Ct.Th mapping

私たちHR-pQCT研究グループLink からの、第21弾の論文がアクセプトされました。

Cortical thickness mapping at segmented regions in the distal radius using HR-pQCTLink

Ct.ThはCortical thickness、つまり皮質骨の厚みのことです。
ちなみに、皮質骨厚は「ひしつこつあつ」と読みます。
「ひしつこつこう」ですと「厚」か「孔」か「溝」かわかりませんので、音訓読みになったんだと思います。

皮質骨厚はHR-pQCTで計測できるのですが、結果シートでは、例えば1.1mmみたいに表記されます。
これは、皮質骨全周における厚みの「平均値」であり、実際は、薄いところは0.4mmとか、厚いところは1.5mmとかなんです。

部位による厚みの詳細を表すには、厚みをカラーのグラデーションで3D画像で示すことが、技術的には可能で、
そういった論文は存在し、私たちもすでに、その手法を開発しています。
しかしこのカラースケール表示は、画像のみでの表現であり、逆に、数値での表現が難しいのです。
3D画像を見て、この部位は薄いよね、って言えるけど、その患者の代表値でないため他人とは比べられない。

そこで私たちは、厚みをあえて「普通」「ちょっと薄い」「けっこう薄い」の3分割にして、
具体的には、橈骨遠位部で、皮質骨厚が1.0mm以上をグリーン、0.5-1.0mmをイエロー、0.5mm未満をレッドにして、
レッドの面積が、全体の面積の中のどれだけを占めるのか(レッドゾーンが20%とか50%とか)、数値で表現するのはどうかと考えました。

加えて、橈骨の皮質骨を背側、掌側、橈側、尺側の4分割して、それぞれでレッドゾーンの%を算出してみました。

今回は横断的な研究で、30-50歳、50-70歳、70-90歳(N=60、各群N=20)で調査したところ、
背側と掌側でのレッドゾーンが、50歳以降に2.5〜3倍ほど拡大していることが示され、通常解析のCt.Thの変化より大きいことが示されました。

この手法は、今後多いに応用しようと思っており、第一弾の論文として、良いスタートできたと思っています。

太田真悟先生による本論文は、Journal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM、IF:2.976)にアクセプトされました。
おめでとうございます!


2022-10-0672346



— posted by 千葉恒 at 10:42 am   commentComment [0] 

QUS vs HR-pQCT

少し報告が遅くなりましたが、
私たちHR-pQCT研究グループLink からの、第19弾の論文がアクセプトされました。

Relationships between QUS and HR-pQCT, DXA, and bone turnover markersLink

QUSは超音波を使った骨粗鬆症の評価機器であり、通常、踵の骨で計測されます。
小型でX線を使わず、簡便に短時間で測定できることから、
クリニックやスクリーニングなどで広く普及しています。

本研究では、この踵骨QUSが、腰椎・大腿骨のDXAや、血液検査の骨吸収・形成マーカー、
橈骨・脛骨のHR-pQCTの骨微細構造と、どのような相関関係をもつかを調査しています。

その結果、QUSは「DXAの大腿骨骨密度」および「HR-pQCTの橈骨・脛骨の海綿骨微細構造」と
良い相関を有していました。

まず、踵骨QUSが、同じ下肢の骨である大腿骨DXAと相関を有しているのは、理解できる結果で、
もともとQUSは、大腿骨近位部骨折の予測能をもつと言われていましたので、合致します。

また、踵骨は海綿骨が多い骨であり、違う部位である橈骨・脛骨であっても、
同じ海綿骨の微細構造と相関を有することは、これまた理解できる結果です。

実は、まだ論文化していませんが、皮質骨と海綿骨を評価する意味合いは、
「骨強度」においては「皮質骨」の役割が高いですが、
「骨折するかどうかのリスク評価」においては、「海綿骨」の評価が有用そうだ、というデータを持っています。

よって、QUSで海綿骨の劣化を評価することで、骨折リスクの評価ができていることは、ガッテンです。

新見龍士先生による本論文は、Journal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM、IF:2.976)にアクセプトされました。
おめでとうございます!


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2022-10-30102405



— posted by 千葉恒 at 08:24 pm   commentComment [0] 

HR-pQCT 7周年 & 46歳

毎年8月にアップする恒例の記事を忘れてました。
もう2ヶ月たってるぞ。

HR-pQCTLink長崎に来てLink 、7月26日で丸7年になりました。

この間、立ち上げた研究は「50」(やりすぎ?まだまだネタあり)
研究をした大学院生Link は「19」
獲得した外部資金は「32」
アクセプトされた英文論文Link は「19」、和文論文は「15」

がんばってますが、
近年は、明らかに助成金の獲得ペースが減っています。どうにかせねば、、
一方、データが蓄積し、作れる論文はいくつもあるんですが、書く時間がありません。

7-10年の戦略は下記です。
1)日本人の骨微細構造の基準値(YAM)を作る
2)骨粗鬆症治療薬の大型研究を開始する
3)関節リウマチの解析をさらに進める
4)骨折治癒・骨移植の世界に本格参入

7年経ってこれか。予定より進んでません。時は過ぎるのは早いな。
最近は、私が生きてる間に、したい研究の全てができるのか、不安になるほどです。

で、8月8日で、46歳です。
去年までは四捨五入して50歳かな?いや、そうじゃない、ような気分もあったのですが、
46歳は45歳より急に重くなりました。

今年も去年に引き続きLink 、リサーチグループでは、
リアル千葉ケーキでお祝いしてもらいました。去年より大型化しています。
私の立ち姿、猫背な感じまで、細かな表現ができています。

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— posted by 千葉恒 at 06:45 am   commentComment [2] 

ASBMR @Austin -11

最終回です。

帰路でもいろいろありました。

今回の旅は、ダウンタウンのホテルが、物価高+円安+何かのイベントのせいで激上がりしており、ダウンタウンから車で10分ほどのモーテルにしたのですが、
今までモーテルは何度も泊まって来ましたが、ここは思いのほか、ボロモーテルで、

衝撃だったのは、初日の夜中にはっと目覚めたところ、私の枕にコオロギがいたことです。その時の写真はありますが、気持ち悪いのでアップしません
結局、滞在期間中に部屋にコオロギが3回出てきましたが、もう3回目となると、外に放り出すのも諦めて共存することにしました。

そんなコオロギボロモーテルとも今日でお別れ、ウーバーで空港に向かいました。
今回の旅もウーバーを駆使しましたが、総額235ドルも使用してました。これに145円をかけたくないな、、

空港で待っていたのは、またもバゲージ問題でした。Overweightです。
これはたまにあることなんですが、なんとユナイテッド曰く、140$の追加徴収! 高!

「スターアライアンスゴールドなのにおかしいんじゃない?」
「いやお前はユナイテッドゴールドじゃないだろ」 みたいな攻防があり。

途中で、地上係員の若者(通称ひょろひょろ)の処理が、何か辻褄があわないことが判明し(磯部ナイス!)、
こちらの形勢が有利になりました。

上司が登場し確認したところ、何かが変だったのかよくわかりませんが、140ドルの追加徴収はなくなりました。
クレジットカードを一回きって凹んでましたが、最後はリファンドできました。勝利です。

乗継はロサンゼルスで、どこ行っても異常な冷房のアメリカに最後まで悩まされ、そして、深夜便で羽田空港に無事帰国しました。
羽田の入国審査では、なぞの段取りの悪さに、日本人はシステム作り関しては本当にバカなんじゃないかと悲しくなりました。

今回の長旅は8日間におよび、アドバイザリーボード、学会聴講、ポスター発表、外人との社交、観光、HR-pQCTミーティングと、身体的な疲労はかなり溜まりました。
が、メンタルはかなりポジティブモードになりました。
学会では、新しい情報、アイデアなど得てモチベーションが上がり、ホテルでは仕事もかなりすすめれましたし。

今回の出張で、カバン持ちをしてくれた磯部先生、ありがとう。楽しかったですね。
そして、この期間、お留守番してくれている同僚や家族に、心から感謝しています。


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— posted by 千葉恒 at 10:43 am   commentComment [0] 

ASBMR @Austin -10

連投続いてます。テンション高いです。
書き溜めちゃったんで、小出ししているだけなんですが。

最終日は恒例の、HR-pQCT Users’ Meeting です。

ASBMRの最終日の翌日に、HR-pQCTを使用している世界の仲間たちが集まって
近況をアップデートするミーティングで、3年ぶりの開催となります。

気になったテーマですが、

1)Scanco Medicalより年次報告
2022年現在、世界には96台のHR-pQCTが稼働しているとのことです。
第一世代が36台、第二世代が60台で、新旧の入れ替わりが進んでいます(北米5+28、南米3+1、欧州24+18、アジア豪4+13)。
HR-pQCTを用いた研究論文は、毎年100を超え、2022年9月時点で合計1234件におよびます。
その18%がJBMR(IF:6.7)、15%がBone(IF:4.4)、12%がOsteoporosis internationaI(IF:4.5)で、骨の専門誌3つで半分が占められています。

2)3D Registraion
縦断研究における骨の変化を詳細に見るための、新しい3Dマッチングの手法が開発されています。
私たちもやっているのですが、今回のを聞くと、すこしmodifyが必要かもしれません。

3)小児の撮影方法
骨が刻一刻と成長する小児の撮影部位や解析方法は、まだ確立していません。
現時点でも意見が分かれているような印象でした。私たちはもう少し様子を見ようかと思っています。

4)HR-pQCTガイドライン2020
HR-pQCTによる骨評価のガイドライン2020が、パブリッシュされました。
このUser’s Meeting が2019年以来でしたので、内容について親友のBurghardt 先生から報告がありました。
私たちが推している Relative offset method はガイドラインでも認められており、これで堂々と発表できます。
また、種々の用語も統一され、意義のあるガイドラインだったと思います。

ちなみに、このミーティングの前日には、恒例の気が重〜い、立食パーティーがあるのですが、

みんなワイワイやってるんですが、まぁ何をしゃべっているのかわからないわからない、、身の置き場がつらいです。
でも今回は、優しい人たちに救われて、磯部先生も大健闘して、2-3時間滞在することができました。

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— posted by 千葉恒 at 06:59 am   commentComment [0] 

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