ASBMR @San Diego & Web ー2

2)Surrogate threshold effect (STE)

昨年触れた話題ですが、今年も引き続き発表がありました。下記は昨年のコピペLink です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
骨粗鬆症の新薬を開発するときに、もちろん治験で有効性を証明するわけですが、何をもって有効とするか?「骨密度の上昇」または「骨折の抑制」のどちらかになるわけですが、歴史的に「骨折の抑制」をもって有効としています。しかし、骨折ってそんなに起きるわけじゃないので、かなりのサンプルサイズが必要です。

Surrogate threshold effectとは、どう訳せばいいのかわかりませんが、過去の骨粗鬆症の治験の莫大なデータを用いて、骨密度が何%増えれば骨折がまず抑制できるだろうと言う、骨折の代替となる骨密度の閾値を設定しようというコンセプトです。このプロジェクトには、骨代謝、骨粗鬆症業界の著名な人たちが共同演者となっています。

今回の発表では、大腿骨(全体)骨密度が24ヶ月で、1.4%上がれば椎体骨折、2.1%上がれば非椎体骨折、3.2%上がれば大腿骨近位部骨折の抑制が、有意に得られる、という結果でした。骨折をプライマリーエンドポイントにしなくても骨密度だけで疫学・統計学的には骨折抑制を証明できると言う意図です。大腿骨骨密度の3.2%アップはまぁまぁ大変だと思いますが、1.4%ならどうにかなりそうですね。

降圧薬は血圧が下がればいいわけですが、骨粗鬆症治療薬は骨密度が上がるだけではダメで、骨折抑制を証明しないといけないので、ハードルが高いと言われてきました。企業には大きな負担であり、これが新薬開発を妨げてきたとも言われています。そして現在、骨粗鬆症の新薬開発はほとんど枯渇してしまいました。これが、今回のプロジェクトの背景にあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今年はこの研究の検証試験が発表されていました。
過去の10の研究で、STEを当てはめたところ、全ての研究(フッ化ナトリウムを除く)で結果が適合していた、という結果でした。

昨年の発表はLancet Diabetes Endocrinolで公表されています:
Treatment-related changes in bone mineral density as a surrogate biomarker for fracture risk reduction: meta-regression analyses of individual patient data from multiple randomised controlled trials.
Black DM, Bauer DC, Vittinghoff E, Lui LY, Grauer A, Marin F, Khosla S, de Papp A, Mitlak B, Cauley JA, McCulloch CE, Eastell R, Bouxsein ML; Foundation for the National Institutes of Health Bone Quality Project.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2020 Aug;8(8):672-682. doi: 10.1016/S2213-8587(20)30159-5.

今年の発表はJBMRで公表されています(下図):
Validation of the Surrogate Threshold Effect for Change in Bone Mineral Density as a Surrogate Endpoint for Fracture Outcomes: The FNIH-ASBMR SABRE Project.
Eastell R, Vittinghoff E, Lui LY, McCulloch CE, Pavo I, Chines A, Khosla S, Cauley JA, Mitlak B, Bauer DC, Bouxsein M, Black DM.
J Bone Miner Res. 2021 Sep 7.


2021-10-08214953



— posted by 千葉恒 at 08:54 pm   commentComment [0] 

ASBMR @San Diego & Web ー1

ASBMR(北米骨代謝学会)がSan DiegoとWebのハイブリットで開催されています。

米国の研究者たちは現地で大集合しているのでしょうか。羨ましいですね。
来年は行けたらいいのですが。

ハイブリットのためか、昨年のWebのみの開催と比較して明らかにWebのプラットフォームが使いにくいです。
私のPCではログインにやたら苦労しましたし、検索もすごくイマイチです。
本日、なんとかポスターをチェックしたところです。

1)経口PTH製剤

経口のPTH製剤のPhase2の結果が発表されていました。
欧米の大企業でなく、イスラエルのEnteraBioという会社から発表されている点が面白いですね。

本日の時点ではポスターだけ見れましたので速報します。代謝マーカーと安全性に関するデータです。

Oral hPTH(1-34) 2.5mgの1日1回の内服で、P1NPは1ヶ月後で平均32%増加しています。2ヶ月後は12%、3ヶ月後は10%と増加が小さくなっています(N=10)。
非常に興味深いことに、CTXは1ヶ月後で平均ー13%の低下、2ヶ月後にー10%、3ヶ月後もー16%と低下しています。
つまりマーカー上は、形成促進、吸収抑制しており、既存のPTH連日注射製剤とは異なる変化を示しています。

気になる安全性に関しては、やはり頭痛、吐き気、めまいだそうです。それらの頻度の記載はありませんでした。SAEはなかったそうです。

容量設定は、0.5mg(N=25)、1.0mg(N=29)、1.5mg (N=28)に加え、高容量:2.5mg(N=19)を追加設定したそうですが、
2.5mgで低血圧が発生したため、1.5→2.0→2.5mg漸増群(N=17)もさらに設定し、9割以上が2.5mgに到達できたと記載されていました。

明後日、月曜のオーラルで投与6ヶ月後のBMDの結果を発表するそうです。下に追記する予定です。

追記です)

BMDの結果は、現実的なレジメである、1.5→2.0→2.5mgでは、6ヶ月間の治療で、
Lumbar spineで約2%、Total Hipで約2%、Femoral Neckで約3%の増加とのことでした。
大腿骨への効果が強く、かなり不思議な結果です。

本結果の注意点としては、上記のBMD変化率は、PTHのベースラインからの変化でなく、
PTHとプラセボのベースラインからの変化の差が記載されており、普通ではない表記方法です。

来年、2022年から、この新薬とテリパラチドのフェーズ3の比較試験を始めるそうです。
もし成功したら、面白い展開になりそうです。


2021-10-0382939



— posted by 千葉恒 at 08:29 am   commentComment [0] 

出島メッセ

今朝は変な夢で目が覚めました。
米国でお世話になった長尾先生と同僚のAndyが長崎に来てくれて、
長大医学軟式テニス部のOB会に出席してくれる、という内容。どんな深層心理の表れ? 
長尾先生は2ヶ月間の休暇を取って来たと言ってました。僕の欲求かな。

さて、
長崎駅の真横に新しくできた、コンベンションセンターの内覧会に行って来ました。

「出島メッセ」という名前です。詳細はこちらLink

すばらしい会場でした。
今まで長崎にこの規模のコンベンションセンターがなかったので、とても便利になると思います。

フロアは1Fと2Fで、2Fのメインの会場は、写真では伝わりにくいですが、とんでもなく広いです。
米国で参加する国際学会の巨大な会場みたいな感じです。
1Fは中小の会議室が15室ぐらいあります。使い勝手が良さそうです。
展示ホールもかなりの広さで、音楽イベントのライブ会場にもなるそうです。

全室で飲食可で、当然WiFi(+有線LAN)あります。
隣のヒルトンとつながっているそうで、厨房からお料理がやってくるそうです。
運営は学会運営でお馴染みの、コングレLink がやっているそうです。

11月オープンで、使える日を楽しみにしています。

IMG_0971



IMG_0959



IMG_0967



IMG_0965



IMG_0956



IMG_0962




— posted by 千葉恒 at 06:23 am   commentComment [2] 

オンデマンド

ブログのアップ、長らく止まってました。

なんでこんな忙しいんだろうと日々思っていましたが、どうも大量の締め切りに追われていたようです。
骨粗鬆症&骨代謝学会のスライドx4、ASBMRのポスターx1、日整会の抄録x8人分、
助成金の申請x6、講演会x6が、見事に9月の前半に集まっていたようで、途中まで気づいてませんでした。

締め切り日を、ただただ綱渡りしてます。

この中で、スライドx4がけっこう大変だったのですが、
というのが、最近の学会はオンデマンドも多く、
スライドを作った上に、音声を録音してアップロードしないといけないのです。

この音声を録音するというのが、なかなかの作業でして、
以前よりはだいぶ慣れましたが、いまだに時間がかかります。
10分のスライドでも、あーだこーだしていると1時間ぐらいかかってます。

一方、医学部の授業も、音声付きパワポのオンデマンドも増えているようですが、
そうなったらもはや、全国の医学部で授業動画を作って共有すればいいと思います。

各分野の各授業で、最も有名な先生が作って全国で使え回せば良いかと。

学生にとっては最高の授業を受けれている可能性もあります。
これが確立しちゃうと、各大学の医学部教官の存在意義が問われるかもしれませんが。

私はそれでも構いません。臨床と研究で多忙なのので、
1番良い授業ビデオを流して質問だけに答えるだけなら、そちらの方が良いですね。


— posted by 千葉恒 at 07:59 am   commentComment [2] 

夏の終わり

今年の夏休みは、いや、今年どころか去年の夏休みも、子どもたちをどこか遠くに連れて行けず、
飛行機のったり、新幹線のったりしたいお年頃なのに、
何ともフラットな夏休みを過ごしていますが、先週末は何か爪痕残そうとして、あわてて虫取りに行きました。

早朝から親子で森をさまよい、よくよく見ると木にへばりついてるクワガタを発見すると、
NHKの香川照之の昆虫すごいぜ!の戦闘シーン(ドラクエ:ゾーマ)を歌いながら、
2人でキャーキャー言いながら捕まえるのでした(ビビりx2)。

8月末にも関わらず、クワガタ オスx3、メスx4と、去年からコツをつかんでいます。

千葉家の女の子チームは、虫が大大大嫌いなので、今年はリリースしちゃいました。

IMG_0680



— posted by 千葉恒 at 05:01 pm   commentComment [0] 

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0174 sec.

prev
2024.5
next
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31