DOCSF-JAPAN 2025

今年も参加してきました。DOCSF-JAPANLink

DOCSF は Digital Orthopaedics Conference San Francisco の略で、
デジタル技術の整形外科分野への応用を目的とした、UCSF(University of California, San Francisco)が主催している多職種交流のプラットフォームです。

この日本版であるDOCSF-JAPANLink を、大阪大学の串岡純一先生と、私の留学時代のマブダチ、UCSFの森岡和仁先生が運営しています。
2024年より定期的にオンサイトイベントが東京で開催されており、私自身はこれで3回目の参加Link となります。

プログラムは下記の通りで、内容盛りだくさんでした。

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セッション#1 基調講演 
生成AIは整形外科医の仕事を奪うのか? - 脅威をチャンスに変える臨床・研究の新スキル -
・千葉大学整形外科 牧 聡 先生
 
セッション#2 スタートアップイノベーションのリアル「AI」 
医療AIイノベーションの最前線:産学連携で加速する整形外科DX
・株式会社SPLYZA 土井 寛之 氏
・Hers HeAlth Technologies Inc. 大黒 聡 氏
・株式会社SMILE CURVE 野口 昌克 氏
・森・濱田松本法律事務所 飯野 悠介 氏
・株式会社クオトミー DOC SF-JAPAN 大谷 隼一 氏

セッション#3  テクノロジーイノベーションのリアル「ロボット」 
ロボティクスが変革する整形外科
・ジンマー・バイオメット合同会社 古城 洋幸 氏
・湘南藤沢徳洲会病院 DOC SF-JAPAN 串岡 純一 氏

セッション#4 スタートアップ イノベーションのリアル 
VCが語る資金とチームの選択が未来を決める
・MVP 株式会社 武田 泉穂 氏
・三菱UFJキャピタル株式会社 久保 裕生 氏
・Keio Innovation Initiative 鈴木 利洋 氏 
・ON&BOARD 中山 航介 氏
・Medtech International 岡本 直之 氏

セッション#5 産官学共創イノベーションのリアル 
アカデミアからはじまる医療機器開発
・山口大学医学部附属病院整形外科 西田 周泰 氏
・Land Trading LLC 後藤 昭一 氏
・EMTEC Lab LLC 早川 絵美子 氏
・経産省 商務・サービスG ヘルスケア産業課 医療・福祉機器産業室 高山 真澄 氏

セッション#6 産官学共創イノベーションのリアル 
ヘルスケアの未来を担うエコシステムとは?
・東京科学大学 藤田 浩二 氏
・東京科学大学 工学院 システム制御系 宮崎 祐介 氏
・株式会社Link & Innovation 山本 晋也 氏
・日本政策投資銀行 青山 竜文 氏

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まず、千葉大学整形外科の牧先生のAIの話、おもしろかったですね。
私のラボや職場の同僚たちにも、いつか是非、聞いてもらいたいです。

ジンマー・バイオメットのロボティクスサージャリーであるROSAは、
もしかしたら将来、長崎大学病院で使っているかもしれませんので、親近感ありました。

VCが語る〜、のVCはベンチャーキャピタルのことで、投資会社の人たちセッションだったのですが、
今まで接点がない人たちのトークで、興味深かったです。言語化のスキルが高度でびっくりしちゃいます。
ビジネス系の動画で聞いたことあるような、明日から使えそうな良い感じフレーズがちりばめられてて勉強になりました。
この辺が、垣根を越えたこの集まりの良いところです。

産官学連携になると、VCと違って、ちょっとお硬くなります。この振れ幅もこの集まりの面白いところです。
私も産学と官学の連携をそれぞれちょっとだけしていますが、連携は手段であって、目的であってはいけないので、
そのペインポイントに臨床的な重要性や需要があるのか、その手段で解決することに合理性があるのか、
時間と労力は限られていますので、意識しています。

あと、ちょっと気になったのですが、医者以外の人たちが、外科系医師の持ってる暗黙知(手や感覚で覚えている直感や経験値みたいなもの)を、
過大評価しているんじゃないかなと思っています。
言われて嬉しいことではあるのですが、医師の持ってる暗黙知なんて、たいしたもんじゃありません。
他分野の人たちが集まって、整形外科というテーマで語ると、現場のニーズや医師の能力の誤認識も含めて、
こんな視点で見てるんだ、っていうのを知れたり、新しい知識や切り口に出会えるのは、純粋に楽しいです。

最後に複数の企業から、宣伝タイムがあったのですが、「動作解析アプリ」が乱立していることを知りました。
参入予定はありませんが、レッドオーシャン過ぎるななこれは、、いつかどれかが、保険収載されて生き残るのかな。

総じて、今回も、森岡先生のプロデュース力や昭和的献身を、じわっと感じるDOCSF Japan でした。


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— posted by 千葉恒 at 11:26 pm   commentComment [0] 

日本骨粗鬆症学会@幕張 -2

長崎大学 整形外科 からの発表は8演題でした。

千葉 恒  シンポジウム 臨床研究サマーセミナーの紹介
千葉 恒  シンポジウム 重症骨粗鬆症の骨微細構造変化
渡邉航之助 一般演題   原発性副甲状腺機能亢進症に伴う続発性骨粗鬆症の病態研究:HR-pQCTによる骨微細構造解析
新見 龍士 一般演題   1型糖尿病による続発性骨粗鬆症の病態解析: HR-pQCTによる骨微細構造評価
池永 仁  一般演題   骨微細構造におけるPeak bone massの調査 -HR-pQCT健常人研究-
向井 順哉 シンポジウム テリパラチド連日製剤と週1回製剤の大腿骨近位部における皮質骨・海綿骨への異なる効果 -TERABIT studyおよびVBMによる追加解析-
向井 順哉 ポスター   Voxel-Based Morphometry(VBM)を用いた大腿骨近位部の骨密度解析:標準画像の作成
山口 友貴 一般演題   DXA装置における測定精度(再現性)の重要性

みなさん、いい発表でした。おつかれさまでした。


9月14日(日)のシンポジウム16、「若手研究者育成委員会企画」ですが、
昨年もやったこのシンポジウムが、ちょっと聴講者が少なめで、委員会のメンバーで反省会をして、
タイトルと内容を刷新しよう、ということになり、下記のようになりました。

「あなたにもできる!臨床で浮かんだ疑問の解決法」

座長 • 千葉 恒  (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科)
   • 坂本 優子 (順天堂大学医学部附属練馬病院整形外科)

演者 • 千葉 恒 「臨床研究サマーセミナーの紹介」

シンポジスト  • 大角 哲也 (さいたま市立病院中央放射線科)
コメンテーター • 野津 雅和 (島根大学医学部内科学講座内科学第一)

シンポジスト  • 種子島 岳 (東京大学医学部整形外科)
コメンテーター • 飯高 世子 (東京大学22世紀医療センターロコモ予防学講座)

シンポジスト  • 向井 順哉 (国立病院機構長崎医療センター整形外科)
コメンテーター • 金子 開知 (東邦大学医療センター佐倉病院膠原病内科)

シンポジスト  • 藤村 亮 (小豆島中央病院整形外科)
コメンテーター • 旭 竜馬 (東京国際大学医療健康学部)

シンポジストは昨年の臨床研究サマーセミナーの参加者から選ばれており、自分の研究テーマを発表していただき、
それに対して、若手研究者育成委員からコメントやアドバイスをする構成としました。

今回は、聴講者も多く、それなり盛り上がったと思います。
シンポジストのみなさま、委員のみなさま、おつかれさまでした。


閉会式では、学会長へのサプライズ花束贈呈で、息子さんが登場しました。
心温まるいいシーンで、うるっときました。


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— posted by 千葉恒 at 11:03 am   commentComment [0] 

日本骨粗鬆症学会@幕張 -1

日本骨粗鬆症学会Link に参加するために、幕張に来ています。

学会長は、私の敬愛する 井上 大輔 教授(帝京大学ちば総合医療センター)で、
事務局長は、私の友人の 井上 玲子 先生です。

とても素晴らしい運営でした! 楽しかったです。 毎日、飲み会の、、
参加者はなんと5,900名。どーりで30m歩くたびに、誰かと再会していました。

ちなみに日本骨粗鬆症学会は、年々、規模が大きくなっており、会員総数は、なんと 12032 名!
医師や歯科医師が4279人で、メディカルスタッフや企業が7753人です。
医師の内訳は、整形外科医が3283人、内科医が603人で、このペースですと医師も5000人いきますね。
骨粗鬆症の重要性が、医療界の全体で認知されていってると思います。

近年の疫学データでは、日本の骨粗鬆症の患者数は1500万人を超えており、完全なる国民病です。
一方、一般人は皆んな、大したことない病気だと油断しており、怖さがわかってないですね。
特に椎体骨折は、基本、保存治療の変形治癒ですので、後遺症が残りますし、しかも次の骨折へと連鎖します。
当たり前にできていたことができないようになり、制限された生活に変わっていきます。

私が思うに、現在の骨粗鬆症の治療体系には大きく2つの問題点があり、
それは、1)確定診断装置(DXA)へのアクセシビリティの低さと、2)治療する医師数の不足、です。
これらがボトルネックになって、骨折した患者すら治療されてない現状が続いており、
究極の目標である、早期発見、治療には、ほど遠い状況です。

多くの方が興味を持っているスクリーニングは、実のところ問題ではありません。正直、楽勝です。
脆弱性骨折したことがある人や、FRAXやOSTAで引っかかる人だけでも、相当数おり、まずはそこからだと思います。
問題はスクリーニングしたあとなんです。

つい書き込み過ぎました。学会の内容はまた次回。


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— posted by 千葉恒 at 11:52 am   commentComment [0] 

SF訪問

ASBMR出張恒例の、サンフランシスコへ訪問をしてきました。

滞在は1日半だけでしたが、
留学時代にお世話になった長尾先生(UCSF整形外科)との面会、
現在進行形マブダチの森岡先生(UCSF整形外科)との研究ミーティング、
SFセンチメンタルお散歩、をすることができました。

ミッションベイの私の住んでいたアパートの横には、なんとChatGPTのOpenAIが入っていました。お世話になってます!
今回は、急に思い立って、GGBにも行ったりしてみました。

サンフランシスコはやはりちょっとずつ変わっていますね。
留学時代は、私の好きなアメリカの80、90年代のキラキラの名残りみたいなものを
感じれる場面や場所があったのですが、そういうのはさすがに減ってます。

長尾先生とは、素敵なご自宅でいっしょにお食事をいただきました。奥様の日本食最高です!
よその子ですが、家族団らんしてるみたいな楽しいひとときでした。しかも宿泊までさせていただいて、、

森岡先生とは、似たもの同士で、お互いたくさんのプロジェクトを進行させています。
進捗確認やアドバイスなどいただき、有意義でした。
ミーティングの帰りに駅まで送ってくれたのですが、その10分後ぐらいに私たちがいた場所で発砲事件があり、
ニュースになっていました。あぶなかったです!

以下はUCSF学内メールの日本語訳です

- 2025年9月9日午後6時頃、施設外での銃撃事件を受け、4名の銃創被害者がザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院(ZSFG)に搬送されました。3名は自家用車でZSFGのロータリーまで搬送され、1名は救急車で搬送されました。
- 約40分後、25号館メインエントランスの一般乗降場付近で、ある人物が発砲しました。少なくとも2発の銃弾が25号館の窓を貫通し、1発はロビーに、もう1発は歩道橋の下部に命中しました。
- サンフランシスコ警察(SFPD)とサンフランシスコ保安局(SFSD)の職員は既に現場に待機しており、直ちに容疑者を拘束した。患者や職員に身体的負傷者はなかった。UCSFおよびDPHの教職員は、事件に動揺した周辺の人々に対し迅速に対応し、不確実な状況下で驚くべき思いやりのある対応を示した。
- SFPDは、このキャンパス内での発砲が、直前のキャンパス外での事件に関連する報復行為であったかどうかを調査中である。

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— posted by 千葉恒 at 12:14 pm   commentComment [2] 

ASBMR @Seattle -5

私の発表はポスターx2で、
ロモソズマブと1型糖尿病のHR-pQCT研究でした。

1)Effects of Romosozumab on Bone Mineral Density in the Lumbar Spine and Femur, and Bone Microstructure in the Radius and Tibia

ロモソズマブの効果を見たシングルアームですが、12ヶ月でいったん論文にしようかと急いでいます。
その後、デノスマブ24ヶ月で逐次療法をした結果を、第二弾で論文化する予定です。
ヒストリカルコントロールで比較研究することも検討しています。

2)Bone Microarchitecture Analysis of Male Patients with Type 1 Diabetes using HR-pQCT

以前、このブログで紹介した、Tor Hildebrand 先生と、早速、共同研究をしました。
Hildebrand 先生は、メタ解析に有用なアプリケーションを開発しており、
今回は、小規模研究でトライアルしてみました。
今後、NOR研究(520例)に応用しようかと考えています。

今回は、長崎大学からの参加者は私だけで、現地では、大阪大学や北海道大学の先生たちとお食事会したり、
旧友と再会したり、新しい知り合いができたり、楽しい学会となりました。



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— posted by 千葉恒 at 03:34 am   commentComment [0] 

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