ASBMR @Austin -7

3)ROM 非椎体骨折抑制効果

非椎体骨折って何?という方もいるかと思います。

椎体骨折(いわゆる脊椎圧迫骨折)は、転倒しなくても自然発症もあるため発生頻度が多く、
椎体は海綿骨が多いため薬物治療の効果が高く、よって骨粗鬆症治療薬の治験では、骨折抑制効果が出やすい部位です。

逆に非椎体骨折、つまりは、四肢の骨折と考えていいのですが、基本的には転倒がないと発症しないため、発生頻度が低いです。
ただ、大腿骨近位部骨折は非椎体骨折に含まれるため、非椎体骨折への効果も、新薬治験では結果がでてほしいところです。

最強の治療薬とされているロモソズマブ(イベニティ)ですが、プラセボ対照試験であるFRAME試験では、
非椎体骨折とのP<0.05の有意差が出なかったため、ざわつきました。

これにはいくつか言い分があり、1つは、現在のプラセボ対照治験は、昔と違って、骨折リスクが高い集団では実施ができません。
骨折するのがわかっているような人にプラセボを投与するのは、倫理的に問題があるとされるからです。

よってFRAME試験は、骨折の既往がない集団を対象としています。
そのような集団では、四肢の骨折はなかなか発生しませんので、差も出にくかった、ということです。

加えて、エントリー促進のために、南米の症例を大量にリクルートしたところ、
かなり骨折リスクの低い集団となった可能性が指摘されています。

さらに、P<0.05の有意差が出なかったと言いましたが、治験の結果は、2年目でP=0.06ではありました。
P=0.050と0.049で急に結論が変わることはおかしく、P=0.06でも一定の効果はあったと解釈できます。

今回も前置きが長くなりましたが、
今回の発表では、FRAME試験の参加者の中で、骨折リスクが高め集団を比較したらどうだったか?という内容です。

当たり前な解析かと思われるかもしれませんが、これには順序がありまして、
近年、AACE(American Association of Clinical Endocrinology)がOsteoanabolic Therapy(ロモソズマブやテリパラチドの治療)の適応に関するクライテリアを提唱したのです。

そのクライテリアでは、骨折がなくとも、BMDがとても低い(T-score<-3.0)、または、FRAXがとても高い(MOP>30%)ならば、イベニティ開始も可とされます。

すると、FRAME試験の7180名の中には、上記を満たす参加者が2825名いました。
そして、この集団でロモソズマブとプラセボを比較したところ、非椎体骨折の発生率が、
2年目でP<0.05の差がついたどころか、1年目でもP<0.05の差がついたのです(0.9% vs 1.9%)。

敵討ちに成功したような発表であり、そして、巨匠McClung教授曰く、自分のASBMRでの最後の発表とするとのことでした(たぶん。リスニング力不足)。
これには、前述のEgo教授から何らかジョークのコメントがありましたが、内容はわかりませんでした(リスニング力不足)。

— posted by 千葉恒 at 02:28 pm   commentComment [0] 

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