CTサミット @千葉

第25回 CTサミットLink が千葉で開催され、参加してきました。

この会は「CTを愛する」放射線技師さんたちの集まりで、2015年に参加したことがありLink 、今回はひさびさの参加となりました。

CTの進歩には、日本の技術が多いに関与しており、特にヘリカルCTの原理は、日本の放射線技師である辻岡勝美Link 先生が開発しています。
CTサミットは、辻岡勝美先生を中心に発足した研究会で、実に雰囲気の良い会で、医師の参加は少ないですが、こっそり参加しています。

今回気になった話題は、やはり、新しい原理のCTである、Photon Counting CT です。
各社開発しているようですが、Siemens社が実用化に成功し、今年より販売を開始しています(NAEOTOM AlphaLink )。

CTは、管球からX線が照射され、被写体を通過し、検出器で減衰を測定し、画像化しているわけですが、今回の進歩は「検出器」にあります。

Photon counting detectorは、今までの固体シンチレータと異なり、X線Photonを直接電気信号に変えるLink というものです。

Siemens社は、2009年から開発を開始し、2012年に日本の沖縄の会社(アクロラド社Link )が開発したテルル化カドミウム(CdTe)の検出器を用いることがブレークスルーとなり、2021に製品化に成功しました。

今回の進歩は、高解像度、低ノイズ、低線量、スペクトラル画像のさらなる向上をもたらしますので、高解像度画像に興味のある私としては、興奮のニュースでした。

実は、私がUCSFの放射線科に留学中に、2012年に聴講したレクチャーLink で、Photon counting detector は今後注目だ!と言っていたことを覚えていましたので、それが製品化されたのは感慨深いですね。

(下図:CTサミットおよびSiemensのウェブサイトより)

2022-08-0693450



2022-08-0694549



— posted by 千葉恒 at 06:16 am   commentComment [0] 

Hip Forum @長崎

第29回 Hip Forum が、当科の尾崎 誠 教授の元、長崎市で開催されました。

これは学会ではなく、参加者100名程度のクローズの会でして、ネットで検索しても全然出てきません。

1会場で1日間のみ30-40演題程度の小さい会ですが、全国から有名な股関節外科医が多数参加しており、
特徴としては、発表ごとの質疑応答が多いことです。こんなに質問者が湧き出る会は日本ではめずらしいです。もちろん特定の人物が多いのですが。

今まで存在すら知らず、参加したことがなかったのですが、意外とおもしろかったです。
来年も参加してみようかな、、悩み中です。
参加学会が増えすぎて抑制中ですので(マスト5学会:日整会、骨形態計測学会、骨代謝学会、骨粗鬆症学会、ASBMR)。

会場はルークプラザホテルという、長崎では老舗の結婚式場ですが、稲佐山の中腹ですので景色が良く、
コンベンションセンターと違ってリゾート感があって、良い感じでした。

正直私は地元長崎が大好きで、田舎ですが、街や自然の景観が良いんですよね。


NONALNUM-SU1HXzM3MDLjga7jgrPjg5Tjg7w-E



— posted by 千葉恒 at 04:58 am   commentComment [0] 

骨形態計測学会@鳥取、骨代謝学会@岐阜

調子の悪かったブログですが、業者の方が原因を見つけてくれて、スッと開くようになりました。よかった、、

今年は多くの学会がオンサイトで開催されてます。

第42回 日本骨形態計測学会 @鳥取Link

長崎からの参加は、私と白石先生、飯田先生、新見先生、徳永先生の5名でした。
新見先生は本学会で、学術奨励賞Link を受賞しました。おめでとうございます!賞状授与のきれいなお辞儀が印象的でした。ぴったり45°です。
私は多忙で、5演題の発表となりました(ランチョン、シンポジウム、シンポジウム、シンポジウム、一般演題)。人生で最も多いんじゃないかな。依頼がくるのは光栄なことです。

第40回 日本骨代謝学会 @岐阜Link

長崎からの参加は、私と白石先生の2名でした。
会場(長良川国際会議場)の近くの山の上に、 岐阜城がありロープウェーで登ってきました。
城まで少々登るのですが、当日は激暑で、ただ天守閣から景色は最高で、風も気持ちよかったです。

やはりオンサイト学会は良いですね。
聴講で得た情報に対して刺激を受けやすく、新しい研究への意欲がわきました。
また、同じ分野でがんばる全国の仲間たちに次々と再会できたことも、Webでは味わえない醍醐味です。

IMG_3562



IMG_3551



IMG_3558




IMG_3677



IMG_3664



NONALNUM-SU1HXzM2Njbjga7jgrPjg5Tjg7w-E



— posted by 千葉恒 at 06:18 am   commentComment [0] 

07PTH -7

さて、PTHシリーズの最終回ですが、最後は雑誌社との闘いについてです。

以前、述べたLink ように、

2022/4/12 論文PDFの公開当日に、表4、5があり得ない縦横比になっていることに気づき、すぐに雑誌社(エルゼビア)に訂正の依頼をしました。

どうもエルゼビアのアジアの支所みたいなものがインドにあるのか、私の担当者は全てインド在住のインド人でしたが、
ことあるごとに、不在の自動返信や、無視、2-3日待ての返信があり、あまりに怠惰で、まったく訂正が進みませんでした。

5/17 たまたま別件でつながったエルゼビアの日本人に直訴メールをしたところ、動いてくれました。
以後 別のインド人が登場しました。でも、そこからもまた時間がかかるかかる。

ほんと些細な訂正なんですよ。表4、5が異常に縦長く作られて、列の幅が狭すぎて、数字がとんでもなく読みにくい。
普通の幅の表にするよう依頼しただけなんです。そして、

6/8 やっと訂正が完了しました、、この表の訂正に要した期間は、2ヶ月間でした(憔悴)。

下記よりフリーダウンロードできます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S8756328222000928?via%3DihubLink Link

気が収まらない私は、Corrigendum(Erratum)を出すように依頼しました。

この2ヶ月間に、私の論文は、most download の1つになっていました。
数字を読み取れない間違った表を載せた論文が、多くの人にダウンロードされたかと思うと、私としては焦るような気持ちでいっぱいでした。
Corrigendumを出して、PDFを差し替えてもらいたい、と思うようになったわけです。

想像にたやすく、Corrigendum の掲載にも時間がかかりました、、1ヶ月間です。

当初は、まるで「Authorが表を作り直して、差し替えた。Authorは謝る。」みたいな文章にされたので、
それを訂正し、最終的には「クリアでなかった表が訂正された。BoneとAuthorはapologizeする。」みたいな文章でおさまりました。

7/1 やっとCorrigendumが公開されました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S8756328222001612?via%3DihubLink Link

この闘いに要した時間は3ヶ月間です。

この論文は、私の研究キャリアの中で、最も代表する論文の1つになるのですが、こんなことになったのは悔やまれますね。
まぁこれを糧に、ステップアップしようと思います。


2022-07-0994144



2022-07-0993936



— posted by 千葉恒 at 08:41 am   commentComment [0] 

07PTH -6

しつこいですが第6弾の記事です。

それにしても、最近このブログは調子が悪いですね。なかなか開かない。引っ越しを計画中です。

この研究は「もう二度とこんな研究はできないんじゃないか」と思うほど、苦労した研究です。
下記に苦労したことを、思いつく限り、、

倫理委員会:
この研究の研究計画書は、臨床研究センターの生物統計家たちと一緒に練りに練って作成したのですが、倫理委員会では骨粗鬆症をよくわかってない人たちにガッツリ否定され、RCTを非ランダム化研究にせろとか言われてリジェクトされました。倫理的におかしくない研究を学内の身内に足を引っ張られ、今でも恨んでますね。
その後、委員に個別に解説をして、1ヶ月後に研究デザインを変えずに再提出し、アクセプトされました。

エントリー:
3種類の薬剤のどれになるかわからないRCTですので、患者への説明も難しく、エントリーは難航しました。
長崎市内の18施設に参加してもらい、各施設に説明しに行き、院長や部長に頭を下げてまわりました。
毎月、エントリー状況をグラフにしたレターを送りましたが、エントリーは予定通りにはいかず、エントリー期間の延長や施設の追加、選択基準の変更まで行いました。
130例達成した時は、感無量でしたね。

脱落:
感無量と思いきや、次に待っていたのは、強烈な脱落です。これは前回の記事でも述べた通りです。

画像解析:
本研究では、私たちが開発した新しい画像解析手法を用いたのですが、確立に時間を要しました。
アルゴリズムを開発、検証し、完成したと思ってデータ解析に取り組んでいたら、途中でエラーが見つかり、アルゴリズムを訂正し、全てやり直したり。

今までの研究は、20例程度を1人で解析するものが多かったので、経験したことがなかったのですが、
本研究のような130名の3回受診となると、データ量が半端なく多く、解析もグループで分担作業で行いますので、そこ出てきた問題が「ヒューマンエラー」です。

ヒューマンエラーにはとても興味があるのですが、とにかく「どのようにエラーを検出するか」がポイントと考えています。
解析者が手技を正確に実行できるように、丁寧に説明書を作り、トレーニングをして開始するのですが、それでもエラーは発生します。
怖いのは、計測結果だけを見ても、エラーがわからないことがあることです。微妙に間違ったまま採用されているデータがあるかもしれません。
どのようにエラーを検出するかは、いくつか技が必要ですが、容易な事ではありません。

統計解析:
本研究は、脱落が多すぎて、有意差が出にくかったことは、惜しまれます。
また、統計家とはキャッチボールがうまくいかまいことも多く、統計解析の結果をもらうまでに数ヶ月間のとてつもなく時間を要しました。

リビジョン:
レビュアーはもちろんのことながら、途中からはエディターも出てきて、けっこうやられました。

PDFプルーフ:
次回の最終回で、お話しますね。

— posted by 千葉恒 at 07:17 am   commentComment [0] 

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0107 sec.

prev
2024.5
next
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31