ASBMR @Vancouver -4

2)
学会の動向、2つ目は、このブログでも何回かお伝えしていますが、STE(Surrogate threshold effect)です。
詳しくは過去記事Link に記載しています。

要は、新薬治験の際に、骨折を調査しなくても骨密度だけでOKとする考え方です。
予算を抑え、新薬開発を活性化することを意図しています。

2017年から始まったこのプロジェクト(FNIH-ASBMR SABRE Project:Study to Advance BMD as a Regulatory Endpoint)は、
これまでに、データ解析、エビデンス立証を積み重ね、現在、かなり終盤の段階にきているようです。

試算によると、治験に必要な症例数が、500例(250vs250)で十分となるらしく、
DXAで大腿骨の骨密度(Total hip BMD)が、24ヶ月間で1.5%以上増えれば、椎体骨折の抑制は確実となり、FDA承認されます。

治験にかかる費用が、500 million $(750億円)から20million $(30億円)に減少するとのことです。

FDAのQualificationが4段階あるそうで、2023年8月にその3段階目をクリアしたとのことです。
最後のステップは来年にクリアできると見込んでいるようで、大きな転換期になるかと思います。

ちなみにPIは、Dennis Black、Mary Bouxsein、Richard Eastell で、
特にDennis先生はUCSFで、家に遊び行ったりLink長崎来てもらったりLink した親交があり、今後も詳しいことを教えてもらえそうです。

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— posted by 千葉恒 at 05:15 am   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -3

今回のASBMRで気づいたことは、この学会の方向性です。

骨粗鬆症の新薬は相変わらず出る気配はありません。
その状況を受けた今、大きく2つの方向性があると感じました。

1)
その1つは、Rare Bone Disease(RBD:希少疾患)です。

RBDはそのほとんどが難病ですが、近年かなり効果のある新薬が開発されてきました。

具体的には、
低リン血症性くる病・骨軟化症(X-linked hypophosphatemia や tumor-induced osteomalacia)に対する
抗FGF23抗体 ブロスマブ Burosumab(クリースビータ Crysvita:協和キリン)や、

低フォスファターゼ血症に対する
アスフォターゼ アルファ Asfotase alfa(ストレンジック STRENSIQ:アレクシオン)、

他には、骨形成不全症(Osteogenesis imperfecta:OI)に対する新薬治験Link も行われてるようです。

骨粗鬆症の新薬開発が終焉を迎え、学会は財源を年々失って行っています。
一方で、RBDはその名の通り患者数は少ないですが、単価の高い治療薬が多く、
製薬会社の参入が残されている分野です。そこで、その分野の後押しをしている印象があります。

— posted by 千葉恒 at 11:25 pm   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -2

学会初日に最大のヤマがありまして、それは私のオーラル発表です。

このブログでたびたび登場するTERABIT study(テリパラチドのランダム化比較試験)が、
骨粗鬆症の世界で最も権威のあるこの学会の、オーラル発表に奇跡的に採択されたのです。
通知が来た時は、震えましたね。「恐怖」で。

ご存知の方も多いと思いますが、日本は基礎研究と比較すると、臨床研究が苦手分野で、長年の課題とされています。
ASBMRは、基礎だけでなく臨床研究の発表の場であり、骨粗鬆症の大型研究や新薬治験などは、この学会から世界に公開されます。
ほとんどの演題はポスターで採択されるのですが、オーラルは狭き門で、日本の臨床研究が採択されることは、極めて稀です。

10月1日に骨粗鬆症学会が終わって以降、毎日がとんでもないストレスで、気が気でない状態でした。
スライドのブラッシュアップもギリギリまで続き、原稿も何度も手直しをして暗記してきました。

当日の発表直前の緊張、あの光景は、一生忘れられないですね。

結果ですが、、まぁ、「撃沈」でしたね。
発表もカミカミで、質問にも綺麗に答えることはできませんでした。悲しい!!
いっとき悪夢がフラッシュバックしそうです。聞いてた日本人の皆さん、ごめんね。

ですが、内容には興味をもっていただいたようで、終わった後に、
多くの人から良いリアクションをいただき、爪痕は残せたかなと思います。
国際的なコラボ話も2件ほどいただいて、今後の展開も期待できそうです。

国際学会では、データをもっていることはとても大事です。
表面上の挨拶はできても、研究の本題の会話ができないと、いつまでも無名ですので。

国際学会でのオーラル発表は思い出すだけでも8回目で、今回も流暢にはできませんでしたが、
新たに学んだこと、次回に使いたい技がいくつか浮かびまして、来年以降もまた狙いたいと思います。


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— posted by 千葉恒 at 11:53 pm   commentComment [0] 

ASBMR @Vancouver -1

北米骨代謝学会(ASBMR 2023Link )に参加するために、バンクーバー(カナダ)に行ってきました。
ASBMRは2012年から参加している私の主戦場です。

会期が終わって落ち着いてきましたので、ぼちぼちブログをアップしていきます。
いろんなニュースや情報がありました。長編になりそう。

今回の海外出張は、近年の円安の影響もあり、早めにチケット取ったりして、割安にしようと努めたんですが、
宿泊は、今回初めて、Airbnbを試してみました。

Airbnbは、日本語では民泊と表現され、間貸しみたいなイメージもありますが、
空き家を家具付きで貸し出すシステムで、泊まる側としてはウィークリーマンションと近い感覚です。

今回の海外出張の相棒は池永先生なのですが、この旅では彼が終始大活躍しまして、
Airbnbも良い物件を選んでくれました。

写真のようなリビング、キッチン、寝室x2、トイレx2のマンションに宿泊できまして、
会場からは5分の場所だし、もう間違いなく快適でしたね。費用も1人1泊2万円台でしたし。
ただAirbnbは今後徐々に規制が広がり、物件は減っていく見込みだそうです(池永先生情報)。

学会場は、湾沿いにあるとってもおしゃれな建築でした。ここで学会初日から、毎日いろんなことがありました、、


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— posted by 千葉恒 at 08:07 pm   commentComment [0] 

骨粗鬆症学会@名古屋 -3

最終日はランチョンセミナーをさせていただきました。

前半は、私が推している骨粗鬆症の薬物治療の治療方針をお示しして、
中盤は、テリパラチドが骨微細構造におよぼす効果を解析したTERABIT studyのデータをお示しして、
最後に、最近気づいた医療経済的な話題を盛り込んでみました。

また、今回の学会では、若手研究者育成委員会Link の仲間達の活躍にも、テンション上がりました。
全員は見れませんでしたが、蛯名先生の英語発表や質疑応答は圧巻でしたし、
産婦人科の北島先生は、整形外科医が全く理解できてない女性医学への深い造詣がありますし、
理学療法の旭先生は、どうやらすごいデータベースを持ってそうだし、
統計学の上村先生の教育研修講演はとてもわかりやすく、骨分野では貴重な人材で、今後ファンが増えそうな予感です。

4年ぶりの完全現地開催は、須藤会長の元、大成功に終わり、
ディスカッションも活気に溢れ、フロアでは演者とりかこんで質問して、
参加者みんなが何だかテンション高めで、みんなの笑顔、笑顔に、元気をもらいました。

ところで、さきほどホームページLink を確認しましたら、4,700名を超える参加??これはすごい!
評議員会の報告では、会員数は11226名(医師4070名、メディカルスタッフ等 7156名)で、昨年より1500人増です。


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— posted by 千葉恒 at 09:25 pm   commentComment [0] 

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