骨折後の骨粗鬆症治療

脆弱性骨折を起こした方には、当然、骨粗鬆症治療をすべきですが、行われないことも多いです。

整形外科医の視点で考える大きな理由は、DPC(包括医療)とフォローアップです。

1)DPC(包括医療)
脆弱性骨折で入院している方には、理想的には入院中に骨粗鬆症治療を開始したいところです。

治療効果が高いのはロモソズマブやテリパラチドです。
しかしながら、薬価が高いため、DPC(包括医療)では、病院の減益になるため、避けられることが多いです。

月額に割れば手頃な薬価のデノスマブやゾレドロネートでも、投与日が入院中であれば、やはり高価です。
後述のフォローアップに難のある方には、1年間の効果が得られるゾレドロネートは良いとは思うのですがね。

DPC(包括医療)で妥当なところは、静注イバンドロネートか経口ビスホスホネートということになります。
または、入院中はリハビリに専念して、外来からロモソズマブやテリパラチド、デノスマブを始めるというパターンですね。

2)フォローアップ
大腿骨近位部骨折の患者さんは、ほとんどが80〜100歳で、本来は、術後2〜3ヶ月ぐらいでまず外来に来てもらうべきですが、
なかなか自力では来院できないため、外来フォローせずご家庭や施設で経過を見てもらってることも多いと思います。
その場合、骨粗鬆症治療をかかりつけ医にお願いすべきですが、連携が十分でないことが多いです。

椎体骨折や橈骨遠位端骨折の場合は、60〜80歳の、退院後も通院できる方も多いです。
これらの骨折はそもそも入院でなく外来治療も多いですので、前述のDPC問題もなく、最も骨粗鬆症の評価や治療の対象になるかと思います。

ただ、整形外科医は手術を終えると役割りを果たした気になり、かつ、フォローすることで自分の外来の予約数が増えることを避けがちで、
また、患者さん側も骨折が治ると骨粗鬆症自体には自覚症状がなく、かつ、薬を増やしたくない心理もありますので、
これらも大いにフォローアップをされない原因となってます。

まぁ、いろんな観点から根深く、簡単ではないです。

もし何でもして良いんだったら、
「骨粗鬆症の薬物治療を、専門の看護師が、入院中からできる」ようになれば、かなり解決するでしょうね。

— posted by 千葉恒 at 07:33 am   commentComment [2] 

この記事に対するコメント・トラックバック [2件]

Up1. やまなか — 2021/05/25@23:31:18

お疲れ様です。
コロナ禍で急性期の当院は本当に地域連携の難しさを痛感してます…(TT)

〉骨粗鬆症の薬物治療を、専門の看護師が、入院中からできる

OLS介入で治療をプランニングしてドクターが処方箋だけ書く
これを許してもらえたら全国マネージャーのモチベーションも上って、もっと健康寿命延伸に寄与出来ると思うのですが…
※看護師の分際でこんな事言ってはいけないと思っていますが…(++!)

2. ちば — 2021/05/30@09:10:19

「OLS介入でマネージャーが治療をプランニングし、フォローも含めて管理する」
これは私も目指したいシステムです。

医師がそのプランを参照して処方する、または、NP(ナースプラクティショナー)に一定条件下での処方権が認めらる、がポイントになるかと思ってます。

私のいる大学病院では、外来数を減らしたい病院の方針があるので、なかなか難しいですが、外勤している民間病院では、可能性はあります。ただ、週1回の外勤ですので限界があります。やまなかさんみたいな人がいれば、一気に改革できますが。

コメントをどうぞ。 名前(ペンネーム)と画像認証のひらがな4文字は必須で、ウェブサイトURLはオプションです。

ウェブサイト (U):

タグは使えません。http://・・・ は自動的にリンク表示となります

:) :D 8-) ;-) :P :E :o :( (TT) ):T (--) (++!) ?;w) (-o-) (**!) ;v) f(--; :B l_P~ (QQ)

     

[X] [Top ↑]

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.2246 sec.

prev
2021.5
next
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31