UCSF整形外科見学-1

先週は、UCSF整形外科に留学中の兵庫医大の圓尾先生に、職場の見学をさせてもらいました。
僕の所属は放射線科ですが、予定どおり、徐々に整形外科にも進出中です。

まずは早朝から、ミーティングに少しだけ参加させてもらいました。
UCSF整形外科のミーティングは主に、全体のミーティングと
各診療グループによるミーティングがあり、いずれも早朝から行われています。

全体ミーティングは、毎週水曜の朝6:30から8:30まで、講義室を借り切って行われます。
6:30から7:30までは、シニアレジデント(日本で言うところの入局後3-4年目の先生)
による症例発表(Grand Round)で、毎週持ち回りで、自分の経験した症例と、
それを通して勉強したことを発表します。

先輩から飛び交う質疑に答えながらの1時間の発表で、かなり鍛えられると思われます。
いつも思うのですが、アメリカの医療教育では、知識を覚えることだけでなく、
他者に伝えるトレーニングが、よくなされています。見習うべきですね。

その後、7:30から8:30までは招待講演で、僕が参加した週はスタンフォード大学整形外科の
Andriacchi 先生による動作解析の講演でした。僕としてはかなりおもしろかったです。
どうも、日本で言うところの専門医の単位がつくらしく、大学以外の医師も参加しています。
日本では夜の7:00ぐらいからホテルなどで行われますが、12時間早いですね。

各グループによるミーティングですが、Spineグループの場合は月曜の7:00〜9:00に行われています。
7:00から8:00は、フェロー(日本で言うところの5-6年目の先生)によるレクチャーで、
1つのテーマに対して1時間の講義をします。これに参加することはかなり有益らしいです。

8:00から9:00は、いわゆる術前術後カンファで、フェローの先生が毎週約20の手術症例を、
病歴や診察所見はあまり述べずに、手術内容を中心に報告するとのことです。
これには、ナースやインプラント業者、研究者も参加しているそうです。

UCSF整形外科に限らず、UCSFのキャンパス全てに言えることは、
ミーティングルームがなんかかっこいい、ということです。
そして、日本のような狭い部屋、長い、眠っている会議がほとんどないです。
圓尾先生が、日本でも会議室を借りてミーティングをすれば、広いし時間も決まってるし、
メリハリがあっていいのでは、と述べられてました。なるほど、グッドアイデアです。


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— posted by 千葉恒 at 01:52 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

SPring-8

いよいよ来月、SPring-8に行きます。

SPring-8Link は日本の兵庫県にある世界最大級の放射光施設です。
放射光とは、電子を光の速度まで加速し磁場内を通過させることで得られる特殊な電磁波のことで、
SPring-8には放射光を用いた実験室が約50あり、主として物理系の実験が行われています。
世界には同レベルの施設が計3つLink (日本、米国、フランス)あり、それぞれがしのぎを削っています。

ここで僕は数年前より、放射光を用いたマイクロCTの撮影を行っており、
ヒトの骨を放射光CTで解析している、あまり数多くない研究者の1人です。
今回の訪問は5回目で、実験責任者としては3回目となります。

今回の実験は、骨粗鬆症患者の海綿骨に不顕性に発生している微細な骨折に関する調査です。
使用機会に制限が設けられており、本年度の使用許可をいただいたので、
ビザ更新の一時帰国と時期を合わせて、わざわざアメリカから実験に参加することになりました。
長崎大学から2名、さらに東京から2名共同研究者が参加します。

見学をご希望の方はご連絡ください。学生さんでも構いません。
日本が誇る世界一の研究所です。
研究内容に興味がなくとも、この施設を見学して回るだけでも十分に刺激になりますよ。


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— posted by 千葉恒 at 11:45 pm   commentComment [4]  pingTrackBack [0]

UCSF日本人整形外科の会

昨日は、UCSF, Orthopaedic Trauma Institute の 長尾正人Link 先生を中心に、
現在UCSFに留学中の日本人整形外科医が全員集まって、初の飲み会をしました。

長尾正人先生は、このブログにもう何回もLink 登場している有名人です。
UCSF関連病院であるSan Francisco General Hospitalの
Orthopaedic Trauma Instituteに勤務されている日本人医師です。

現在、UCSFに留学している日本人整形外科医師は、僕らが把握している限りでは3人です。

- 兵庫医大 圓尾先生:UCSF, Orthopedic Surgery, Spine Group にて
          臨床留学(手術見学や、術後感染などの臨床研究)
- 東京大学 森岡先生:UCSF, Neurological Surgery にて
          基礎研究(脊髄損傷、脊柱管狭窄症などの動物実験)
- 長崎大学 千葉:  UCSF, Radiology and Biomedical Imaging にて
          画像・バイオメカ研究(変形性関節症、骨粗鬆症)

この夏に圓尾先生が帰国されて、後任の兵庫医大の先生と、大阪大学からもう一人、
計2名の先生が、UCSF, Orthopedic Surgery に臨床留学されると聞いています。

昨晩の飲み会では、留学生活の情報交換をしたり、
整形外科医同士でしかわからないような会話をしたり、
日頃たまっているネガティヴな話もあり、楽しいひとときを過ごしました。

今後も、お互いの職場を見学し合ったり、いつもの如く長尾先生にお世話になって、
UCSFの臨床の現場を見学させてもらう予定です。


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— posted by 千葉恒 at 01:53 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [9]

アメリカンチェリー

先週末は、アメリカンチェリー狩りに行ってきました。
ちょうど5月から6月にかけてがシーズンらしいです。

昨年はピーチ狩りに行ってきたのですが、この手のイベントは、
いつもSFの日系教会の人達から、お誘いをいただいています。
僕自身はクリスチャンではないのですが、引越当初に知り合いになり、
数ヶ月に1回程度ですが、イベントに参加しています。

アメリカ生活が長い日本人や、2世、3世の日系人とお話するのは楽しいです。
色んな人生があるんだな、と感心していまいます。

農園は、ブレントウッドLink という、SFから東に1.5時間程に行った所にあり、
見渡す限り、色んな種類の果樹の農園が広がっています。めちゃくちゃ暑い。

システムは、農園内はフリーで食べ放題で、持って帰る分だけ計り売りしてくれます。
僕らは7パウンド(3.2kg)で15ドルでした。よくわかりませんが、安いんだと思います。

酸っぱいのがあるので、味見をしながら摘んでいくのですが、
最初は「うまいー!」とか言って、2個食べて1個入れるようなテンポでしたが、
だんだん飽きて舌が麻痺してきて「うまいのか何なのかわからん!」とか言いながら
テキトウに摘み出し、最終的には「当分はノーサンキュー」って感じになります。

その後は、ピクニックランチをして、楽しいひと時でした。


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— posted by 千葉恒 at 11:42 pm   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

モントレー手術見学-3

手術の詳細ですが、その日の手術は、UKA、鏡視下バンカート、腱板修復術の3例でした。
オペ室に入ってまず思ったこと。窓があって明るい。日本にはない風景でした。

1例目は外側OAに対するカスタムメイドのUKA(人工膝関節単顆置換術)でした。
CTデータを送って約6週間ほどで、患者の骨形態に合わせたUKAが送られてくるそうです。
ちなみに「オーダーメイド」は通じず、調べたところ和製英語でした。
和製英語って紛らわしいですよねー。何度間違ってきたことか、、

人工膝関節で時間がかかる作業は、骨切りの角度と、インプラントサイズの選択ですが、
カスタムメイドでは、すでにサイズは決まっており、それに合わせた専用の骨切りデバイスもあり、
選ぶのは2種類のインサートだけで、ほとんど時間がかかりません。
術前プランニングすらメーカーに任せた形になり、便利ですが心境としてはちょっと複雑ですね。

小侵襲、鎮痛管理は徹底しており、術前から経口鎮痛剤を投与、大腿神経エコー下ブロック、
執刀前に局麻、MISで展開、終刀前にも鎮痛剤カクテルを局注、クーリングの還流装置をつけて、
術後1-2時間後には立てるようになり、帰宅していました。初回外来は4日後だそうです。

2例目は、反復性肩関節脱臼に対する、鏡視下バンカート修復術でした。
小さな骨性バンカートもありましたが、4つのアンカーでいい感じに修復されていました。
3例目は、インピンジメント症候群に対する、鏡視下肩峰下除圧術でした。
ところが、鏡視してみると腱板断裂があり、途中でミニオープンにして腱板縫合術を追加しました。
色んな局面で、迷いが少なく決断が速かったですね。

スタートは8時で、小さなトラブルがありつつも、3時半ごろには3例終わってました。
同じオペ室でしたが、入れ替え時間が10分程度らしく、回転がめちゃくちゃ速かったです。
手洗いも速いし、麻酔の導入・覚醒も速いです。

ちょっとおもしろかったのが、手術の助手でした。
基本的に執刀医のRichardと、第一助手と、器械出しの3人でやってるのですが、
第一助手は、見るからにおじいちゃんで、話をしたところ、なんと87歳。
外科医を引退したあとも、趣味(バイト)で手伝いに来てるのだそうです。
ちょっと耳が遠くて、とぼけた仕草を時々見せて、ゆるキャラ的存在でした。

器械出しの男性が、あまりに動きが早くて、かなり感心してしまいました。
Richardに聞いたところ、彼はナースではなく、Operations Technician でした。
アメリカのナースは賃金が高騰しており、彼らはナースよりサラリーは安いが、
モチベーションは高いそうで、積極的にトレーニングなども受講しているようでした。

最後に、RichardLink 自身ですが、彼はSF出身、ボストン育ち、エール大学卒で、
1968年にMD取得、69-75年には名門 MayoClinicでResidencyをしています。
75年、33歳でモントレーにうつり、82年よりASCsで手術をしています。
奥さんのSusanは現役の判事です。超インテリ夫婦ですね。

初めての来日で京都と満開の桜を見てから、大の親日家になったようです。
それから日本関係の書籍を読みまくり、行きたい所リストを作って4-5回ほど来日しているようです。
自宅を訪問しましたが、玄関を自作で和風に改造し、庭も日本庭園を再現していました。
もし将来また来日されることがあれば、完璧な接待をしたいと思います。この恩は忘れません。


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— posted by 千葉恒 at 10:23 am   commentComment [0]  pingTrackBack [0]

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