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ASBMR @Austin -6

2)ROM vs Dmab

ロモソズマブ(イベニティ)には、4つのPhase3 Trial があります。

ロモソズマブ vs プラセボ(女性)(FRAME)、ROM vs プラセボ(男性)(BRIDGE)、
ロモソズマブ vs アレンドロネート(ARCH)、ロモソズマブ vs テリパラチド(STRUCTURE)。

残された相手は誰でしょうか? それはデノスマブです。

しかし、ロモソズマブとデノスマブのHead to head の治験は行われていません。
おそらくは、デノスマブは薬効が高いので万が一負けたらマズイのと、そもそもこの2つの製造元が同じ会社(アムジェン)だからかなと思われます。

今回の発表は、FRAME study のロモソズマブ群の1〜2年目と、コントロール群の2〜3年目を比較したデザインです。なかなか巧みです。
説明しますと、

FRAME study(2年間)、および Extension study(1年間)は、
ロモソズマブ群:ロモソズマブ1年間 → デノスマブ1年間 → デノスマブ1年間 (ROM→Dmab→Dmab)
コントロール群:プラセボ  1年間 → デノスマブ1年間 → デノスマブ1年間 (PBO→Dmab→Dmab)
で構成されています。

ROM→Dmabが標準治療ですが、上記のstudyでは、その比較相手は、PBO→Dmab です。
しかし、Dmab→Dmabとの比較もしたい。
Dmabで始めるのと、Dmabの前にROMを入れたのとでは、どれだけ差が出るのかを知りたい。

そこで、流行りのPropensity score matchingを使って、
ロモソズマブ群の1〜2年目のROM→Dmab(N=2772)と、
コントロール群の2〜3年目のDmab→Dmab(N=2772)を比較しようという試みです。
Extension study 立案の時点で、すでにPropensityで安全に比較するこの構想があったのかもしれません。

前置き長かったですが、結果は、
腰椎BMDの増加率が、16.8% vs 7.4%、大腿骨BMDの増加率が、8.4% vs 3.9%、
椎体骨折の発生率、0.6% vs 1.3%(P=0.006)と、圧勝な結果でした。こんなにもか、という感じです。

質疑ではプチバトル発生で、学会名物のSeeman先生が、どうして四肢の骨折で有意差がつかない、BMD上昇と骨折抑制の関係を疑問視する、との発言、
対して演者のCosman先生は、BMD上昇と骨折抑制には極めて高い関係がある、と。
加えて、こちらも学会名物のFerrari先生がこの集団で四肢骨折の差を見るには時間がかかる、との援護射撃が。

Onsiteの面白さです。Genant先生がこの場にいないことが偲ばれます。

— posted by 千葉恒 at 11:49 am   commentComment [0] 

ASBMR @Austin -5

さて、ASBMRです。北米骨代謝学会。

骨代謝疾患、主に骨粗鬆症の、基礎〜臨床研究をカバーする世界で最も大きな学会です。
とは言っても、新薬の開発が枯渇してきている本分野は、学会の規模も縮小傾向です。

学会が縮小傾向なのは、不思議な話ではあります。

というのは、骨粗鬆症は患者数が極めて多く、高齢者を要介護状態にするタチの悪い疾患であり、
医療経済的にも、介護に奪われる労働力の意味でも、重要性が高く、
しかも現状、最強と言われている薬を駆使しても、多くの患者さんは治癒することはできません。

つまり、マーケットとニーズはあるけど、開発の積極さは失われている方向性なんです。

そんなこんなで、気になった演題を紹介しますと、

1)KER-012

骨粗鬆症の新規治療薬のPhase1の話題です。
Activin receptor IIB ligand trap という、私もコピペしながら何のことやらわからないものです。

健常女性に対する、KER-012の0.75、1.5、 3、5mg/kgおよびプラセボ(N=8、8、8、8、8)の皮下注射の1回投与での、安全性と4週後の骨形成マーカーを見ています。
その結果、懸念されていた赤血球増多は見られず、骨形成マーカーP1NPは最大量の5mg/kgで40%ほど増加しています。
骨吸収マーカーCTXは、抄録では低下の傾向と記載ありましたが、今回はデータを示していませんでした。質疑でもその点が触れられてましたが、よく聞き取れませんでした。

将来、新しい骨形成促進薬が増えるんでしょうか、、楽しみです。生き残りは容易ではないとは思いますが、今年の明るい話題でした。
一方、ロモソズマブ(イベニティ)は2週間でP1NPを150%増加させますので、本薬がどの程度インパクトのある薬剤となるかは不明です。


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— posted by 千葉恒 at 06:40 am   commentComment [0] 

ASBMR @Austin -4

オースティン(Austin)について、Wikiると、、

テキサス州の州都、都市圏人口ではダラス、ヒューストン、サンアントニオに次ぐ規模

目覚ましい経済成長と人口増加を誇っている。
発展を支えているのがIT産業。デル(本社)、アップル、サムスン電子など(オラクルやテスラは本社をカリフォルニアからオースチンに移すそうです)。
テキサス州は政治的に保守的な州として有名だが、オースティンは例外的にリベラルな気質な人が多い事で知られている。

ホノルル以外では最も南に位置する州都(確かに暑い)。
人種構成は白人65%、30%はヒスパニックまたはラテン系(地図で見ると、最も長いメキシコとの国境を持つ州ですね)。
姉妹都市は大分県大分市。

そして気づいたのが、私の愛するスーパーマーケット、ホールフーズ(Whole Foods Market)の本社があり、どうもオースチンが発祥みたいです。

1978年、25歳のジョン・マッキーが開店した小さな自然食品店「セイファー・ウェイ(SaferWay)」(名称は、当時オースチンにも開業した大規模スーパーマーケット・チェーン「セイフウェイ(Safeway)」をもじったもの)が始まり。2年後、従業員19名の自然食品店「ホールフーズ・マーケット」が初めて開店した。

で、ホールフーズ総本店に行ったところ、なかなかのワインの品揃えで、
私たちが好きだった、思い出のワイン、DUCKHORNを発見! なつかし〜
ほか、StagsLeap、そして、SILVER OAKも! 手に持つだけでテンションあがる〜

さて、前回の質問、マウンテンデューの値段ですが、3.25ドル、460円でした。高〜い。
と、驚かそうとしましたが、今日、セブンイレブンで見たら、2.49ドルで、360円でした。でも高いね。

至る所で、物価高+円安に苦しんでいます。正直、値段ばっかり見ています。


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— posted by 千葉恒 at 11:42 am   commentComment [0] 

ASBMR @Austin -3

さて、勝負の日です。アドバイザリーボード。初体験です。

骨粗鬆症の分野で超絶に有名な教授たちが参加するミーティングに、日本から私だけで参加することになりました。
今年は日本から骨粗鬆症分野の臨床医の参加者が非常に少なく、私を抜擢していただきました。

その前に、ロストバゲージの報告です。結局、翌日の早朝に届きました。
これで朝食は確保されました。カロリーメートと、日本茶です。そして何より、ジャケットとネクタイと革靴があります。

さて、マリオットの会議室で、有名教授10人、企業から3人、私でトータル14人の
4時間の、長〜〜い会議の始まりです。

つらかった〜〜〜、相変わらず、聞き取れないのです。特に医療システムやその周辺の単語や背景がわかりません。
とは言っても、トータルの半分くらいはわかったかな。

皆さんディスカッションが大好きなので、奪い合うようにコメント、時にヒートアップ、頻回に脱線。
これで時間が過ぎていきました。

私はどれだけ活躍できたかと言うと、、2回のコメントでした。がんばった!

皆さん優しい人たちで、ちょいちょい、日本では、とか、日本の論文で、とか、
小さなパスを出してくれましたが、ボールを触れることすらできませんでした。

私の2回のコメントは、完全にフリーキックを蹴らせてくれた状況で、
想定コメントを10種類ぐらい準備してたので、それを材料に発言しました。
ゴールは枠をとらえてないですが、いくつかメッセージは残せました。

日本の優れた診断基準、しかしトリートメントギャップ、治療は主に整形外科医がしていること、
余分な仕事と感じていること、FLSはまだ病院に収益を与えきれてないこと、などです。
もうちょっと準備してたのですが、とにかくパス回しが早く、内容がわかってないので、タイミングを得れませんでした。

しかし、いい経験だったな。。
コスマン先生、フェラーリ先生、マクラング先生、ブラック先生、エベリング先生(ASBMRプレジデント)、などなど
この業界なら知らない人はいない著名人たちです。

最後に問題です。写真のマウンテンデューはいくらでしょう。。


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— posted by 千葉恒 at 06:14 pm   commentComment [0] 

ASBMR @Austin -2

今日は、怒涛の1日目(移動日)でした。

長崎ー羽田ー成田ーサンフランシスコーオースチンの24時間旅です。

1)まず、システムが変わったなと思ったところは、ANA国際線のプレミアムエコノミーシートです。
ANAは、エコノミーとビジネスクラスの間の、プレミアムエコノミーを提供しているのですが、

昔は、当日に空きがあれば、エコノミー予約でも、カードのステータス(ゴールド)で、
無料でプレミアムエコノミーにアップグレードできたのですが、

今は、たとえば、日本ー西海岸であれば、アップグレードポイント5または20000マイルで、
当日に空きがあればゴールドメンバーはアップグレードでき、かつこれは、事前申請もできます。

2)途中まで順調でしたが、異変が起きたのは、サンフランシスコでの入国審査でした。
見たことないような長い行列で、一緒に並んでいた日本の宝石商は、これはやばい、と。

私の乗り継ぎは3時間だったのですが、到着がやや遅れて、この入国審査で一時間半以上かかりまして、
乗り継ぎ客はみんなそわそわしていて、交渉している人もいましたが、問答無用に一蹴されていました。

私は、ボーディングの5分前に入国審査に入り、そこから猛ダッシュ!こんなに命懸けで走ったのは久しぶりです。

スーツケースどこだ? それ持って、税関を突破、係の人も搭乗券見て、「Oh my gosh!行け!」みたいな感じで。
荷物のre-check inをして、国内線の搭乗ターミナルまで走る走る。セキュリティーには少々の行列が。
周りが見かねて、先へ行けと、飛ばしてくれて、突破し、ゲートに着いたところ、ボーディングはまだ終わってませんでした。間に合った、、

3)ということは、、少し嫌な予感もしていましたが、荷物は間に合わなかったようです。人生初のロストバゲージです。
バゲージクレームが止まった後に途方に暮れましたが、UAの受付に行って、荷物は着き次第ホテルに送るよ、と言われ、ホテルに向かうことにしました。

4)久々にウーバーを呼んで、乗り込みました。最初は会話が成立しませんでしたが、少しずつしゃべりました。
到着したホテルは、モーテルなんですが、入り口に裸の男がうろうろしていて、ウーバーの男が、
「これがアメリカだ、ウェルカム、トゥ、アメリカ!」と言われ爆笑しました。

5)ホテルはボロで、夜は治安が良くなさそうです。お湯が出るのでOKです。ドライヤーは動きませんでした。
その夜は、荷物は届きませんでした。このままだと、明日のミーティングは着るものがないので、服を買いに行かないといけません。
明日は、とある企業のアドバイザリーボードで、15人ほどの有名な先生方とミーティングです。ジャケット、ネクタイ、革靴は必須です。

外は大雨で、雷もひどく、不安の中、初日の移動日が終わりました。


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— posted by 千葉恒 at 09:06 am   commentComment [0] 

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