モントレー手術見学-1

先週は、モントレーに手術見学をしに行ってきました。

モントレーは、サンフランシスコから南に約2.5時間のところにある港町です。
隣町のカーメルと合わせて、人気の観光地です。

尋ねたドクターは、Richard DauphineLink という整形外科医師で、
2年前に長崎大学が日本人工関節学会を主催した際に、講演に来ていただいた先生です。
レセプションでお話をさせていただき、その後、メールで講演の資料を送っていただいたり、
手術の教科書のCDをわざわざ郵送していただいたりと、優しくしていただいてました。

昨年、SFに留学した際にメールで連絡をし、いつでも遊びにおいでと言われていたのですが、
往復5時間が遠いのと、会話が続かずツライだろうな、というのがあり、
誰か一緒に行ってくれる人いないかなー、と思っていたところ、
同じくUCSFに留学中の、兵庫医大整形外科のM先生が一緒に来ていただけることになり
一泊二日で、一緒に行くことにしました。

リチャードの現在の診療現場ですが、彼は自分のクリニックを開業しており、
週に2-3日は、DaySurgery(日帰り手術)専門施設で手術をしています。

この DaySurgery専門施設は、Ambulatory Surgery Centers(ASCs)と言われており、
日本では馴染みがないですが、アメリカではかなり普及しているシステムで興味深いです。
アメリカで行われている手術の約70%が外来手術で、現在、その外来手術の約50%が
このようなDaySurgery専門施設で行われているそうです。

モントレーには、1982年より、Monterey Peninsula Surgery CenterLink という
DaySurgery施設が開設され、現在は3ヶ所あり、さらに2つ建設中とのことです。

約60人の外科系医師と、15人の麻酔科が登録しており、1施設に3-5のオペ室程度で、
驚異の回転で手術をしており、年間に約7000例、1000万ドル以上の売り上げがあるそうです。
 
患者側の利点は、
- 医療費が安い:これが第一です。アメリカで手術をするには鬼のような費用がかかります。
- 家に帰れる:自宅で自分の時間を過ごせます
- 家でも管理ができるよう、低侵襲手術や鎮痛ケアを徹底してもらえる

医療側の利点は、
- 稼いだ分だけ報酬がもらえる:これはナースや一般職員にも適応され、毎月売り上げを集計し、
それに応じてボーナス(職員に対して計6万ドル/月 程度、30人いたとして約15万円)を
出しているそうです。職員のモチベーションがかなり高いですねー。やっぱりお金?
- 夜勤や当直がない:自宅で自分の時間を過ごせます
- クリニックを開業しても手術を継続できる:自分のスキルを生かせます
- 比較的健康な患者を対象とし急変が少ない:おそらく割のいい手術ばかりしています。
- 感染がおきたら、感染症専門医に頼る

その分苦労している医師がいるような気がしてなりませんが、
医師も患者もお互いのQOL(お金、時間)を追求している、といった感じです。

当日も、UKA、鏡視下バンカート、鏡視下腱板縫合の3例を、1つのオペ室で行い、
3時過ぎに終了し、5時には会員制のスポーツクラブLink でみんなでお茶しました。。


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— posted by 千葉恒 at 02:49 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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