モントレー手術見学-3

手術の詳細ですが、その日の手術は、UKA、鏡視下バンカート、腱板修復術の3例でした。
オペ室に入ってまず思ったこと。窓があって明るい。日本にはない風景でした。

1例目は外側OAに対するカスタムメイドのUKA(人工膝関節単顆置換術)でした。
CTデータを送って約6週間ほどで、患者の骨形態に合わせたUKAが送られてくるそうです。
ちなみに「オーダーメイド」は通じず、調べたところ和製英語でした。
和製英語って紛らわしいですよねー。何度間違ってきたことか、、

人工膝関節で時間がかかる作業は、骨切りの角度と、インプラントサイズの選択ですが、
カスタムメイドでは、すでにサイズは決まっており、それに合わせた専用の骨切りデバイスもあり、
選ぶのは2種類のインサートだけで、ほとんど時間がかかりません。
術前プランニングすらメーカーに任せた形になり、便利ですが心境としてはちょっと複雑ですね。

小侵襲、鎮痛管理は徹底しており、術前から経口鎮痛剤を投与、大腿神経エコー下ブロック、
執刀前に局麻、MISで展開、終刀前にも鎮痛剤カクテルを局注、クーリングの還流装置をつけて、
術後1-2時間後には立てるようになり、帰宅していました。初回外来は4日後だそうです。

2例目は、反復性肩関節脱臼に対する、鏡視下バンカート修復術でした。
小さな骨性バンカートもありましたが、4つのアンカーでいい感じに修復されていました。
3例目は、インピンジメント症候群に対する、鏡視下肩峰下除圧術でした。
ところが、鏡視してみると腱板断裂があり、途中でミニオープンにして腱板縫合術を追加しました。
色んな局面で、迷いが少なく決断が速かったですね。

スタートは8時で、小さなトラブルがありつつも、3時半ごろには3例終わってました。
同じオペ室でしたが、入れ替え時間が10分程度らしく、回転がめちゃくちゃ速かったです。
手洗いも速いし、麻酔の導入・覚醒も速いです。

ちょっとおもしろかったのが、手術の助手でした。
基本的に執刀医のRichardと、第一助手と、器械出しの3人でやってるのですが、
第一助手は、見るからにおじいちゃんで、話をしたところ、なんと87歳。
外科医を引退したあとも、趣味(バイト)で手伝いに来てるのだそうです。
ちょっと耳が遠くて、とぼけた仕草を時々見せて、ゆるキャラ的存在でした。

器械出しの男性が、あまりに動きが早くて、かなり感心してしまいました。
Richardに聞いたところ、彼はナースではなく、Operations Technician でした。
アメリカのナースは賃金が高騰しており、彼らはナースよりサラリーは安いが、
モチベーションは高いそうで、積極的にトレーニングなども受講しているようでした。

最後に、RichardLink 自身ですが、彼はSF出身、ボストン育ち、エール大学卒で、
1968年にMD取得、69-75年には名門 MayoClinicでResidencyをしています。
75年、33歳でモントレーにうつり、82年よりASCsで手術をしています。
奥さんのSusanは現役の判事です。超インテリ夫婦ですね。

初めての来日で京都と満開の桜を見てから、大の親日家になったようです。
それから日本関係の書籍を読みまくり、行きたい所リストを作って4-5回ほど来日しているようです。
自宅を訪問しましたが、玄関を自作で和風に改造し、庭も日本庭園を再現していました。
もし将来また来日されることがあれば、完璧な接待をしたいと思います。この恩は忘れません。


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— posted by 千葉恒 at 10:23 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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