の 長尾医師Link の外来見学に再び行ってきました。

外来患者の一人が、ひどい側弯症で、アメリカ人医師が、
手術には、200,000ドル(約1600万円)くらいかかるんじゃ、と言ってました。

以前も触れましたが、アメリカの医療レベルは高いですが、保険システムは最悪で、
無保険率は、2009年で16.7%、6人に1人は保険なしです。これはたいへんな割合です。
例え保険に入っていても、種類によってカバーする程度も様々で、
大きな手術をすれば、結局、何百万円も払わなければならない保険もあります。

坐骨神経痛に苦しんでいる患者さんがいましたが、
前回の見学で、僕にとってはすっかりお馴染みとなったオキシコドンを10mg内服されていました。
アメリカにおける、患者さんのオピオイド漬けの理由の1つは、
保険の理由で手術を容易にできない、という事情もあるのかもしれません。

今回の見学で、最も印象深かったのが、ナースです。その医者っぷりに驚愕しました。
前回、アメリカの外来には、日本のように、医師の横について診療を介助するナースがいなかった
ということを書きましたが、今回、ナースが1人新しく配属されていました。

彼女は白衣など着ず、思いっきり私服なのですが、
レジデントと同じように患者さんを問診して、診察して、診断などを考えて、
指導医に自分の意見などを言ったりしていました。もう、ほとんど医者。

ちょっと調べてみましたが、アメリカの看護師の制度は日本と全然違い、大変おもしろいです。

- Medical Assistant:高卒後、数ヶ月のコースでなれる。血圧測定、採血などを行い、看護師をサポート。
- LPN(Licensed Practical Nurse:準看護師)
- RN(Registered Nurse:看護師)
- CNM(Certified Nurse-Midwife:助産師)
- CNS(Certified Nurse Specialist:専門看護師):看護のエキスパート(独立して診療行為ができるわけではない)

ここまでは日本と同じです。
しかし、日本のナースは、メディカルアシスタントの業務もしているため、
加えて、特に大学病院では何か記載の時間が多いため、疲弊気味ですね。
病棟も転々とするので専門化が難しく、看護は知っていても疾病を勉強する時間なし、みたいな状態に落ち入りがちです。

さらに
- CRNA(Certified Registered Nurse Anesthetist:看護麻酔師)
- NP(Nurse Practitioner:診療看護師)
- PA(Physicians Assistant:医師助手)

NPやPAの存在を知りませんでした。
州によっては医師から全く独立して診療行為を行うこともできるそうです。処方もできます。ほとんど医者です。
外来で見た彼女は、おそらくNPだったのだと思います。

あるブログによると、おおよその年収は、メディカルアシスタントが250万円、
看護師が550万円、NPになると700万円だそうです。

これはいよいよ、医師は相当の専門職人でなければいけないと思いました。
整形外科医の場合は、やはり手術のスペシャリストでなければ、存在価値がなくなりますね。
ちょっと身が引き締まる思いです。

— posted by 千葉恒 at 11:43 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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